※この記事にはTVアニメ・原作小説『Re:ゼロから始める異世界生活』のネタバレが含まれます。ご注意ください。
※本記事はTVアニメ・原作小説『Re:ゼロから始める異世界生活』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。
スバルは本当にサテラを救えるのでしょうか。彼が「必ずお前を救ってみせる」と告げた願いは、やがて世界そのものとぶつかる可能性があります。そのとき前に立つのが、最強の剣聖ラインハルトだとしたら──。スバルとサテラの関係から、今後の不穏な対立を読み解きます。
◆最強の味方に見えるラインハルト 実はスバルと真逆の存在だった?
異世界に召喚されたナツキ・スバルを、初期のころから良き友人として支えてくれるラインハルト・ヴァン・アストレア。そんな彼は、作中でも最強クラスの戦闘力を持っているといえます。
対するスバルの戦闘能力は比べるまでもなく、作中でも最弱の部類に入るかもしれません。しかし、ラインハルトは友情を重んじる性格をしているので強さだけで人を測らず、スバルがピンチの局面では手を差し伸べてくれます。実際、TVアニメ『リゼロ』3rd seasonでは、共通の敵である魔女教大罪司教たちを倒すため協力していました。
一方で、本来スバルとラインハルトは完全な味方同士ではありません。親竜王国ルグニカで行われる次期国王選抜では、スバルはエミリア陣営の騎士であり、ラインハルトはフェルト陣営の騎士に属しています。つまり、ゆくゆく王選で争い合う立場にあるのです。
さらに、スバルとラインハルトの設定を見比べていくと対比構造が多く、意外と対極に位置するキャラクターとなっています。そんな2人の立ち位置からも、今後彼らが敵対する可能性は大いに考えられるのです。
◆魔女因子と加護が示す決定的な差 2人はどこまで対立するのか
まず、スバルとラインハルトとの設定で大きく対比されるのが「魔女因子」と「加護」です。
魔女因子は大罪の権能を与えるもので、大罪司教たちが使っている異能の根源となります。実はこの魔女因子、スバルも持っているのです。
たとえば、影の手を伸ばす「不可視なる神の意志(インビジブル・プロヴィデンス)」。これは大罪司教・ペテルギウスを倒したことで、スバルに「怠惰の魔女因子」が乗り移って使えるようになりました。
さらに、スバルは命を落とすと「やり直し」が発動する権能を持っていますが、これは「嫉妬の魔女因子」に由来しているからだと考えられています。
一方で、ラインハルトは魔女因子と対をなす「加護」の持ち主です。「剣聖の加護」に始まり、TVアニメ第59話でも見せた距離の近い友人に思念を送れる「伝心の加護」や、命を落としても必ず復活できる「不死鳥の加護」など250種類以上の加護を持っています。
ちなみに、加護は生まれたときに世界から与えられる祝福、世界からもたらされる福音のことです。
◆魔女に愛されたスバル、世界に選ばれたラインハルト 残酷な対比
さらに、スバルとラインハルトは2つの異なる存在からそれぞれ恩寵を受けています。
まずスバルは、異世界に召喚された時から「魔女の残り香」という“嫉妬の魔女”の臭いが染み付いていました。その強烈な「残り香」から、スバルが「魔女の寵愛」を一身に受けているとペテルギウスも語っています。スバルにとっては“はた迷惑”ですが、この寵愛によって「やり直し」の権能が授けられているので、少なからず恩恵はあるはずです。
一方で、ラインハルトもある存在からの恩寵を受けています。それが、“オド・ラグナ”。オド・ラグナとは、世界の根源に存在するマナの貯蔵庫で、世界そのものを一つの生き物だとしたときの中核にあたる存在です。
そして重要な点は、このオド・ラグナが「加護」を授ける存在だということ。加護は基本的に先天的に与えられるもので、1人1つでも持っていたらかなり恵まれています。しかし、ラインハルトの場合は後天的に、さらに望んだ加護を好きなように得ることができ、好きなように消去できるのです。
実際、TVアニメ第58話の会議では、「今授かったよ」と新たな加護を得てスバルたちをドン引きさせていました。まさに、ラインハルトは作中で一番“オド・ラグナ”からの恩寵を受けているといっても過言ではないのです。
そして注目したいのが“嫉妬の魔女”と“オド・ラグナ”の立ち位置。先ほど、オド・ラグナは「世界そのものを一つの生き物だとしたときの中核」と説明しましたが、言い換えればオド・ラグナは「リゼロ世界」の意思そのものだとも解釈できます。
対して“嫉妬の魔女”サテラは400年前に世界を滅ぼしかけた存在なのです。つまり、「世界」そのものから愛されたラインハルトと、「世界の敵」である魔女に愛されたスバル、という対比構造が見えてくることになります。
◆サテラを救うなら世界を敵に回す? ラインハルトが立ちはだかる可能性
スバルの目的は、徹頭徹尾エミリアの力になることです。しかし、エミリアと絆を深める過程で、スバルにはレムやラム、オットーやガーフィールといったかけがえのない仲間たちができます。
さらに、敵陣営であるはずのクルシュやユリウスとも交流ができ、現在放送中のTVアニメ4th seasonでは、レムをはじめとして彼らをも助けるため運命に抗い続けています。
このようにスバルは、エミリアを中心に置きながらも自分と関わり合いになった人物を見捨てられません。そして、その最たる例が“嫉妬の魔女”サテラなのです。
TVアニメ第38話のお茶会で、サテラは唯一の願望として「いつか私の命を奪いにきてほしい」とスバルに告げています。しかし、スバルは、「必ずお前を救ってみせる」と言い切っているのです。このことからも、スバルは皆が救われる世界を目指して動いていることが分かります。
しかし、その目的は、『リゼロ』の「世界」にとっては必ずしも歓迎されることではありません。特にサテラを救おうとすることは、『リゼロ』の世界に住むすべての人たちと敵対する行動になり得ます。これは第1期でも描かれていた、銀髪のハーフエルフへの迫害からも察せられるでしょう。
そして、人々が暮らす世界に害を為そうとする場合、黙っていないのが「剣聖」であるラインハルトです。その場合、作中の描写や性格上、ラインハルトは相手が友人といえども自らの使命を全うしようとするでしょう。
また、魔女とラインハルトの家系であるアストレア家には少なからず、因縁があります。先日放送されたTVアニメ第71話で登場した「初代剣聖」レイド・アストレアは、劇中でも紹介された通り、かつてサテラを封印した三英傑の一人なのです。
そして、名前からも分かる通り、ラインハルト・ヴァン・アストレアの祖先に当たる人物……。つまり、今後スバルが目的を達成しようとすればするほど、ラインハルトが最強の敵として立ちはだかる可能性が高まるのかもしれません。
──スバルとラインハルトは、今のところ互いを信頼する友人同士です。しかし、魔女因子を抱えるスバルと、世界から加護を与えられるラインハルトは、根本の立ち位置から大きく異なっています。スバルがエミリアや仲間だけでなく、サテラまでも救おうとするなら、その願いは世界の秩序とぶつかる可能性があります。
そのとき、世界を守る剣聖であるラインハルトは、友人であってもスバルの前に立つのかもしれません。最強の味方だからこそ、敵に回ったときの絶望感は大きいものです。スバルとラインハルトの関係は、今後の『リゼロ』で最も重い対立の火種になり得るのではないでしょうか。
〈文/fuku_yoshi〉
《fuku_yoshi》
出版社2社で約10年にわたり編集業務に従事した元編集者。男性向けライフスタイル誌やムック制作のほか、漫画編集者としての経験も持つ。現在はフリーライターとして、映画・アニメ・漫画などサブカルチャー領域を中心に記事を執筆。漫画考察記事では、元編集者の視点を活かし、作品内の描写や設定を論理的に読み解く記事制作を得意としている。
※サムネイル画像:TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』オフィシャルサイトより 『TVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」第71話 場面写真 (C)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活4製作委員会』


