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※この記事にはTVアニメ・原作漫画『ONE PIECE』のネタバレが含まれます。ご注意ください。

※本記事はTVアニメ・原作漫画『ONE PIECE』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。

 エースは、なぜ20年もの間「海賊王の息子」と知られずに生きられたのでしょうか。そして、なぜ頂上戦争の直前に正体が暴かれたのか。母ルージュの執念、ガープの隠蔽、黒ひげの情報戦から、その裏側を読み解きます。

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◆母ルージュが作った「10ヶ月の空白」──政府の常識を破壊した執念

 海賊王ロジャーが命を落としたあと、世界政府の諜報機関サイファーポールは、彼の足跡を徹底的に洗い出しました。その結果、南の海(サウスブルー)の島「バテリラ」で、ロジャーが父親のように振る舞っていたという情報を得ました。

 そして、政府が下した決断は非情でした。「ロジャーの死後10ヶ月以内に生まれた赤ん坊、および妊婦をすべて調査し、命を奪え」というものです。

 この「10ヶ月」という期間は、人間の妊娠期間を考えれば医学的にも科学的にも十分に余裕を持たせた「完璧な包囲網」のはずでした。しかし、母ポートガス・D・ルージュの執念は、政府の常識をはるか超えていたのです。

 ルージュは、わが子を守るために「20ヶ月」もの間、赤ん坊であるエースを腹の中に留め置いたのです。これにより、エースの誕生日はロジャーが命を落としてから1年3ヶ月も後のこととなりました。政府の捜査チームが「もうこの島にロジャーの子はいない」と引き揚げたあとに、エースはこの世に生を受けたのです。

 このルージュが作り出した「10ヶ月の空白」こそが、政府のデータベースに最初の、そして最大の綻びを生じさせた要因といえます。さらに、海軍の中将という立場でありながら、ロジャーに頼まれ公式記録に一切残さない形でエースを回収し、東の海(イーストブルー)の山賊ダダンの元へ預けたガープの隠蔽工作が重なり、隠蔽をより強固なものにしました。

 公式には「存在しないはずの期間」に生まれ、「存在しないはずの場所」で育った少年。ルージュの命を懸けたタイムラグと、ガープが施した隠蔽が政府の冷徹な計算を根底からくつがえし、20年という長い空白期間を作り出したといえるでしょう。

◆白ひげの船への乗船と「政府の再調査」

 どれほど完璧な隠蔽も、エースが海賊として名を上げ、世界の表舞台に姿を現したことで限界を迎え始めます。一海賊ならまだしも、四皇の一角である白ひげ海賊団の二番隊隊長という「世界のパワーバランスを左右する要職」に就任したことが、大きな転換点となったと考えられます。

 四皇の幹部クラスともなれば、世界政府による身元調査のレベルは格段に跳ね上がるといえます。ここで政府の調査官が注目したのが、彼の名乗る「ポートガス」という極めて珍しい姓でした。

 政府のデータベースには、20年前にバテリラで「ロジャーと親交があった女性」として、ポートガス・D・ルージュの名が記録されていたのではないでしょうか。さらに、エースがガープの故郷である「東の海(イーストブルー)」から現れた天才児であるという事実。この二つの点がつながった瞬間、政府内で眠っていた「バテリラの未解決ファイル」が再び起動してしまったと考えられます。

 「ポートガス」の名を持つ少年が、なぜ20年という空白のときを経てロジャーの生涯のライバルであったガープの故郷から現れたのか。政府はここで、かつての「10ヶ月」という常識的な捜査期間が、医学的な限界を超えた執念によって「突破されていた可能性」にようやく気づいたのではないでしょうか。

 エース自身のまばゆいばかりの活躍が、皮肉にも政府の検索網を活性化させ、かつての「捜査の漏れ」を再照合させてしまった。彼の海賊王の息子としての自由への渇望と才能こそが、20年以上も守られてきた隠蔽の壁を、内側から壊してしまったと考えられるでしょう。

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◆インペルダウン収監と「ある人物」による裏取り

 政府が抱いた「疑念」が揺るぎない「確信」へと変わったのは、黒ひげがエースを海軍に引き渡した際のことだと考えられます。エースの正体発覚は決して偶然の露呈などではなく、ティーチという男が周到に仕掛けた高度な「情報戦」による敗北だった可能性が極めて高いのです。

 白ひげはエースが「ロジャーの息子」であることに気づいていたとされています。そしてティーチは、白ひげの船に20年以上もの長きにわたって在籍していました。その気の遠くなるような歳月の中で、エースの血筋に気づいていた白ひげから、エースが「海賊王の息子」であるという何らかの核心的な情報を握っていたのではないでしょうか。

 政府に対し「エースの身柄」という物理的な対価だけでなく、「彼こそが海賊王の血筋である」という致命的な情報を手土産にしたことが、自らを七武海に認めさせるための決定打となったのかもしれません。

 そして、バナロ島の決闘で黒ひげに敗れたエースが深海の大監獄インペルダウンの最下層へ収監されたことで、政府はついに「最終的な裏取り」を行うための絶対的な機会を手にしたといえます。

 監獄内という完全に管理・隔離された環境下において、政府の専門機関はエースの血液成分や身体的特徴を詳細に採取。保存されていたであろうロジャーの検体データ、あるいは血縁関係の証明に不可欠なデータと照合したと考えられます。

 このような証拠によって血筋が100%証明されたからこそ、センゴク元帥は頂上戦争の処刑台という全世界が見守る最高の舞台において、堂々とエースが「お前の父親は!!!“海賊王”ゴールド・ロジャーだ!!!!」という事実を公表できたといえるでしょう。

 エースの正体が露見したのは、決して彼自身の不用意さや甘さゆえではないといえます。母が命を賭して作り、父の友が立場を危うくしてまで守り抜いた20年間の隠蔽が、ティーチという裏切り者のたくらみと政府による鑑定が合致した瞬間に、ついに限界を迎えてしまったのではないでしょうか。

 

 ──ルージュが命を懸けて作った「20ヶ月の空白」とガープの隠蔽は、政府の包囲網を20年欺き続けました。

 しかし、エースが白ひげ海賊団で名を上げたことで政府は再起動したといえます。黒ひげの裏切りと収監後の照合により、ついに正体は特定されたといえるでしょう。

 政府は情報戦で勝利し、血筋の根絶を目論みました。しかし、処刑台は皮肉にもエースが「愛」を確信し、誇り高く旅立つ舞台となります。政府はデータを書き換えても、ルージュが守り抜いた絆までは消せませんでした。エースの終幕は血縁を超えた絆をルフィへとつなぎ、時代の転換点となったのかもしれません。

〈文/凪富駿(ONE PIECE担当ライター)〉

《凪富駿》

アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に活動するフリーライター。アニギャラ☆REWでは『ONE PIECE』関連記事を担当し、物語の伏線、キャラクターの関係性、名シーンの解釈などを読者目線でわかりやすく解説している。作品を読み返したくなるような記事制作を心がけている。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「ONE PIECE」第18巻(出版社:集英社)』

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