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 “巨大戦艦”、“大酒”、“悪政王”、“若月狩り”。黒ひげがインペルダウンのLEVEL6から選び抜いた仲間は、なぜこれほど“クセ者”揃いなのでしょうか。その選考基準は、たんなる強さではなく、黒ひげの歪んだ野望と、伝説の「ロックス海賊団」の不気味な影が見え隠れします。

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◆インペルダウン・LEVEL6の“選別”──黒ひげが求めた仲間の資質

 黒ひげが仲間を探しに向かった場所は、世界一の大監獄インペルダウン、その最下層LEVEL6「無限地獄」でした。ここは、たんに凶悪なだけの犯罪者が送られる場所ではありません。その存在自体が世界政府にとって不都合で「歴史から消された」者たちが、永遠に幽閉される場所なのです。

 そこで黒ひげが行った仲間の選別方法は、あまりにも異常でした。彼は囚人たちを檻から解き放ち、互いに実力をぶつけ合わせ、勝ち残った者を仲間に加えたのです。そして、その地獄のような光景の中から、最後まで立っていた者たちを自分の船に乗せました。

 この行動から、黒ひげが求めていた仲間の資質が見えてきます。自分以外のすべてを敵とみなし、己の欲望のためだけに他人を蹴落とし生き残ろうとする、強烈な「エゴ」と「生命力」を持つ者。それこそが、彼が探し求めていた人材だったといえるでしょう。

 実際に選ばれたのは、悪政王アバロ・ピサロ、大酒のバスコ・ショット、巨大戦艦サンファン・ウルフ、そして若月狩りカタリーナ・デボン。「王」や「狩り」といった他者を支配することに喜びを感じる、極めて危険な異名を背負っているものもいます。彼らは黒ひげに忠誠を誓っているわけではなく、むしろ黒ひげの野望に乗ることで、自らの欲望を満たそうとしているだけだと考えられます。

 黒ひげがLEVEL6で求めたのは、仲間を思う心や船長への忠誠心ではありませんでした。それは、世界への反逆心と、自分の欲望にどこまでも正直なむき出しの「エゴ」。彼は、互いに信頼し合う「仲間」ではなく、それぞれの野心のためにいつでも裏切れ、利用し合える、ただ強力な「駒」のような存在を集めたのかもしれません。

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◆「個」が強すぎる無法者集団──ロックス海賊団との不気味な共通点

 黒ひげが集めた、強烈なエゴを持つ危険な仲間たち。この異様な海賊団の姿は、かつて世界を震撼させた、史上最凶の海賊団「ロックス海賊団」の姿と不気味なほど重なって見えます。

 ロックス海賊団とは、いったいどのような海賊団だったのでしょうか。若き日の白ひげ、ビッグ・マム、カイドウ、そして金獅子のシキといった、のちの時代に伝説となるほどのとてつもない個性と野心を持った海賊たちが集っていた集団です。しかし、かつて元帥であったセンゴクが語るように、彼らは仲間同士のぶつかり合いが絶えない、極めて仲の悪い海賊団でした。

 そんな彼らを一つにまとめていたのは、船長であったロックス・D・ジーベックの圧倒的な力と「世界の王になる」という、たった一つの野望だけだったのです。

 このロックス海賊団の特徴は、一人ひとりのメンバーがとてつもなく強く、野心的であること。仲間意識がほとんどなく、平気で裏切ること。そして、船長の野望のためだけに、一時的に手を組んでいること。これらはすべて、現在の黒ひげ海賊団の姿と、恐ろしいほどに類似しているといえます。

 さらに、黒ひげの船の名前が「サーベル・オブ・ジーベック号」であること、そして彼らの本拠地がロックス海賊団ゆかりの地である「ハチノス」であること。これらは、黒ひげが偶然ではなく、意図的にロックス海賊団を真似ていることを示唆しています。

 黒ひげ海賊団は、仲間との信頼で結ばれた麦わらの一味とは正反対の、「ロックス海賊団の再来」と呼ぶべき存在なのかもしれません。それは、お互いの野心と船長への恐怖によってのみ成り立つ、非常に危険でいつ壊れてもおかしくないバランスの上に存在する、無法者たちの集まりといえるでしょう。

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◆なぜ“クセ者”を集めるのか?──黒ひげの歪んだ「Dの意志」

 黒ひげはなぜ“クセ者”ばかりを集め、ロックス海賊団のような危険な集団を再現しようとしているのでしょうか。その答えは、彼が持つルフィとはまったく異なる、歪んだ「Dの意志」にあるのかもしれません。

 麦わらの一味と、黒ひげ海賊団。その違いは明らかです。ルフィは、仲間たちのつらい過去や、それぞれの夢を心から尊重し、信頼で結ばれた“家族”のような海賊団を作りました。一方黒ひげは、仲間の力を自分の野望のための「駒」として見ており、お互いの欲望を利用し合う関係を築いています。

 同じ“D”の名を持つ二人ですが、その目指すものは正反対です。これまでのルフィの生き様や行動から、ルフィが求めるのは、身分や種族に関係なく、誰もが自由に笑い合える世界だといえます。

 一方、黒ひげが求めるのは、すべての悪魔の実の能力と富を独占し、自分自身が世界の頂点に君臨する「絶対的な支配」ではないでしょうか。

 そう考えると、彼が“クセ者”ばかりを集める理由が見えてきます。彼が仲間に選んだLEVEL6の囚人たちは、既存のルールや常識を壊すことに、何の罪悪感も抱かない連中です。世界を自分の思い通りに支配するためには、まず今の世界を一度メチャクチャに壊す必要があると考えているとしたら。黒ひげにとって、彼らはそのための最高の「破壊者」として、これ以上ないほど適した人材だったといえるでしょう。

 黒ひげが“クセ者”を集める本当の理由。それは、彼が伝説の海賊ロックスが描いた「破壊」と「支配」によって世界を手に入れるという、歪んだ「Dの意志」を模倣し、体現するためだといえます。黒ひげ海賊団は、「新しい世界を創る」のではなく「今の世界を徹底的に壊す」ために集められた、究極の破壊集団なのかもしれません。

 

 ──黒ひげがインペルダウンで選んだ仲間は、強烈なエゴを持つ「ロックス海賊団」の再来といえます。彼が“クセ者”を集めるのは、世界支配という野望のため、既存の秩序を破壊する最高の「駒」を求めたからといえるでしょう。

 信頼で結ばれた麦わらの一味と、野心でつながる黒ひげ海賊団。二つの“D”が率いる海賊団が激突するとき、それはたんなる戦いではなく、仲間とは何か、自由とは何か、そして世界の未来の形を問う、最終戦争の一角となるのかもしれません。

〈文/凪富駿〉

《凪富駿》

アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。

 

※サムネイル画像:『「ONE PIECE」105巻(出版社:集英社)』

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