<この記事にはTVアニメ・原作漫画『ONE PIECE』のネタバレが登場します。ご注意ください。>
麦わらの一味に同行した謎の男、カリブー。彼の口から、ついに四皇・黒ひげの名が飛び出しました。この瞬間、一つの“世界最悪のシナリオ”が動き始めます。
カリブーが盗み聞きした古代兵器「プルトン」と「ポセイドン」の情報が、黒ひげに渡ってしまったら、世界はどうなるのか。
黒ひげが古代兵器を手に入れることの本当の意味と、それがもたらす最終局面への影響。その恐るべき未来が見えてくるかもしれません。
◆「情報屋」カリブーが盗み聞きした“2つの古代兵器”
ヌマヌマの実の能力者、カリブー。彼はシャボンディ諸島からエッグヘッドまで、麦わらの一味の船に潜り込み、ずっと何かを企んでいました。その目的は、一味の情報を盗み出し「あの人」と呼ぶ謎の人物に売り渡すことだったのかもしれません。
では、彼が“手土産”として握っている情報とは、いったい何なのでしょうか。それは、世界の運命を左右しかねない二つの「古代兵器」に関する、あまりにも危険な秘密です。
一つ目は、魚人島で手に入れた情報です。彼は物陰に隠れ、ニコ・ロビンとネプチューン王が交わしていた会話を、偶然にも聞いてしまいました。これにより、リュウグウ王国の王女しらほし姫こそが、海王類と心を通わせる伝説の古代兵器「ポセイドン」であるという、驚愕の事実を知っています。
そして二つ目が、ワノ国で手に入れた情報。ここでも彼は、麦わらの一味が交わしていた会話を盗み聞きしていました。その結果、この国の地下深くに、もう一つの古代兵器であり、島一つを吹き飛ばす力を持つという最強の兵器「プルトン」が、今も眠っていることを知ってしまったのです。
カリブーは、たんなる賞金首の低い小物ではありません。彼は、二つの古代兵器「プルトン」と「ポセイドン」の“場所”と“正体”という、世界政府ですら完全に把握できていない超重要情報を、その身一つに握っている。いわば、彼は極めて危険な「時限爆弾」のような存在といえるでしょう。そして、その爆弾の信管に火がつくときは、もう目前に迫っているのかもしれません。
◆「あの人」は黒ひげだった──“最悪の手土産”が渡る瞬間
カリブーという危険な「時限爆弾」。その信管に火がつく瞬間は、エッグヘッドでついに訪れました。
麦わらの一味と海軍、五老星までもが入り乱れる大混乱の中、カリブーはついに待ち望んでいた好機を掴みます。黒ひげ海賊団の幹部である、カタリーナ・デボンとヴァン・オーガー。彼らが能力を使ってエッグヘッドに潜入してきたその瞬間を、彼は見逃しませんでした。
そして、彼は二人に向かって言います。「あのお方に憧れておれァ海に出たんだよォ!!! “黒ひげ”「ティーチ様」の子分になるのがおれの夢」。この一言によって、彼が情報を渡そうとしていた「あの人」の正体が、四皇・黒ひげであったことが、完全に確定したのです。
この瞬間が意味すること。それは「しらほし姫=ポセイドン」という事実と「プルトンはワノ国の地下にある」という、二つの超重要情報が、この世界でもっとも危険で、もっとも予測不可能な海賊の手に渡ることが、ほぼ確実となったという、あまりにも恐ろしい現実といえるでしょう。
黒ひげの野望は、強力な悪魔の実を集める「能力者狩り」だけではないのかもしれません。世界の王を目指す彼が、悪魔の実と並ぶ、もう一つの「世界を滅ぼす力」である古代兵器に、強い関心を抱くのは当然と考えられます。
カリブーからの情報は、彼の野望を次の段階、すなわち「古代兵器狩り」へと進める、これ以上ないほどの“最悪の手土産”となるでしょう。
カリブーと黒ひげ海賊団の接触。それは歴史が大きく動く、決定的な瞬間といえます。黒ひげにカリブーが持つ情報が渡ったとき、彼は「最強の能力者軍団」に加え「最強の古代兵器」をも手に入れるための、恐るべき第一歩を踏み出すのではないでしょうか。
◆黒ひげが「プルトン」を手にしたとき世界はどうなるのか?
二つの古代兵器の情報を手にする可能性が高い黒ひげ。彼は、その力を使っていったい何をしようと考えるのでしょうか。
黒ひげがプルトンを欲しがるのは、たんにその破壊力が欲しいという理由だけではないのかもしれません。彼の目的は、世界政府に加盟し、「黒ひげ王国」を建国することです。
最強の兵器プルトンは、世界政府に対する、これ以上ない強力な「交渉のための切り札」となるといえます。プルトンを盾にして世界政府と交渉し、自らの王国を正式に認めさせる。それこそが、彼の真のねらいではないでしょうか。
彼は、かつて伝説の海賊ロックスが拠点とした「海賊島ハチノス」を、自らの王国として世界に認めさせようとしています。プルトンを手に入れることは、その野望を現実にするための、最善策と言えるでしょう。
そして黒ひげが王国の“王”となったとき、物語の最終局面はどうなるのか。ルフィは「巨大な王国」の意志を継ぐ者として、いずれ世界政府と全面対決する可能性が高いと考えられます。しかし、その前に立ちはだかるのは、世界政府だけではないのかもしれません。
古代兵器プルトンを手に入れ、自らを正式な「王」と名乗る黒ひげ。彼の存在は、ルフィが目指す「誰もが自由な世界」と黒ひげが目指す「力による支配の世界」、どちらが新しい時代にふさわしいのかを決める、最後の大きな壁となるのではないでしょうか。
最終戦争は、世界政府とルフィの二つの勢力だけでなく、古代兵器を巡るルフィと黒ひげの戦いが加わる可能性が高いといえます。そしてそれは、三つの勢力が入り乱れる、誰も予想できない混沌とした戦いになる。黒ひげがプルトンを手にしたとき、彼は世界政府をも脅かす「第三の勢力」として、世界の中心に躍り出ることになるのかもしれません。
──カリブーがもたらす古代兵器の情報。それは、黒ひげを次の段階へと進める最悪の手土産となるのではないでしょうか。彼のねらいは、プルトンを「交渉カード」に「黒ひげ王国」を建国すること。
最強の能力者軍団と古代兵器を手にした黒ひげは、ルフィと世界政府に並ぶ「第三の勢力」となるといえます。世界の未来を懸けた、二人の“D”の激突は、もはや避けられない運命なのかもしれません。
〈文/凪富駿〉
《凪富駿》
アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。
※サムネイル画像:Amazonより 『「ONE PIECE」105巻(出版社:集英社)』