2026年の幕開けとともに、シンガーソングライターでアイドルグループ・ZOCXの大森靖子さんが動いた。1月3日、自身のX(旧Twitter)で、ネット上で長年物議を醸してきた「過去の失言」について、ついにその沈黙を破ったのだ。
◆封印された「11年前の対談」……自由を求めた若き日の葛藤
ターゲットとなったのは、今から11年前の2014年9月。『音楽ナタリー』での銀杏BOYZ・峯田和伸さんとの対談で飛び出した、あのフレーズだった。
当時、峯田さんが「女性アイドルの世界は、男性側の欲望によって作られているのではないか」と鋭く切り込むと、大森さんも「アイドルを動かしているのは結局男の人」と共鳴。その議論の中で、彼女は女性学の先駆者である田嶋陽子氏を引き合いに出し、「でも田嶋陽子的なのはイヤですよ(笑)」と発言した。
続けて、「ああいうのがやりたいわけじゃないです。女性が社会運動すればするほど女性が不自由になっていくんですよ。だからあれとっととやめてほしくて。だってもともと自由なんだから。社会と関係なく自由でいればいい。世界は楽しいじゃん、ってずっと思ってるんです」と、既存の枠組みへの強い拒絶感を露わにしていたのだ。
◆「逃げない」大森靖子がSNSに刻んだ11年分の覚悟
この11年前の言葉が多様性の時代となった今、再び波紋を広げていた。しかし、大森さんは逃げなかった。新年の静寂を切り裂くようにXに投稿されたのは、今の彼女だからこそ言える、魂の言葉だった。「言葉に問題があったことを理解して真摯にそこからの11年間活動してきました」。
さらに、当時の揺れ動いていた心境をこう告白。「私がパニック状態で拒絶した心も、社会の11年前時点での結果ではあることも自戒に、そこからどう立ち振る舞うか、積み重ねてきたのが今の私です」。「曲は時代の鏡です。それを理解して、なるべく人の魂の振れる場所をつくり、また描くことを反復しています。全ての人の生きてきた心、抗う魂に感謝しています。私は私の仕事を頑張ります。どうか楽曲に触れてくださると幸いです」。
執拗な謝罪要求に対しても、「謝罪しろは何回もしてますが、ごめんなさい!頑張らせてもらってます!!」と、どこまでも率直な“靖子節”で応じ、ファンとの絆を再確認。自身の著書『超歌手』でもこれらの問題に向き合っていることに触れ、「読んでくださると幸いです!議論も無駄にはならないので、是非ガンガン読んだり語ったりしてください」と呼びかけた。
◆ファンも喝采! Xにあふれる支持の声
この潔い投稿に対し、X上ではファンから共感と称賛の声が相次いでいる。
「これぞ靖子ちゃん。逃げずに真っ向から答える姿が本当にかっこいい」「過去の自分も、今の自分もすべて背負ってステージに立つ姿を一生応援したい」「『どうか楽曲に触れてほしい』という言葉が刺さった。今のZOCXを見れば、彼女が何を積み重ねてきたか一目でわかる」など、多くのファンたちが、過去を乗り越え進化し続ける彼女の姿勢に熱いエールを送っている。
◆決戦は1月20日! ZOCXが恵比寿で歴史を塗り替えるか!?
過去の呪縛を自ら解き放った大森さんが率いるZOCXは、今まさに絶頂期を迎えている。
昨年12月にリリースされたアルバム『六姫無双』では、戦慄かなのさんらメンバー個々の才能を極限まで引き出し、「最後にして最強」の称号に相応しい完成度を見せつけた。
「いつかきっと今のことも まだまだ未熟だったってわかるから 満足なんかできないのがいい 全ての幸せは嘘か幻 幻の作り方も、知ってる」。
そう語る彼女が、1月20日に恵比寿ザ・ガーデンホールのステージで見せる『ZOCX 六姫無双ツアー』の景色は、もはやアイドルという枠に収まるものではないだろう。
大森靖子さんの「釈明」は、さらなる高みへと突き進むための、輝かしい新年の号砲となったといえよう。
〈文/水野ウバ高輝〉
《水野ウバ高輝》
Web/雑誌編集者・ライター、ロックバンド・RunKillYouの元ギタリスト。メンズファッション雑誌『411(フォー・ダブワン)』編集部(外部編集者)を経て、『週刊SPA!』のWeb版『日刊SPA!』など複数のメディアにライターとして記事を寄稿。2021年11月からは、大手携帯電話会社が運営するマネー系Webメディアのコンテンツディレクターを担当。中島らも、西原理恵子、大森靖子、戸川純に傾倒し、暗黒の20代を過ごす。共著に『超解読 ジョジョリオン 杜王町の奇妙な考察』(出版社:三才ブックス)がある。
※サムネイル画像:Amazonより 『大森靖子「超歌手 VIP」(出版社:毎日新聞出版)』


