※この記事には漫画『ONE PIECE』のネタバレが含まれます。ご注意ください。
※本記事は漫画『ONE PIECE』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。
自由を愛する海賊、“赤髪”のシャンクス。しかし、彼は15年前、一度その自由な生き方を捨て、自らが天竜人・フィガーランド家の血を引くことを受け入れ、聖地マリージョアに戻っていました。最新の物語で明かされた、この衝撃の事実。
なぜ彼は、もっとも嫌うはずの“神々”の世界に、その身を置くことを選んだのでしょうか。そのすべての引き金は、ちょうど同じ時期に、あの“黒ひげ”ティーチによって左目に刻まれた、一つの深い傷にあるのかもしれません。
◆「15年前」に何があったのか?──黒ひげが変えたシャンクスの運命
シャンクスの人生を語るうえで、もっとも重要な転換点となった「15年前」。この年に、彼の運命を決定づける、二つの大きな出来事が起こっていました。
一つは、彼が24歳のときに聖地マリージョアへと戻り天竜人の世界で“神の従刃”となったという事実です。自由な海賊であった彼が、なぜその生き方を捨てたのか。
その答えのヒントとなるのが、もう一つの出来事。彼の顔に今も残る、三本の大きな傷です。
シャンクスは白ひげに対し、この左目の傷は、あの黒ひげ・ティーチにつけられたものだと語っています。そして重要なのは、フィッシャー・タイガーとの戦いの描写です。
タイガーの攻撃をシャンクスは額に受けますが、タイガーの手にある布は包帯であり、それはシャンクスの顔に巻かれていたものを剝ぎ取ったのだと考えられます。つまり、この傷が聖地に戻る直前、つまり15年前には既に存在していた、という事実です。
シャンクスは、ティーチとの戦いを「油断などしていなかった」と振り返っています。これは、当時のティーチが、白ひげ海賊団の一船員という立場に甘んじながらも、既にその実力と、何か底知れない野望を隠し持っていたことを、シャンクスが見抜いていた証拠といえるでしょう。
15年前の戦いの際、シャンクスはティーチの口から、彼が「ある特定の悪魔の実」を、執念深く探しているという事実を聞かされたのかもしれません。そして、その野望の闇の深さに、この男をこのまま野放しにしてはならないと、強い脅威を感じ取ったと考えられます。
シャンクスが海賊としての自由な生き方を一度捨て、聖地に戻るという大きな決断をした、そのすべての引き金。それは、15年前の黒ひげ・ティーチとの戦いにあった可能性が高いです。この戦いで彼は、ティーチこそが「ロジャーが待っている男」ではなく、世界の均衡を破壊するもっとも危険な存在であることを、誰よりも早く確信したのではないでしょうか。
◆なぜ聖地に戻ったのか?──「ゴムゴムの実」を巡る攻防
黒ひげという脅威を確信したシャンクス。ではなぜ、彼は対策として、もっとも嫌うはずの聖地マリージョアに戻るという選択をしたのでしょうか。
まず、彼がいつ自らの血筋を知ったかを考える必要があります。おそらく、ラフテルから帰還したロジャーに問い詰めて泣いていたあの場面。ここでロジャーから、自らがフィガーランド家の血を引くことを知らされたのではないでしょうか。
しかし、彼はその事実を知りながらも、24歳になるまで海賊として自由に生きてきました。そんな彼が15年前に生き方を変えたのは、よほど大きな理由があったはずです。そしてそれは、黒ひげが探す「悪魔の実」を、黒ひげよりも先に手に入れるためだったと考えられます。
その情報を得るには、世界政府の中枢に潜り込むしかない。シャンクスは、自らがもっとも嫌う「天竜人の血筋」を逆手に取り、情報を探る「スパイ」になるという、苦渋の決断をしたのではないでしょうか。
では、彼が探していた実とは何か。結果的にティーチが求めていたのは「ヤミヤミの実」でした。しかしシャンクスは当初、彼が探しているのは、ジョイボーイの復活に関わる最重要の実である「ゴムゴムの実(ヒトヒトの実 モデル“ニカ”)」だと勘違いしていたのかもしれません。
「ロジャーが待っている男ではないティーチに、この実だけは渡してはならない」。その一心で彼は聖地に戻り、情報を収集。そして、CP9が護送していた「ゴムゴムの実」を、強奪することに成功したのです。
シャンクスが聖地に戻った理由。それは、黒ひげの野望を阻止するため。彼は海賊の誇りを一時的に捨て、自らの血筋を利用した「スパイ」となり、世界の運命を左右する悪魔の実を守るために動いたといえるでしょう。
◆神の従刃という名のスパイ──二つの顔を持つ男
15年前、黒ひげの野望を阻止するため、聖地マリージョアに戻ったシャンクス。彼はそこで“神の従刃”という地位を与えられ、天竜人の世界に潜入します。
彼は双子の兄シャムロック聖に「もっと教えてくれ 聖地の事」と頼むなど、積極的に内部情報を探ろうとしていました。彼の真の目的は、悪魔の実の情報だけでなく、イム様の存在など、世界の根幹に関わる秘密を暴くことだったのかもしれません。
そして同じ時期に起きた、フィッシャー・タイガーによる「聖地マリージョア襲撃事件」。このとき、シャンクスはタイガーの前に立ちはだかりました。これは、彼が天竜人として奴隷解放を阻止した、という単純な構図ではないでしょう。
既に左目に傷を負っていた彼が、あの混乱の場にいたのは、事件に乗じて内部情報を探るため、あるいはタイガーの行動が世界に与える影響を調査するためではないでしょうか。彼はスパイとして、非情な判断を下さねばならなかったと考えられるでしょう。
そして現代。彼が五老星と直接謁見できるのも、この過去があるからなのかもしれません。
彼はたんなる四皇としてではなく、かつて聖地にいた「フィガーランド家の者」として、特別なつながりを持っているといえます。だからこそ、五老星も彼の言葉に耳を傾けるのでしょう。
シャンクスは15年前からずっと、自由な海賊という「表の顔」と、世界の均衡を守るため天竜人の世界に潜入する「裏の顔」を、使い分けてきたのではないでしょうか。
彼の不可解な行動のすべては、15年前に黒ひげによって左目の傷を刻まれたあの日から始まった、世界の未来を懸けた孤独な戦いの一部なのかもしれません。
──なぜシャンクスは、一度海賊を捨て聖地に戻ったのか。その引き金は、15年前に黒ひげの脅威を確信したからだといえるでしょう。彼は、黒ひげの手に渡ってはならない「ゴムゴムの実」を守るため、自らの血筋を利用し、「スパイ」となる道を選んだのです。
自由な海賊という「表の顔」と、世界の均衡を守る「裏の顔」。彼の二つの顔は、15年前のあの“傷”の日から始まった、世界の未来を懸けた孤独な戦いの証。その真意が明らかになる日は、そう遠くないのかもしれません。
〈文/凪富駿〉
《凪富駿》
アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。
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