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 シャンクスは、なぜ「最弱の海」と呼ばれる東の海(イーストブルー)に約1年もの間とどまり続けたのか。これは、物語の始まりにして今もなお残る大きな謎です。彼の滞在の裏には、世界を揺るがす“お宝”を巡る任務と、未来の王を見つけ出すという、運命的な意味が隠されていたのかもしれません。

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◆「ただの休養」では説明がつかない数々の“不自然さ”

 シャンクスが東の海(イーストブルー)に滞在していた理由を考えるうえで、まず彼の行動がいかに「不自然」であったかを見ていきます。

 一つ目は、その「期間」です。彼はフーシャ村を拠点に、約1年もの間、東の海(イーストブルー)にとどまっていました。のちに“四皇”と呼ばれるほどの実力を持つ海賊団が、一つの場所にこれほど長く留まることは、不自然といえます。世界の覇権を争う彼らにとって、一年という時間は決して短くなく、たんなる休養や気まぐれでこれほどの時間を費やすとは考えにくいでしょう。そこには、明確な「目的」があったのかもしれません。

 二つ目は、その「場所」。なぜ、数ある中でフーシャ村だったのでしょうか。フーシャ村は、海軍の英雄でもあり、東の海(イーストブルー)出身であるモンキー・D・ガープがたびたび訪れていた村でもあります。普通の海賊ならば、わざわざ海軍の英雄の故郷ともいえる場所に近寄るという、危険な橋は渡らないハズです。

 しかし、シャンクスはあえてその村に拠点を構えていました。これは、何かを隠すための「灯台下暗し」の選択だったのではないでしょうか。一番危険に見える場所こそが、実は一番安全であると考え、世界中の誰の目からも逃れる必要があったのかもしれません。

 このように、「期間」と「場所」、その両面から見てシャンクスの東の海(イーストブルー)への長期滞在は、不自然で危険な行動だったと考えられます。それは、危険を冒してでも達成しなければならないほど重要な“隠された目的”があったことを強く物語っているといえるでしょう。

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◆盗まれた“お宝”──「ゴムゴムの実」の本当の正体

 シャンクスが危険を冒してまで東の海(イーストブルー)に隠れていた目的。その答えは、物語が大きく進んだのち、元CP9のフーズ・フーの口から語られました。

 彼は、12年前に世界政府の船から「ゴムゴムの実」を奪ったのが、赤髪海賊団であったという衝撃の事実を明かしています。つまり、シャンクスたちの当時の航海の目的は、この一つの悪魔の実を世界政府から奪うことだった可能性が高いといえるでしょう。

 しかし、なぜただの「ゴムゴムの実」を、四皇クラスの海賊団が命懸けで奪う必要があったのでしょうか。

 その答えこそ、この物語の核心に触れる最大の秘密でした。その実の本当の名前は、動物系 (ゾオン系)「ヒトヒトの実」幻獣種モデル“ニカ”。太陽の神の名を持つ、伝説の悪魔の実だったのです。

 五老星が「数百年の間入手できなかった」「あの実には意志が宿る」と語るほど、この実は世界政府にとって、絶対に手に入れなければならない、もっとも危険で重要な“お宝”といえます。そんな“お宝”を手に入れたシャンクスが、世界政府との衝突を避け、この実を隠すため、あえて「最弱の海」のさらに辺境にある「海軍の英雄の故郷」を選んだのは自然な流れだったのではないでしょうか。

 シャンクスがフーシャ村で過ごした約1年もの期間は、のんびりとした休養などではなく、世界でもっとも重要な“お宝”を守り、世界政府の目を欺きながら次の一手を考えるための、息の詰まるような潜伏期間だったといえます。彼の陽気な態度の裏には、世界を揺るがすほどの重大な任務が隠されていたのかもしれません。

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◆運命の出会い──ロジャーの意志を継ぐ者を探す旅

 シャンクスがニカの実を世界政府から隠すために東の海(イーストブルー)にいたことは見えてきましたが、はたして彼はその実をどうするつもりだったのでしょうか。

 作中でシャンクスが能力者であるという描写はなく、彼自身がこの実を食べるつもりはなかったと考えられます。だとすれば、彼はこの実を誰か特別な人物に託すつもりだったのではないでしょうか。

 それは、師であるゴール・D・ロジャー(ゴールド・ロジャー)が「おれ達は早すぎた」と語り、未来に現れると予言した伝説の戦士「ジョイボーイ」。シャンクスはその“意志”を継ぐ者を、自らの手で見つけ出すための旅をしていたのかもしれません。

 そんな中、運命のいたずらか、あるいは必然か、フーシャ村の少年、モンキー・D・ルフィがその実を食べてしまいます。そしてさらに、その少年がかつてロジャーが語ったのと同じ「夢の果て」を口にしたとされているのです。

 この瞬間、シャンクスは強く感じたのではないでしょうか。「実がこの少年を選び、そしてこの少年は、船長と同じ夢を語る」。それこそが、ロジャーが待ち望んでいた運命の出会いだったのかもしれません。

 だからこそ、シャンクスはロジャーから受け継いだ大切な麦わら帽子をルフィに託し、そして自らの左腕を「新しい時代」に賭けることをためらわなかったといえるでしょう。それは、長年にわたる探索の末に、ついに本物の後継者を見つけ出したという、確信を深めた象徴的な行為でもあったのかもしれません。

 シャンクスが東の海(イーストブルー)にいた、本当の理由。それは、ニカの実という“カギ”を使って、ロジャーの意志を継ぐ「次代のジョイボーイ」を見つけ出すためといえます。そしてフーシャ村でルフィと出会ったことで、シャンクスの長く続いた探索は、一つの大きな節目を迎えたといえるでしょう。

 

 ──シャンクスの東の海(イーストブルー)滞在。それは「ニカの実」を隠す任務と、ロジャーの意志を継ぐ後継者を探す、二重の目的があった旅だったといえます。ルフィとの出会いは、たんなる偶然とは言い切れない、シャンクスの“賭け”が引き寄せた運命だったのかもしれません。彼が帽子を託した日から始まった物語が再び交差する瞬間、この長い旅の本当の意味が明らかになるのでしょう。

〈文/凪富駿〉

《凪富駿》

アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「ONE PIECE」第105巻(出版社:集英社)』

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