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 ボア・ハンコックの「メロメロの実」の能力。その美貌は、すべてを石に変えます。しかし、その力はなぜかルフィにだけ効きませんでした。この謎の答えは、彼女が秘めるもう一つの力、「王の資質」の証──“覇王色の覇気”に隠されているのかもしれません。彼女の能力と「女王の資質」が結びつくとき、メロメロの実の本当の恐ろしさが見えてきます。

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◆「見下しすぎて」発動する覇気──ハンコックが持つ“女王の資質”

 ハンコックの強さの根源を語るうえで、決して忘れてはならないのが、彼女が「覇王色の覇気」の持ち主であるという事実です。

 その事実が初めて作中で示唆されたのは、女ヶ島の闘技場で、ルフィが初めて無意識に覇王色の覇気を放った、あの衝撃的な場面でした。

 観客席にいた誰もがその力の正体を理解できずにうろたえる中、ハンコックとその妹であるサンダーソニア、マリーゴールドだけが、その力に気づきます。「わらわと同じ……「覇王色」を……!!?どういう事じゃ!!」。

 このセリフこそ、ハンコックが作中でも数少ない「覇王色の覇気」の持ち主であることを示す、揺るぎない証拠といえます。

 重要なのは、覇王色の覇気が悪魔の実のようにあとから手に入れるものではなく、生まれながらにして持っている「王の資質」である、という点です。

 つまりハンコックは、天竜人の奴隷になるという悲劇的な過去を経験するよりも前、そしてメロメロの実を食べるよりも遥か昔から、生まれながらにして人々の上に立つ“女王”としての器を持っていたといえるでしょう。

 ハンコックの強さの根源は、メロメロの実という後から得た力だけではありません。彼女の魂の根幹には、生まれながらにして他者を惹きつけ、あるいは従わせる「覇王色の覇気」という、もう一つの絶対的な力が備わっているのかもしれません。

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◆なぜルフィに効かない? なぜ黒ひげに敗れた?──“メロメロ”の「仕組み」と「限界」

 ハンコックの二つの力「メロメロの実」と「覇王色の覇気」。この二つの関係を解き明かすことで、彼女の能力が持つ複雑な「仕組み」と、そして「限界」が見えてきます。

 まず、メロメロの実の能力が効かない条件についてです。女ヶ島の闘技場ルフィと対峙したとき、ルフィにはハンコックの技は効きませんでした。一般的に「ルフィに邪心がないから効かなかった」と考えられていますが、本当にそうでしょうか。

 ルフィはナミやロビンの姿に鼻血を出すこともありますし、女ヶ島の女性たちは恋愛感情とは無関係に石化していました。また、海軍のモモンガ中将が、自らの手をナイフで突き刺すという強い意志で、石化を無理やり解除している描写もありました。「邪心」という曖昧な言葉だけでは、この能力のルールを説明することはできません。

 メロメロの実の能力は、たんに「美しさ」に心を奪われた者が石になるのではなく、ハンコックが放つ「覇王色の覇気」に、心が“魅了”され、精神的に“完全に降伏”してしまった者が石になる、という仕組みなのではないでしょうか。

 ルフィにだけ効かなかった理由。それは、彼自身がハンコックと同等、あるいはそれ以上の、強大な「覇王色の覇気」の持ち主だからという可能性が高いです。王の資質を持つ者は、ほかの王の覇気に、決して精神的に“降伏”することはないと考えられます。

 ではなぜ、そんな彼女が黒ひげに敗北寸前まで追い詰められたのか。それは、黒ひげが持つ「ヤミヤミの実」の能力によって、彼女の力の源泉である「メロメロの実」の能力そのものを、“無効化”されてしまったからといえます。能力を封じられてしまえば、たとえ覇王色の覇気が使えても、その効果を「石化」という現象につなげることができないのではないでしょうか。黒ひげは、彼女の強さの仕組みを完全に見抜き、その弱点を的確に突いてきたといえます。

 メロメロの実は「覇王色」を起爆剤とする、極めて強力な能力である可能性が高いです。しかし、その強さは悪魔の実に依存しており、能力そのものを無効化するヤミヤミの実とは、最悪の相性だったのかもしれません。

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◆レイリーの助けと“覚醒”の可能性──「女王」の真の価値

 黒ひげに能力を奪われる寸前だったハンコック。彼女を危機から救ったのは、“冥王”シルバーズ・レイリーでした。この出来事は、ハンコックがいかに重要な存在であるかを示しています。

 なぜ黒ひげは、3つ目の能力として「メロメロの実」を渇望したのでしょうか。それは黒ひげが、ハンコックの能力は「覇王色の覇気」と結びついた、特別なものであることを見抜いていたからかもしれません。覇王色を持たない黒ひげでも、この実を手に入れれば、擬似的に「王のカリスマ」を得られると考えていたのではないでしょうか。

 そして、隠居していたレイリーが、なぜ命懸けで彼女を助けに来たのか。それはレイリーが、ハンコックの持つ「覇王色とメロメロの実」という唯一無二の組み合わせが世界の未来を左右するほど重要だと認識しているからなのかもしれません。彼女は、失われてはならない“切り札”なのではないでしょうか。

 黒ひげとの戦いは、ハンコックに初めての「敗北」と「限界」を教えました。しかし、この経験から彼女が覇気をさらに高め、能力を完全に“覚醒”させることができたとしたら──。

 それは、もはや「魅了」という感情さえも必要とせず、彼女の覇王色が及ぶ範囲のすべてを無差別に石化させるような、古代兵器にも匹敵する力へと進化する可能性を秘めているといえるでしょう。

 黒ひげとの戦いは、彼女にとって最大の屈辱でした。しかし、レイリーに守られたことで、彼女の真の価値が示されたのです。この経験を乗り越えたとき、「女王の資質」は、世界の運命を左右する本当の力として完成するのかもしれません。

 

 ──ハンコックの「メロメロの実」がルフィに効かないのは、彼もまた「覇王色の覇気」の持ち主だからだと考えられます。彼女の能力は、自身の覇気に心が“降伏”した者を石に変える、特別な力なのではないでしょうか。

 そして、その力が強力なのは、「女王の資質」が常に能力を“覚醒”に近い状態へと引き上げているからといえます。黒ひげに敗れた経験を乗り越え、彼女が真の覚醒を遂げたとき、ハンコックの美しさは、世界の運命を左右する力となるのかもしれません。

〈文/凪富駿〉

《凪富駿》

アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『DVD「ONE PIECE Log Collection “HANCOCK”」(販売元:エイベックス・ピクチャーズ)』

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