高橋留美子先生原作の格闘ラブコメディー『らんま1/2』の完全新作アニメが10月5日より放送されますが、本作には豆知識ともいえる要素が各所に散りばめられています。あかねがショートヘアになったワケとは──? また、本作が再アニメ化されるにあたり、懸念すべき点もいくつかあります。

◆『らんま1/2』の豆知識

 『らんま1/2』作には、豆知識ともいえるあまり知られていない設定などが存在します。どんな裏設定があるのでしょうか?

●あかねがショートヘアになった意外な理由

 初期にロングヘアからショートヘアにチェンジしたあかね。序盤でキャラクターがイメチェンするのはけっこうなレアケースですが、それにはストーリー上の理由とは別に意外なワケがありました。

 あかねの髪がショートになったのは、コミックス第2巻「けがはなくとも」でのこと。乱馬と響良牙の戦闘に巻き込まれ、あかねの髪は肩につかないくらいまで短くなってしまいます。その後、姉である天道かすみの手によって整えられ、今の黒髪ショートヘアになりました。

 しかし、髪型変更の真の理由は、作者の高橋先生があかねのロングヘアに納得していなかったためでした。

 ムック本『劇場用アニメ うる星やつら 完結篇・ボーイ ミーツ ガール 少年サンデーグラフィック・スペシャル』の中では、「ヒロインのあかねという女の子に悩まされてしまった。気持ちがイマイチわからん。描きづらい。どうやら髪型に原因があるらしいと気づいて、ええい!切ってしまえッ!!と、あかねの髪をバッサリやってしまった。これであかねのキャラが完ペキに立ったといえないのが辛いところなんですが(笑)」と、あかねの髪型に関する真相が語られています。

●アニメ版ではシャンプーの語尾が変化

 シャンプーは、乱馬に求愛し、らんまの命を狙う武闘民族出身のチャイナ娘。「~ある」といった、中華キャラ特有の語尾が印象的な人物です。

 しかし、アニメでは「〜ある」という特徴的な言葉じりは封印され、「〜ネ」など少しマイルドな口調になっています。「〜ある」と聞けば中国人のキャラクターを連想しますが、実際のところ中国ではそのような語尾は使われていないことから、コンプライアンス的な理由で変更されたのでしょう。

 この変更を、シャンプー役の声優・佐久間レイさんは演技力で補っています。訛った日本語のようなカタコトのイントネーションで、見事に中華少女っぽさを表現しました。

 佐久間さんのボイスによって、かわいらしさと色気を兼ね備えたシャンプー。新作アニメでは、「〜ある」口調が解禁されるのか注目どころです。

詳しく読む⇒『らんま1/2』の4つの豆知識 「あかねがショートヘアになった意外な理由」他

◆完全新作アニメ制作決定の『らんま1/2』が抱える問題

『らんま1/2』の完全新作アニメの放送・配信が10月5日から始まりますが、SNS上では「今でも同じ内容で放送できるの?」と不安視する人もいます。

 たとえば語尾に「アル」をつける嘘中国語や、親が勝手に許婚を決めることなどは、「不適切にもほどがある!」と叱られてしまいそうですが──。

●性別を自在に変えられる設定

 乱馬は娘溺泉に入ったことで水をかぶると女性に変身し、お湯をかぶると男性に戻るという体質になりました。

 二者択一の性別に悩みを抱える人たちの存在が認知され、関わり方がナーバスになる中で、フィクションとはいえその設定を楽しめない人も出てくるかもしれません。

 実際あかねは、最初に女乱馬と対面して仲良くなった後、風呂場でお互いに裸で、男の姿の乱馬と出くわす目にあっています。その結果、乱馬は「変態」となじられることになったので、トイレの設置や更衣室の利用の仕方などで議論が起きている最近の時勢ともつながります。

 女乱馬は心と体の性別が一致しない状態にあるトランスジェンダー男性とも解釈できるので、現実にそのことで悩んだり、生きづらさを抱えることになったりしている人たちがどのように受け止めるか、制作側は考える必要があります。

 一方であくまで『らんま1/2』はフィクションであり、1987年から1996年まで連載されていた漫画作品です。

 昔を懐かしむということではなく、その時代の人たちがどのようなことを考え、どのような夢を見て物語を作っていたのか。問題意識が高まり注目を集めている今だからこそ、深堀りした作品が作れるのではないでしょうか。

●親が勝手に許婚を決める──結婚しなくても幸せになれる時代に!?

 『ゼクシィ』ですら「結婚しなくても幸せになれる時代に」というキャッチコピーを打ち出す世の中になりましたが、乱馬とあかねは許婚という関係です。

 しかも本人の意志ではなくお互いの両親が決めたというダメ押しつき。

 ですが『らんま1/2』が連載されていた当時も、既に許婚というものが一般的だったわけではありません。

 時代や社会が変わり、過去に存在した許婚というものが珍しくなったとしても、人々の結婚観や結婚の形式は多様です。お見合い結婚が主流だった時代もあれば、恋愛結婚が主流の時代もあり、主流ではない結婚の形式を選ぶ人々もいます。

 『らんま1/2』のリメイクの舞台が現代になるかどうかは分かりませんが、昭和レトロも流行っているので、あの頃はこういう時代だったと記録するように作られる可能性もあります。

詳しく読む⇒今の時代に放送すると「ヤバい部分」も? 完全新作アニメ制作決定の『らんま1/2』が抱える4つの問題点

〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01

 

※サムネイル画像:Amazonより

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