クロコダイルは、「アラバスタ編」において国民をだまして国家転覆をねらい、ルフィに倒されてからはインペルダウンにて服役生活を送っていましたが、エース救出のために脱獄してからは、それまでの悪役キャラから「いい人キャラ」な一面を見せています。いったい何が彼をお人好しキャラに変えたのでしょうか?
◆「信頼はこの世で最も不要なもの」だと言っていたのに……
クロコダイルはアラバスタにいたとき、仲間たちから信頼を寄せられているルフィを見て「信頼はこの世で最も不要なものだ」と切り捨てていました。
いまだに明かされていないクロコダイルの過去ですが、ファンの間では「かつて相当な裏切りにあって人間不信になったのでは?」と囁かれています。
ですが、このようなことを言いつつもクロコダイルは意外と人を信用しているところがあり、サンジがMr.3のフリをして電伝虫で電話をかけてきたときなどは疑いもしなかったのです。
バロックワークスの社員たちも不要となれば手にかけることもいとわない一面もありましたが、マリンフォード頂上戦争でMr.1がミホークに剣で切られて倒れたときには鮮やかに助太刀し、「今の俺は機嫌が悪いんだ。気をつけな鷹の目」と言い放っています。
さらに、兄であるエースの死を目の当たりにしたルフィが気絶した際には、ルフィを抱えるジンベエもろとも砂嵐で遠くに飛ばしてその場から脱出させました。
これ以降、クロコダイルは情に厚い男として描かれることも増えていったのです。
◆雨に濡れた子犬に傘をさす一面も
マリンフォード頂上戦争以降は出番が減ったクロコダイルですが、原作第860話「“10:00開宴”」の扉絵にてファンの心を鷲掴みにする事態が起きました。
なんと、クロコダイルが雨に濡れた子犬に、自分の持っている傘をさすというイラストが掲載されたのです。
スナスナの実の能力者であるクロコダイルにとって、水に触れることは絶対にタブーであり、能力が使えなくなってしまいます。
扉絵のクロコダイルはポーカーフェイスのため心の中までは分からないものの、全身ずぶ濡れになりながら小さな子犬を守ろうとしている姿は、まさにギャップ萌えそのもの。
また、原作第938話「“女の秘密”」の扉絵では、頭部で両手を組んで寝そべっているクロコダイルが腹部を砂化し、その砂で小鳥たちが楽しそうに砂浴びをしているというイラストが掲載されました。
どちらの扉絵も読者からのリクエストを原作者がイラストにしたものですが、クロコダイルはアラバスタでバナナワニをペットにしていたほか、エリマキランナーズやカメのバンチ、ハゲタカやラッコまでバロックワークスの社員として雇っていたことからも、彼の動物好きな一面がうかがえます。
◆クロコダイルはお人好し?
王下七武海の撤廃後、クロコダイルは「クロスギルド」という会社を設立し、そのメンバーにミホークを選びました。
これは「自分とミホークの名前が並べば海軍が無視できない存在になるから」との理由でしたが、当時、道化のバギーも「バギーズデリバリー」を起業し、設立の費用をクロコダイルに貸してもらっていたのです。
一見すると冷酷なクロコダイルとお調子者のバギーの間でお金のやり取りがあったことは意外に思えますが、「一緒にインペルダウンから脱獄したよしみ」で貸したのだとか。
その後、バギーの拠点を取り囲んでいた海軍を壊滅させてまで彼を助けたクロコダイルでしたが、これはどさくさに紛れてバギーが高飛びするのを防ぐためでした。
借金を返済できなかったバギーは「なんでもするからよ!靴も舐めるし!」と提案、当然許してもらえませんでしたが、結局海軍から守ってあげたことからクロコダイルはお人好しの可能性が出てきました。
挙げ句の果てに周囲から「クロコダイルはバギーの舎弟」とまで噂されるようになり、彼のプライドが傷つけられたのはいうまでもありません。
◆まさかすぎる趣味
今ひとつ素性の分からないクロコダイルですが、今年9月に『ONE PIECE』の公式が『VIVRE CARD ~ONE PIECE図鑑~』で、彼の趣味は「キノコ狩り」であると発表しました。
良い意味で、どこまでもファンの期待を裏切るクロコダイルにネットは大歓喜。SNS上にはバギーやミホークたちと楽しそうにキノコ狩りをしているイラストや漫画が多く投稿され、もはやキャラ崩壊の域に達しています。
渋々ながらもバギーと手を組むことになってから徐々に変わったように見えますが、ささいなことでバギーに激怒する日々を送りつつも、ファンを着実に増やしているのです。
かつて、自分に逆らう者はすぐに粛清していた姿からは想像もつきませんが、ルフィをはじめさまざまな人たちや動物との関わりが彼の人格形成に影響を与えたのかもしれません。
──ロギア系の能力者としてルフィを倒した経験を持ち、多くの者がクロコダイルにひれ伏していましたが、その実態は動物好きのお人好しであることが徐々に分かってきました。
なぜ彼が誰のことも信用しないのか、なぜ動物には心を開いているのかも現時点では原作で明かされていませんが、サンジにあっさりだまされてしまった部分を見ると、実はおっちょこちょいである可能性も高いかもしれません。
〈文/花束ひよこ〉
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