※この記事にはTVアニメ・原作小説『Re:ゼロから始める異世界生活』のネタバレが含まれます。ご注意ください。
※本記事はTVアニメ・原作小説『Re:ゼロから始める異世界生活』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。
『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下、『リゼロ』)において、魔女教は最初から“悪の組織”だったとは限らないのかもしれません。100年前の出来事をたどると、現在の大罪司教たちとは違う役割や、創設に関わる人物の影が見えてきます。
◆魔女教の目的……決して一枚岩の組織じゃない?
『リゼロ』1st season第15話で初めてその存在が明かされた魔女教。大罪司教“怠惰”担当のペテルギウス・ロマネコンティの発言から推測するに、彼らは400年前に封印された“嫉妬の魔女”サテラを崇拝し、彼女の復活を目指す集団です。
その目的のために手段を選ばず、各地で神出鬼没にテロ行為を繰り返していました。実際、ペテルギウスはサテラの寵愛を求めていましたし、サテラの器となりそうなハーフエルフのエミリアをねらってロズワール邸を襲撃しているのです。あまりにも積極的に活動をしているので、ネットなどでは「“怠惰”担当なのに“勤勉”」と揶揄されています。
しかし、魔女教の属する信徒たち全員が本当にサテラを崇拝し、復活を目論んでいるのかは怪しいところ……。なぜなら、ペテルギウス以外の大罪司教たちはサテラに対して何とも思っていないフシがあるからです。
たとえば“強欲”担当のレグルスは、自己顕示欲と承認欲求を満たせれば魔女ですらどうでもいいと考えています。さらに“暴食”担当のレイたちも、独善的に幸せになることだけを望んでいて、サテラを信奉していません。“憤怒”担当のシリウスに至っては、愛するペテルギウスを奪った存在としてサテラを「クソ魔女」と強い憎悪を向けています。
このように司教の役職に就いている人物たちですら統一感のない思想を持っています。とても、同じ目的のために行動している組織とは考えづらいのです。
◆魔女教の狙いはエリオール大森林の「封印」
しかし、いくら魔女教といえども、徒党を組んでいるからには何かしらの共通する思惑があるハズ。実は、その思惑のヒントが約100年前の出来事に隠されているのです。
100年前といえば、ペテルギウスがまだ魔女因子を取り込む前で、彼がジュースと呼ばれていたころです。当時から魔女教に属していたジュースですが、現在とは違い穏やかな好青年で、エルフたちが暮らすエミリアの故郷「エリオール大森林」とも交流がありました。
そんなエリオール大森林には謎の封印があり、ジュースはその守り役だったエミリアの叔母・フォルトナと特に親交が深かったのです。そんな2人の会話によると、大森林の封印が解かれた場合、世界に壊滅的な被害を与える可能性が示唆されていました。
そのため、ジュースは物資の運搬とあわせて、きちんと封印が安定しているか定期的に確認していたのです。このことから、少なくとも当時はエルフも魔女教も封印は守るものと考えていたのでしょう。つまり、魔女教の本来の使命は、エルフと協力して大森林の封印を守ることだとうかがえます。
一方で、大森林を攻めてきた“虚飾の魔女”パンドラとレグルスは、明確に封印の解除を目的としていました。そしてパンドラは、『リゼロ』2nd season第44話の描写を見る限り、もともと善人だったジュースの意識を書き換えてペテルギウスに仕上げたと考えられます。
というのも、パンドラの権能は「全ての事象を好き放題に自分好みに『書き換える』事ができる」能力だからです。
そんな作り替えられたペテルギウスの目的は、「サテラの復活」となっているのです。仮に大森林の封印がサテラ復活に関わるものだったとしましょう。ジュースはその封印を維持しようとしていたのに対し、ペテルギウスは封印を解除し復活させるという180度思想が変わったことになり、筋が通ります。
つまり、当初の魔女教はサテラの脅威から人々を守る組織だったのに対し、現在の魔女教は大森林の封印を解こうと思惑が共通しているのではないでしょうか。
◆魔女教の創設者は「アノ魔女?」 それとも……
そもそも魔女教は誰によって作られた組織なのでしょうか? 実は思想がバラバラの大罪司教たちですが、現時点で唯一共通している点があります。それが、全員が「福音書」を持っており、それに従っている点です。
福音書には未来の予言が書かれており、もれなく、大罪司教たちはその内容を信じて行動しています。そして、福音書にはオリジナルとなる原本「叡智の書」が存在するのです。そしてこの叡智の書を生み出した人物こそが、“強欲の魔女”エキドナ──。
福音書が叡智の書の劣化版コピーとはいえ、彼女の権能がなければ作れないことから、創設者としてエキドナが絡んでいる可能性は十分に考えられるのではないでしょうか。
一方で、魔女教の創設者として有力視されている人物がもう1人います。それが、『リゼロ』4th seoson第70話にも名前が登場するフリューゲルです。フリューゲルは、白鯨討伐の際に登場した「フリューゲルの大樹」を植えた張本人で、その詳細はいまだ謎に包まれています。
しかし、ジュースがパンドラとレグルスに対抗するため“怠惰”の魔女因子を自らに取り込む際、「私をお許しください、フリューゲル様!」と叫んでいたことからも、何かしら魔女教と密接な関係にあった人物だと推測できるのです。
さらにフリューゲルと魔女教の共通点として注目したいのが、「異世界の言葉」です。実はフリューゲルの大樹の幹には、「フリューゲル参上!」と日本語の文字が刻まれています。このことから、ネットなどではフリューゲルもスバルのように異世界から来た存在ではないかと囁かれているのです。
一方で魔女教の大罪司教たちの名前にも面白い共通点があります。それはレグルス、シリウス、カペラなど……、全員がなぜか地球で名付けられた星の名に由来しているのです。仮にフリューゲルがスバルと同じように地球から来て魔女教を創設したのであれば、大罪司教たちが地球の星座の名を冠していても不思議ではないでしょう。
さらに、フリューゲルは400年前にサテラを封印した張本人でもあります。フリューゲルが、そんなサテラの封印を監視するために魔女教を作ったのなら、一連の謎がつながってくるのかもしれません。
──劇中の描写から、100年前の魔女教と現在の魔女教とでは、活動内容や目的が大きく変化していると考えられます。つまり、現時点では単なるスバルたちの敵組織である魔女教も、そのターニングポイントの全容が明かされた時、もしかしたら我々の見え方も変わってくるのかもしれません。
〈文/fuku_yoshi〉
《fuku_yoshi》
出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5
※サムネイル画像:TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』オフィシャルサイトより 『TVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」第22話 場面写真 (C)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活1製作委員会』


