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 サンジが追い求める、4つの海の魚がすべて揃うという伝説の海、“オールブルー”。しかし、この海が世界のどこにも“存在しない”としたら。彼の夢は、叶わぬ幻で終わるのでしょうか。サンジの夢は、見つけるものではなく、仲間とともに“創り出す”ものなのかもしれません。

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◆「見つからない」伝説の海──オールブルーの“矛盾”と謎

 オールブルーとは、大航海時代が始まって以来、海を旅するすべてのコックが夢見る伝説の場所です。しかし奇妙なことに、これまでの800年もの長い歴史の中で、誰一人としてそこにたどり着けたという記録はありません。

 あの海賊王ゴールド・D・ロジャー(ゴールド・ロジャー)でさえ、オールブルーを見つけたという描写は現時点までの情報では存在しません。世界のすべてを知ったはずの彼が語らなかったという事実は、この海がたんに「見つけにくい秘境」ではないことを示唆しているように思えます。

 その理由として浮かび上がるのが、地理的な“矛盾”です。『ONE PIECE』の世界は、地球を一周する「赤い土の大陸(レッドライン)」と、それに直角に交わる「偉大なる航路(グランドライン)」によって、「東の海(イーストブルー)」、「西の海(ウエストブルー)」、「南の海(サウスブルー)」、「北の海(ノースブルー)」と、大きく4つの海に分断されています。

 それぞれの海は、海流も水温も異なり、まったく違う生態系を持っています。そんな4つの海の魚たちが、自然に一ヵ所に集まるような場所は、現在の世界の地図上では存在することがないといえるでしょう。

 オールブルーがいまだに発見されていないのは、それがどこか遠い場所に隠されているからではなく、現在の世界を形作る巨大な“壁”、つまりレッドラインが存在する限り、オールブルーは生まれることすらできないからなのではないでしょう。それが、オールブルーという伝説の海の衝撃的な真実なのかもしれません。

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◆「世界の壁」が壊れる日──古代兵器と“一つの海”

 オールブルーが存在しないのだとしたら、サンジの夢は本当に叶わないのでしょうか。『ONE PIECE』の物語は、まさにその「存在しない」原因となっている“世界の壁”を壊すための物語でもあるのかもしれません。

 魚人島編では、魚人族が地上の太陽の下で暮らすために「約束の舟ノア」という巨大な船が作られたことが語られています。この計画は、800年前の「空白の100年」に存在したという「巨大な王国」によって進められていました。

 彼らの計画にとって最大の障害こそ、魚人島を暗い海の底に閉じ込めている、巨大な「赤い土の大陸(レッドライン)」でした。つまり巨大な王国は、いつかこのレッドラインを取り除く計画を持っていた可能性があるのです。

 では、いったいどうやってあの大陸を破壊しようとしたのか。そのカギを握るのが、三大古代兵器なのではないでしょうか。島一つを跡形もなく消し去る力を持つとされる「プルトン」。そして、しらほし姫がその力に目覚めた、巨大な海王類を操る存在「ポセイドン」。もしこの二つの力が合わされば、レッドラインのような世界を分断する壁に干渉できる可能性は十分考えられるでしょう。

 ルフィたちが「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を見つけ、世界のすべての真実を知るとき。それは、これらの古代兵器が、800年の時を超えて本来の役目を果たす瞬間なのかもしれません。

 世界を無理やり分断するレッドラインが破壊され、4つの海は文字通り“一つなぎ”になる。そのときこそ、異なる海の魚たちが初めて交わる、伝説の海「オールブルー」が誕生する瞬間なのではないでしょうか。

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◆サンジの夢が叶う時──“創り出される”伝説の海

 レッドラインが破壊され、4つの海流が初めて一つに交わる。そのとき、世界の真ん中には、いったいどんな光景が広がるのでしょうか。そこには、すべての海の生き物たちが入り混じって泳ぐ、これまで誰も見たことのない奇跡の海域が誕生するのかもしれません。

 オールブルーの正体。それは、世界のどこかに隠された伝説の場所ではなく、世界の“壁”が壊れた瞬間に初めてこの世に“創り出される”、未来の海なのではないでしょうか。

 サンジが語ってきた「オールブルー」の夢は、過去の伝説を追いかける宝探しではありません。それは、ルフィという未来の海賊王と共に世界の夜明けを迎え、その瞬間に立ち会うという未来へ向けた壮大な旅だったのかもしれません。

 そして、すべての海が一つになること。それは、ゴール・D・ロジャーが遺した「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」が象徴する、理想の世界とも響き合います。それはすなわち、「自由」を奪うあらゆる壁が取り払われ、人々が本当の意味で“夜明け”を迎える瞬間でもあるといえます。

 サンジが追い求めるコックとしての夢は、ルフィが目指す「海賊王」の夢、そして『ONE PIECE』全体のテーマ──「すべての壁を取り払う」という物語の核心と、深くつながっているといえるでしょう。

 だからこそ、サンジの夢は決して幻では終わらないと考えられます。それは、ルフィたちが世界を変え、分断を破壊したときに初めて生まれる「新しい海の祝福」なのです。彼の夢が叶う日は、この物語が最高のハッピーエンドを迎える日になるのではないでしょうか。

 

 ──サンジが追い求める伝説の海「オールブルー」は、どこかにある秘境ではなく、世界の壁が壊れたときに“誕生する”未来の海なのかもしれません。

 彼の夢は宝探しではなく、仲間とともに新しい世界を“創る”ことだったといえます。いつの日か、サンジがオールブルーの魚で仲間と宴を開く瞬間。それは、ルフィの「自由」な冒険が“夜明け”に到達した証となるでしょう。

〈文/凪富駿〉

《凪富駿》

アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『DVD「ONE PIECE Log Collection “QUEEN”」(販売元:エイベックス・ピクチャーズ)』

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