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※この記事にはTVアニメ・原作漫画『ONE PIECE』のネタバレが登場します。ご注意ください。

※本記事は漫画『ONE PIECE』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。

 ラフテルにたどり着き「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を目の前にした海賊王ゴール・D・ロジャー(ゴールド・ロジャー)。彼は、財宝を手にすることなく、ただ涙を流すほど“爆笑”したといいます。

 金銀財宝を前に、なぜ彼はそんな反応をしたのでしょうか? その答えは、800年前にジョイボーイが遺した「とんでもねェ宝」が、富や兵器などではなく、あまりにも壮大で、そしてあまりにも“ふざけた”計画だったからなのかもしれません。

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◆「この世の全て」の本当の意味──ペコムズが語ったヒント

 海賊王ロジャーが爆笑した理由。その謎を解くには、まず彼が命を落とす直前に遺した「この世の全てをそこに置いてきた」という言葉の、本当の意味を考える必要があります。

 大海賊時代の幕開けとなったこの言葉を、人々は「富・名声・力」と解釈しました。しかし、金銀財宝や名誉といったものを見ただけで、あの冒険好きのロジャーが、涙を流すほど笑うでしょうか。おそらく「この世の全て」には、もっと深い、別の意味が隠されているのかもしれません。

 その重要なヒントは、意外な人物の口から語られていました。コミックス82巻のホールケーキアイランド編で、ビッグ・マム海賊団のペコムズは自らの故郷でもある「万国(トットランド)」をさしてこう叫びました。「世界中の全種族が差別なく暮らせる国……!!!いや……この世の全てだ!!!」彼にとっての「この世の全て」とは、財宝ではなく「すべての種族が差別なく、共に暮らせる世界」だったのです。

 この視点から考えると、「ひとつなぎの大秘宝」が持つ意味も見えてきます。「ひとつなぎ」とは、文字通り「人と人とをつなぐ」こと。身分や種族、過去の因縁といった、あらゆる壁を取り払い、世界中の人々が手を取り合えるようにする。それこそが、ジョイボーイが目指した理想であり、彼がラフテルに遺した“宝”の本質なのではないでしょうか。

 ワンピースの正体は、個人の欲望を満たすための財宝などではなく、ジョイボーイが夢見た「すべての種族が共存できる世界」を実現するための、壮大で、そして心温まる“何か”なのかもしれません。

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◆ロジャーが爆笑した理由──「未完成の遊園地」という仮説

 「全種族の共存」という、ジョイボーイが夢見た美しい理想。それをもっとも楽しく、そしてもっとも簡単に叶えることができる場所とは、いったいどこでしょうか。その答えこそが、ロジャーを笑わせた宝の正体なのかもしれません。

 その正体とは、大人も子供も、人間も魚人も、すべての種族が理屈抜きで笑顔になれる場所──。「巨大な遊園地」です。

 コミックス63巻で魚人島の子供たちが、地上の「シャボンディパーク」に強く憧れていたことを思い出してください。作中において「遊園地」は、平和と自由、そして全種族の憧れの象徴として描かれています。ジョイボーイがラフテルに遺したのは「空白の100年」に存在した「巨大な王国」の超科学を駆使して作られた、現代では想像もつかないようなアトラクションが並ぶ、まさに「夢の国」だったのではないでしょうか。

 では、なぜロジャーはそれを目にして爆笑したのでしょうか。それは、彼がたどり着いたとき、その巨大な遊園地がまだ“未完成”だったからだと考えられます。

 遊園地を完成させるためには、どうしても必要な「最後のアトラクション」が、あと一つだけ足りなかった。ジョイボーイという男が、これほどまでに壮大な計画を立てながら、肝心なところで一つ足りずに完成させられなかったという、そのユーモアあふれる“オチ”。

 「とんでもねェ宝を残しやがって……!!!とんだ笑い話だ!!」。ロジャーのこの言葉は、ジョイボーイのあまりにも自由な発想力に対する、最高の賛辞だったのかもしれません。彼は、世界をひっくり返すための計画が、まさか「巨大な遊園地の完成」だったという事実に、涙を流すほど笑うしかなかったのです。

 ロジャーがラフテルで見たもの。それは、全種族が笑い合える「夢の国」と、それがまだ一歩及ばずに未完成であるという、最高の“喜劇”だったのではないでしょうか。

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◆方舟ノアとバイキング──サンジの夢が世界を完成させる?

 ロジャーを爆笑させた未完成の遊園地。そこに足りなかった「最後のアトラクション」とは、何だったのでしょうか。その答えは、魚人島に眠る巨大な方舟「ノア」である可能性が高いです。

 ノアは「魚人族の移住のため」と伝えられています。しかし、その本当の使い道は、もっと陽気なものだったのかもしれません。

 その使い道とは、遊園地の定番アトラクション「バイキング」です。シャボンディパークにもあった、海賊船型の巨大ブランコ。ジョイボーイの計画は、このノアをラフテルの遊園地の最後のアトラクションとして設置し、すべてを完成させることだったのではないでしょうか。

 その巨大なバイキングに、人間も魚人も巨人も、すべての種族が一緒に乗り笑い合う。それこそが、ジョイボーイが夢見た「ひとつなぎ」の完成形だといえます。

 そして、この計画は、麦わらの一味のある男の夢と、奇跡的につながります。ルフィは、ジョイボーイの後継者として、しらほし姫(ポセイドン)とともに海王類にノアを引かせ、ラフテルへと運ぶと考えられます。

 その遊園地が完成した瞬間、何が起こるのか。ラフテルを中心に世界の海流が変わり、4つの海のすべての魚たちが集まる、奇跡の海域が“誕生”する。そう、麦わらの一味のコックであるサンジが探し求めてきた、伝説の海「オールブルー」がそこに創り出される可能性があるのです。

 「ひとつなぎの大秘宝」の正体。それは、仲間たちの夢が、一つの場所で、一つの瞬間にすべて叶うという、最高の“宝物”なのかもしれません。サンジの夢が叶うとき、それはルフィの冒険が最高の形でゴールを迎える瞬間でもあるといえるでしょう。

 

 ──ロジャーがラフテルで爆笑した理由。それは、「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」の正体が「巨大な遊園地」であり、しかも最後のピースである方舟ノア(バイキング)が足りない、“未完成”の状態だったからなのかもしれません。

 ルフィが、ジョイボーイの意志を継いで最後のピースを運ぶとき、遊園地は完成し、そこに「オールブルー」が誕生すると考えられます。

 仲間全員の夢が、一つの場所で同時に叶う。それこそが、ルフィたちが手に入れる最高の宝物であるといえるでしょう。

〈文/凪富駿〉

《凪富駿》

アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『DVD「ONE PIECE Log Collection “ROCKET MAN”」(販売元:エイベックス・ピクチャーズ)』

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