ウソップのつく嘘の中には、今後、本当になるのではないのかと言われているモノがいくつかあり、中には実現して読者を驚かせた嘘もあります。彼はもしかしたら、『ONE PIECE』の預言者なのかもしれません。
◆南海に住む巨大な金魚と戦った──のちにリトルガーデンで……
ウソップはシロップ村にいたころ、村の富豪の娘・カヤを元気づけるためにさまざまな嘘話をして楽しませていました。
コミックス第3巻で、「おれが5歳の時南海に住む巨大な金魚と戦った時の話だ......!!!」「まず驚いたのはあのフンのでかさと長さだ」「おれはてっきり大陸だと思って上陸しちまったのさ」と偽りの冒険譚を語るウソップ。
話はここで終わったものの、のちにコミックス第15巻で、巨人族のドリーとブロギーが、島を食べて育つとされる巨大金魚「島食い」について言及しているのです。
ドリーとブロギーは「驚くのはデカさだけじゃない」「その辺の島を食い潰して出すフンのでかさと長さよ」「確か“何もない島”という名の巨大なフン」「昔、大陸と間違えて上陸したことを憶えている...!!」と発言し、ウソップのついた嘘とほとんど一致していたのでした。
ちなみにウソップはカヤに、巨大な金魚は切り身にして小人の国に運んだものの、いまだに食べきれていないと語りましたが、こちらはドレスローザ編に登場する小人のトンタッタ族が、体が小さいため闘魚を食べきるのに数ヵ月はかかると話していました。
◆おやつをくわねば死んでしまう病──ビッグ・マムが抱えている「発作」と類似?
コミックス第3巻で、ウソップは海賊船が村に上陸したと聞いて恐怖を感じ、「おやつの時間だ!」と言って逃げ出そうとしました。
それを村の子供たちにとがめられると「おれは実は“おやつをくわねば死んでしまう病”なんだ」と咄嗟に架空の病を作り出しましたが、ホールケーキアイランド編で、ビッグ・マムことシャーロット・リンリンに「食いわずらい」という発作があることが作中で明かされるや、ファンの間で「ウソップの発言が事実になった」と話題になりました。
厳密にいうとリンリンの場合は発作ですが、発症している間の記憶はほとんどなく、食べたいと思ったものを思う存分食べ尽くすまで落ち着くことはありません。
さらに発狂し続けると我が子であっても手にかけようとする姿は、まさに病的だといっても過言ではないでしょう。
リンリンは幼いころ、育ての母であるマザー・カルメルや他の孤児たちが自分のために作ってくれたお菓子を無我夢中で食べている間に、自分以外の全員が失踪するという不可解な体験をしました。
その場にはカルメルの服の一部だけが残されており、見方によってはリンリンが何をしたのか分かるようになっていますが、あまりにも衝撃的な展開のため配慮されたと考えられています。
◆援護こそが狙撃手の花道──映画では最後に大活躍!
2019年公開の映画『ONE PIECE STAMPEDE』でも、ウソップの臆病な一面やホラ吹きなところは遺憾なく発揮されています。
その中でウソップは「援護こそが狙撃手の花道だ」とうそぶき、腰が引けている様子に仲間も呆れるほど。
そして、同作で最大の敵であるダグラス・バレットにウソップはあっさりと大敗し、自分の弱さをルフィに泣いて詫びます。
しかし、ウソップが戦いの最中に投げつけた、緑星「蛇花火」は衝撃を受けると発動する仕組みで、ダグラス・バレットの動きを封じたばかりか装備の破壊にも成功し、ルフィが勝利するにあたって大きな手助けとなりました。
瀕死の重傷を負ったウソップでしたが、息も絶え絶えの中に「援護こそが狙撃手の花道だ」と再度発言し、見事な伏線回収とともに、彼の言ったことは事実となったのです。
◆今の揺れこそがおれの“覇気”だ──本当に覇気が覚醒!
コミックス第72巻では、海軍の藤虎ことイッショウが能力で隕石を落とし、その衝撃で大きな揺れが発生します。
その揺れをウソップは「今の揺れこそがおれの“覇気”だ」と大ウソをつき、純粋なトンタッタ族たちは「魚人島であなたが5万人の悪者を倒したというあの技!?」「さすがヒーロー!!」と歓喜して信じてしまいました。
トンタッタ族は純粋すぎるゆえに嘘を見抜く力が極端に低いこともあり、引っ込みがつかなくなったウソップ。しかし、ルフィとローに近付き、おもちゃにしようとするシュガーを止めるために、超遠距離狙撃をすると決断した際、3人の気配が見え、見聞色の覇気が覚醒し、狙撃は見事命中。仲間を守ることに成功したのでした。
──普段は逃げ腰で発言と行動が伴っていないことも多いウソップですが、数ある嘘の中から事実になるケースも増えています。
基本的に本人は「事実になる」と思っておらず、その場の雰囲気でうそぶいてばかりいますが、映画『ONE PIECE STAMPEDE』ではルフィを勝利に導くなど、“勇敢な海の戦士”の名に恥じない行動も取るため、今後のさらなる活躍に期待が寄せられます。
〈文/花束ひよこ〉
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