魚人島でしらほしに対して、「境遇が似てる」と語ったナミ。実は、ナミが古代兵器「ウラヌス」に関わる存在なのではないかと一部の読者の間で考察されています。ナミの正体には、どんな秘密が隠されているのでしょうか?
♦︎ナミとしらほしの「境遇が似てる」?
魚人島編でしらほしは、ナミに対して「初めてお会い致しますのに......!!」「何だかほっと致しますね」と安堵の表情を浮かべました。それに続く形でナミが口にしたのが、「境遇が少し似てるからかな......?」というひとこと 。
しらほしは、母であるオトヒメ王妃を目の前で亡くした過去を抱えています。ナミもまた、育ての母であるベルメールを失う経験をしました。共通点は、“母親を目の前で亡くした少女”だということ。
また、“長く部屋に閉じ込められていたこと”や、“ルフィによって解放されたこと”など、確かに似た境遇だといえます。
しかし『ONE PIECE』には、母親を亡くしたキャラクターも、ルフィによって解放されたキャラクターもほかに存在しており、それだけで「ホッとする」という表現を使うのは、やや不自然ではないでしょうか。
まるでしらほしがナミに対して、言葉では言い表せない何かを感じ取っていたかのようなやりとり。二人にはまだ明かされていない、深い共通点や、さらなる境遇の一致があると示唆しているかのようです。
しらほしの境遇の最大の特徴は、古代兵器であるということ。そう考えると、ナミもまた、古代兵器に関係する存在なのでは? という推測が生まれてきます。
◆「ウラヌス」は“空”の力を持つ?
古代兵器には3つの種類が存在します。「ポセイドン」「プルトン」、そしていまだ詳細が明かされていない「ウラヌス」。
「ポセイドン」は海王類を操る力を持ち、そのネーミングはギリシャ神話の海神・ポセイドンが由来だと考えられます。「ウラヌス」や「プルトン」もギリシャ神話の神々の名前であり、古代兵器の名前がギリシャ神話由来だということは間違いないでしょう。
ギリシャ神話において、天空の神として登場するウラヌス。「ポセイドン」が、元ネタとなった海神・ポセイドンを彷彿とさせる力であることから、「ウラヌス」は“空”にまつわる力だと推測できます。
ここで注目したいのが、第1121話に登場したワンシーン。ベガパンクが放送で古代兵器について語るコマで描かれたのが、しらほしとビビと空島です。
「ポセイドン」であるしらほしに、「プルトン」の在処を示すポーネグリフが眠っていたアラバスタ王国の王女であるビビと、古代兵器との関係が深そうな二人が描かれていました。
この構図から読み取れるのは、「空島=ウラヌスと関連のある土地」ではないかということ。
空島はその名の通り“空”に浮かぶ島であり、独自の文明が発展しています。天候を科学する技術が高度に発展した「ウェザリア」という島も存在し、ナミはその地で気象に関する知識を学びました。
“空”と密接に結びつく空島がこの場面で描かれたことで、「ウラヌス」が“空”にまつわる力だという見方がいっそう強まります。
◆ナミの“空”に関する特別な能力
“空”にまつわる力と聞いて、真っ先に思い浮かぶキャラクターがナミです。幼少期から天候や航海に関する知識を吸収し、気候変動を読む才能に長けているナミ。
ナミがはじめて「天候棒(クリマ・タクト)」を披露した第191話のサブタイトルは、“天候を操る女”。「ウェザリア」で手に入れた装置を組み込んだ「魔法の天候棒(ソーサリー・クリマタクト)」により、天候を操作する能力を飛躍的に向上させました。
またビビは麦わらの一味の船に乗った際に、ナミについて次のように語っています。「“偉大なる航路(グランドライン)”のサイクロンは前兆のない風だと言われているのに……!!」「まるで体で天候を感じ取っているみたい……‼︎ 」。
このセリフからも、ナミが普通の人間では感じ取れない“空の変化”を、本能的に察知していることがよく分かります。
このナミの常人離れしている才能は、もしかすると彼女が“空”にまつわる力、つまり「ウラヌス」そのもの、あるいは「ウラヌス」に関連する力を持つ者であることの伏線なのかもしれません。
◆ゼウスを従えたことの意味
ワノ国編では、ビッグ・マム(シャーロット・リンリン)のホーミーズであるゼウスを従え、相棒にした ナミ。ゼウスは“雷雲のゼウス”という異名を持つ、雷雲のホーミーズでした。
ギリシャ神話におけるゼウスは雷の神として知られています。そして、ゼウスの祖父にあたる存在が、天空の神であるウラヌスです。
この神々の関係性を意識すると、「ゼウスを従えるナミ=ウラヌスの力を持つ存在」という構図を示唆しているように感じられます。
ナミがゼウスを相棒にしたことは、たんなる戦術的強化を超え、“空を司る者”としてのアイコンをナミに与えたとは解釈できないでしょうか。
こうした背景をふまえると、ナミが「ウラヌス」に関係するという説は、単なる偶然やこじつけではなく、物語全体の構造に自然に組み込まれた伏線のようにも見えてきます。
──これまで出自が詳しく語られてこなかったナミ。今後の物語で、彼女のルーツや古代兵器「ウラヌス」とのつながりが明かされる展開が訪れるかもしれません。
〈文/鷹野あやね〉
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