TVアニメ『ONE PIECE』には、これまでに数百人を超えるキャラクターが登場しており、意外な声優がダブルキャストを担当していることも。たとえば、サンジの声優の平田広明さんは「ある動物キャラ」の声を、また、因縁のあるキャラ同士の声を兼任している人も存在します。

◆サンジとカルー──平田広明さん

 平田広明さんはサンジの声をずっと演じ続けていますが、「アラバスタ編」ではネフェルタリ・ビビのペットで、超カルガモのカルー役を兼任しています。

 カルーは「クエーッ!!」という鳴き声しか発さず、なおかつサンジの声とは似ても似つかない高い声のため、公表したときにはファンからかなり驚かれたそうです。

 平田さんだとしばらく気づかれなかった理由の一つに、キャスト欄では平田さんの名前ではなく「粗忽屋」と表記されていたことが挙げられますが、これは麦わらの一味の声優陣が複数のキャラクターを演じるときの別名義です。

 ほかにも平田さんは、シャボンディ諸島で「麦わらのルフィ」と自称していたデマロ・ブラック役も演じています。

◆ジンベエとゲッコー・モリア──宝亀克寿さん

 ジンベエ役は郷里大輔さんが担当していましたが、2010年に郷里さんが逝去したことを受け、その後は宝亀克寿さんが引き継いでいます。

 もともと宝亀さんは元・王下七武海のゲッコー・モリア役を演じており、モリアは「キシシシシ!」という独特な甲高い笑い声と、コミカルな喋り方が特徴的でした。

 一方で、ジンベエは長年に渡って魚人族をまとめあげてきた親分的立場であり、少しのことでは動じることもなく、どっしりとした低い声で演じられています。

 「元」が付くとはいえ、海賊の中でも格が違う王下七武海を2人も担当している宝亀さんは、父親のような存在感で麦わらの一味のメンバーを支えているのでした。

◆スモーカーと番組ナレーター──大場真人さん

 1999年の番組放送開始から『ONE PIECE』のナレーションを担当している大場真人さんは、かつて海軍のスモーカー役を演じていた松尾銀三さんが病気で亡くなったため、2001年以降から役を引き継ぎました。

 爽やかで聞き取りやすい声のナレーションとは違い、スモーカーは重厚感あふれる威厳に満ちた声のため、少し聞いただけでは同じ人の声とは思えないほどに違いがあります。

 ほかにも大場さんは、「空島編」に登場するコニスの父・パガヤ役を含む複数のキャラクターを担当していますが、何か話す前に「すいません」と口にする気弱なパガヤも、気の強いスモーカーとはまったくキャラが違います。

 また、2001年に発売されたゲーム『ONE PIECE グランドバトル!』ではナレーションとともにパンダマン役も演じています。

◆クロコダイルと白ひげ──大友龍三郎さん

 大友龍三郎さん演じるクロコダイルに関しては明かされていない設定も多く、特に「白ひげ」こと、エドワード・ニューゲートと長年にわたって因縁があるものの、どのような関係だったのかは20255月上旬の時点でいまだに作中で描かれていません。

 しかし、2019年にエドワード・ニューゲート役の有本欽隆さんが病気により亡くなり、大友さんが役を引き継ぐこととなりました。

 長寿番組になると、キャストの訃報に伴って現キャストが役を引き継ぐことはよくあることですが、関係性が注目されているクロコダイルとエドワード・ニューゲートのキャストが同じ人になったため、ネットを中心に「これからどうなるのか」と話題になり、運命的なものを感じているファンもいるようです。

 さらに大友さんは「ワノ国編」で光月スキヤキ役も兼任していますが、声を比較すると光月スキヤキが最も高い声であり、エドワード・ニューゲートはクロコダイルに通ずる部分があるものの、一番低音なのはクロコダイルのようです。

 

 ──『ONE PIECE』に出演している声優はキャラクターが増えるにつれてダブルキャスト、トリプルキャストが当たり前のようになっていますが、同じ声優が担当しているとは思えないほど違う声で演じられています。

 特に平田広明さんのように、人の言葉で話すことのない動物の役を担当するということには、尊敬の想いが湧いてきます。

〈文/花束ひよこ〉

 

※サムネイル画像:Amazonより

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