ドレスローザ編での戦いの終わり、ルフィの意志とは関係なく7人の強者たちが一方的に交わした「親子の盃」。こうして生まれた、総勢5600人を超える巨大戦力「麦わら大船団」。
彼らはいつか、歴史に名を残すほどの「一大事件」を引き起こすと、物語は予告しています。その「Xデー」は、一体いつ、どこで、何のために訪れるのでしょうか。
物語の最終局面、ルフィを本当の「王」にするため、彼らは決定的な役割を果たすのかもしれません。
◆「親分」のためなら命も懸ける──大船団、それぞれの“現在地”
麦わら大船団の恐ろしさは、たんなる数にあるわけではありません。彼らを突き動かす、親分ルフィへの“絶対的”な忠誠心こそが、その本質なのです。
ドレスローザでの盃の場面では、ルフィ自身は「窮屈」と言って、親分になることを一度は断りました。しかし、美しき海賊団のキャベンディッシュや、人食いのバルトロメオといった一癖も二癖もある船長たちは「命全霊をかけてこの「子分盃!!勝手に頂戴いたしますだべ!!」と、一方的に子分の盃を交わしてしまったのです。
これは彼らがルフィの強さだけでなく、ドフラミンゴの歪んだ支配から、国と人々を解放したその“生き様”に心の底から惚れ込み、この男を「未来の海賊王にする」と命を懸けて誓った瞬間といえます。
そして、ドレスローザ後の扉絵連載では、大船団のメンバーたちのその後が描かれました。八宝水軍の棟梁であるサイは、ドンキホーテ海賊団の使用人であったベビー5と結婚。イデオは足長族のブルーギリーと「イデオ海賊団」を発足させました。そして、ハイルディンは新巨兵海賊団を結成。エルバフ編でも、ルフィたちの助けとなる布石が既に描かれています。
麦わら大船団は、ただ親分からの連絡を待っているだけではありません。それぞれの故郷や海で、着実に力をつけ、来るべき「一大事件」の日のために、静かに準備を進めているのです。
麦わら大船団の5600人は、決してただの寄せ集めではありません。彼らは、ルフィという一人の男を「未来の海賊王」と信じ、そのために自らを鍛え勢力を拡大し続ける、極めて強力な“待機戦力”。彼らの熱狂的な忠誠心こそが、歴史を動かす「一大事件」の最大の引き金となるのかもしれません。
◆「一大事件」の引き金は何か?──考えられる“3つのシナリオ”
ルフィを王にするため、いつでも駆けつける準備ができている麦わら大船団。では、彼らが一斉に集結する「一大事件」の引き金とは、いったい何なのでしょうか。考えられるのは、大きく分けて三つの筋書きです。
一つ目は「親分の危機」。物語の最終盤、ルフィが黒ひげや世界政府との戦いで、絶体絶命の窮地に陥る。その危機を、親分のビブルカードから感じ取った子分たちが、ルフィからの呼びかけを待つことなく自らの意志で世界中から一斉に駆けつける、という可能性です。
頂上戦争で、白ひげの危機に傘下の海賊たちが集結したように、今度はルフィのために仲間たちが海を埋め尽くす。そんな胸の熱い展開が考えられるでしょう。
二つ目は「子分の危機」。大船団の誰か、たとえば黒ひげ海賊団にナワバリをねらわれたバルトロメオなどが敵に捕らえられ、そのニュースが世界に流れる。それを知ったルフィが「おれの仲間に何してくれてんだ」と、“親分”としての怒りを爆発させ、仲間を救出するために、自ら大船団を呼び集める、という可能性です。
これは、自由を愛するルフィが「海賊王」として、自分を慕う者たちを守るという“責任”を受け入れる、大きな成長の物語になるかもしれません。
そして三つ目が「世界の危機」です。ルフィがラフテルにたどり着き「空白の100年」の真実を知ったあと。世界政府の歪んだ支配を終わらせるために、古代兵器とともに自らの意志で世界中の仲間たちに協力を呼びかける、という可能性です。
このとき麦わら大船団は、もはや“海賊王の子分”としてではなく、世界を解放する“ジョイボーイの戦士”として集結すると考えられます。彼らが起こす「一大事件」とは、世界そのものをひっくり返す「最終戦争」の始まりの合図なのかもしれません。
「親分の危機」か「子分の危機」か、それとも「世界の危機」か。いずれにせよ、その引き金が引かれたとき、麦わら大船団は初めて一つの巨大な力として歴史の表舞台に登場し、世界を揺るがすことになるのではないでしょうか。
◆「Xデー」はいつ、どこで?──最終戦争の“号砲”
では、麦わら大船団が集結する「Xデー」は、具体的にいつ、どこで訪れるのでしょうか。
まず、集結の「タイミング」です。ワノ国やエッグヘッドで彼らが集結しなかったことは「一大事件」がたんなる四皇同士の戦いではない、もっと大きな出来事であることを示しているといえます。
そのタイミングは、ルフィが「ラフテル」に到達し、世界の真実を知った“後”。世界政府との最終戦争が始まる、その瞬間である可能性が極めて高いでしょう。
次に、集結する「場所」です。最終戦争の主戦場が聖地マリージョアへの総攻撃ならば、彼らはそこに集結すると考えられます。あるいは、レッドラインが破壊され世界中が混乱する中で、大船団がそれぞれの海で同時に反旗を翻す「世界同時革命」のような形で描かれるかもしれません。
いずれにせよ、彼らの「役割」は明確です。5600人という数は、最終戦争において親分ルフィたちが、敵のもとへたどり着くための「道」をこじ開けるためにあるといえます。彼らは、政府側の圧倒的な物量に対し、その身を盾にして親分の道を切り開く。彼らの起こす「一大事件」とは、ルフィを本当の「王」にするための、最大の援護射撃なのではないでしょうか。
麦わら大船団が集結する「Xデー」とは、ラフテル到達後の「最終戦争」だといえます。彼らは、世界の運命を決める最後の戦いにおいて、未来の海賊王ルフィの道を切り開く“世界最大の戦力”として、歴史にその名を刻むことになるのかもしれません。
──麦わら大船団が起こす「一大事件」。それは、ラフテル到達後の最終戦争で、彼らが自らの意志でルフィの元に駆けつけ、彼を「王」にするための道を切り開くことなのではないでしょうか。
ルフィが一人で始めた冒険は、今や5600人もの仲間が背中を押す、巨大なうねりとなりました。彼らが再び盃を交わす日は、きっと世界の夜明けの日となるのかもしれません。
〈文/凪富駿〉
《凪富駿》
アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。
※サムネイル画像:Amazonより 『「ONE PIECE」第69巻(出版社:集英社)』