<この記事にはTVアニメ・原作漫画『ONE PIECE』のネタバレが登場します。ご注意ください。>

 複数の悪魔の実の能力を取り込むと体が爆散してしまうといわれる中、黒ひげことマーシャル・D・ティーチは作中でたった1人ヤミヤミの能力とグラグラの能力2つを宿しています。彼の正体については、これまでケルベロスであるという考察が主流でしたが、最近では「半魚人ではないか」といった面白い考察もファンの間で繰り広げられています。

◆黒ひげの正体はケルベロス?

 黒ひげは、以前からケルベロスの能力者なのではと推測されていましたが、シャムロックの剣からケルベロスが出現したことで、その可能性は低くなりました。今では、黒ひげは元々ケルベロスでヒトヒトの実を食べたのではないかという仮説が登場しています。

 この仮説の背景には、ケルベロスの心臓が3つあること、ケルベロスは寝ないこと、黒ひげの海賊旗にはドクロが3つあること、そしてルフィとゾロが黒ヒゲと会った際に「あいつじゃなくあいつらだ」と発言したことなどが根拠として挙げられています。

 しかし、白ひげの能力を奪った際、シリュウが「失敗したら解散か?」と発言していたことから、そのときに初めて能力を奪った、つまりそれまでは一つしか能力を持っていなかったと考えられるでしょう。

 仮に黒ひげがケルベロスでヒトヒトの実を食べたのなら、既にヤミヤミの実とヒトヒトの実の二つを取り入れていることになり、矛盾が生じます。よって、ケルベロス説は可能性としては低いかもしれません。

◆黒ひげは半魚人だった?

 ケルベロス説のほかにファンの間で考察されているのは、「黒ひげはタコの半魚人だったのでは?」という説です。

 過去にタコの魚人(はっちゃん)や人魚(ヒョウゾウ)が登場しているため、もし黒ひげがタコの半魚人だった場合、彼が3人目となります。

 この仮説の根拠には、「タコの心臓は3つあること」や「海賊旗の骨が8本あること」などが挙げられるでしょう。

 ただし、仮に半魚人だったとしても彼自身は一人しかいないため、ルフィたちの「あいつらだ」という複数形の発言とは矛盾します。また、タコも性質上眠ることが分かっているため、バギーの「生まれてから寝たことがない」という発言との相違も生まれます。

 そもそもこの説は、心臓に悪魔の実の能力が宿ることが前提ですが、ブルックには心臓がないため、この前提自体が成り立ちません。よって、半魚人説の可能性も低いかもしれません。 

◆黒ひげは性格の異なる人格が複数人いる?

 そのほかには、「黒ひげは多重人格なのでは?」という考察もあります。

 理由としては、「黒ひげは生まれてから一度も寝たことがない」という証言、海賊旗のドクロの数、そして黒ひげが所持しているピストルの数などが挙げられます。

 また、描写によって黒ひげの歯の欠けている部分が違うため、複数人いるのではともいわれています。

 しかし、実際に複数人の黒ひげがいるのであれば、同時に複数の悪魔の実の能力は使えませんし、合体していたら最初に黒ひげと出会った際に気づくはずです。そのため、複数人いるというよりは、多重人格であるという見解のほうが妥当でしょう。

 この説は、根拠は不十分ですが、ほかの考察に比べて矛盾点が比較的少ないと言えます。

◆黒ひげはベガパンクによって造られた?

 もう一つの説として重要視されるのが、ベガパンクの存在です。天才科学者ベガパンクは500年以上先の頭脳を持ち合わせており、過去に血統因子の存在を発見しています。

 血統因子の発見により、セラフィムやクローン人間の開発も可能になりました。これにより、彼はまさに神の領域に踏み込んだといえます。そんなベガパンクなら黒ひげを生み出す、もしくは改良することが可能だったのではないでしょうか。

 黒ひげの体が異形という点も、もしベガパンクにより人体実験されたと仮定するとつじつまが合います。

 また、「生まれてから寝たことがない」という情報についても、生まれたときから人体実験に巻き込まれていたと考えたらどうでしょうか。

 想像を超える痛みが走り、眠れなくなったとも考えられます。さらに、血統因子が発見されたことで、ほかの人の遺伝子を黒ひげに移植したとすると「あいつらだ」というルフィたちの発言にもうなずけるのではないでしょうか。

「人の倍生きているお前が今の状況を理解できないわけがない」というエースの発言は、血統因子から得られる情報により、人の倍の人生経験を得ていることを意味しているのかもしれません。

 

 ──いまだに憶測だけが飛び交う黒ひげの正体。彼はケルベロスなのか、それとも半魚人なのか、ベガパンクによる産物なのか……、今後の展開が気になるところです。『ONE PIECE』の物語も最終章に突入し佳境を迎えているため、黒ひげの真実が明らかになる日はそう遠くないかもしれません。

〈文/虹中勝久〉

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「ONE PIECE」第105巻(出版社:集英社)』

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