※本記事にはTVアニメ・原作小説『Re:ゼロから始める異世界生活』のネタバレが含まれます。ご注意ください。
※本記事はTVアニメ・原作小説『Re:ゼロから始める異世界生活』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。
スバルの「やり直し」は、便利な能力に見えて、実は本人の意思ではほとんど操作できません。命を落としたあとに戻るセーブポイントは自動で決まり、時には助けたい相手を救えない位置まで更新されてしまうこともあります。では、その地点は何を基準に決まっているのでしょうか。エキドナの推測やIFルート、魔女因子の謎をたどると、スバルの能力に残る不穏な仕組みが見えてきます。
◆スバルはなぜ好きな場所に戻れないのか セーブポイントに残る最大の謎
「やり直し」の権能は、スバルが命を落とした際に特定の「セーブポイント」に戻り、そこからやり直せる“ループ”能力です。そして、TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下、『リゼロ』)2nd season第34話でエキドナが「やり直し」に回数制限はないと推測していました。
「セーブポイント」自体はスバルが設定できるものではなく、命を落としたときに自動で設定されます。つまり、命を落とさなければ「セーブポイント」が分からないうえに、自分の意思とは関係なく発動するので融通が効かない能力といえるでしょう。
実は、この「やり直し」の「セーブポイント」に大きな謎があります。それが、どうやって「セーブポイント」が決められるのかという点です。これについては、劇中の「セーブポイント」を見ている限り、例外を除けば、スバルが確実に「運命を変えられる地点」が設定されていると推察できます。
極端な話をすれば、スバルが命を落とすギリギリの瞬間に「セーブポイント」が設定されても、運命を書き換えられないので、そういったポイントに「セーブポイント」が設置されることは基本的にはありません。そして、いずれかのタイミングを経ると「セーブポイント」は自動更新されます。
◆セーブポイントはいつ更新されるのか レムを救えなかった理由とIFルートの例外
そんな「セーブポイント」の更新については現在のところ詳細は明かされていません。しかし、作中の描写から更新については大きく2つの条件があると考えられます。
まず1つ目の条件は、スバルが一度納得した「運命」の結末を迎えること。たとえば、TVアニメ『リゼロ』1st season第25話では、スバルは白鯨を討ち取り、エミリアとのわだかまりが解かれるといった最良の結末にたどり着いています。しかし、討伐戦の裏ではレムが魔女教大罪司教“暴食”担当ライ・バテンカイトスにより、存在を消されてしまった事実が発覚。
それを知ったスバルは、「自らやり直し」を試みますが、レムを救うための「セーブポイント」までには巻き戻れませんでした。このことから、一度納得した結末を迎えた場合、「セーブポイント」は自動更新されてしまい、スバルが預かり知らないところで本人の望まない運命が確定しても巻き戻れないと推察できます。
そして2つ目の条件は、サテラの任意である可能性です。実は、公式IFルートの1つである『ゼロカラアガナウイセカイセイカツ』では、20年間の奮闘の末に命を落としたスバルが、なんと20年前の「セーブポイント」に戻されるケースも描かれているのです。
大まかな内容は割愛しますが、このときスバル本人は自身の運命に一定の決着をつけていました。つまり、先ほどの1つ目の条件だけであるなら、そのまま「セーブポイント」は自動更新されるはずです。
しかし、20年の月日が巻き戻ったということからも、スバルが納得する以外に、誰かの目的を果たすために「セーブポイント」は決められているとも考えられます。そして、現時点でその最有力候補となる人物が、やはり“嫉妬の魔女”サテラでしょう。
なぜなら、スバルの「やり直し」の権能は彼女によって与えられたものだと考えられているからです。実際、スバルが「やり直し」の権能を他者に明かそうとすると、サテラの手が心臓に伸びてくる描写が作中で何度かありました。
つまり、権能を与えたサテラが任意の「セーブポイント」も決めているという仮説が立てられます。この場合、サテラはスバルを愛しているので、スバルが納得する結末を迎えるという1つ目の条件ともつながってきます。
◆「やり直し」は本当に嫉妬由来なのか 傲慢の魔女因子に残る違和感
先ほど、スバルの権能は“嫉妬の魔女”サテラから与えられた権能だと推測しました。しかし、実はこれについてはいまだに確定した情報ではありません。実際、まだアニメ化されていない原作の第9章でも、「スバルに力を与えたと思しき“嫉妬の魔女”」というように、いまだに断定した表現が使われていないのです。
さらに論理的に考えた場合、スバルの「やり直し」の権能がサテラから与えられたなら、“嫉妬の魔女因子”による能力の発動と考えられます。つまり、スバルの中に“嫉妬”の魔女因子があるはずなのですが、実はここで矛盾が生じるのです。
なぜならサテラは明確に亡くなっておらず、約400年前に三英傑によって封印されただけだからです。通常“魔女因子”の移譲は、TVアニメでも描かれている通り「依り代」となる存在が亡くなって初めて行われます。たとえば、ペテルギウスの“怠惰の魔女因子”は、ペテルギウスが亡くなってからスバルに移譲されました。
つまり、サテラが生存しているなら“嫉妬の魔女因子”はいまだにサテラの中にあるという理屈になるはずです。そうなるとスバルの「やり直し」の権能は、何の大罪の魔女因子が由来となっているのでしょうか?
結論からいうと候補としてもっとも有力なのが、“傲慢の魔女因子”だと考えられます。魔女教の大罪司教たちも、“嫉妬”を除いた“強欲”、“暴食”、“怠惰”、“色欲”、“憤怒”は揃っていますが、“傲慢”の大罪司教だけは空席となっています。
そしてこれを裏付けるようにTVアニメ『リゼロ』1st season第22話でペテルギウスが、スバルの“魔女の残り香”を嗅ぎ取って「アナタ、傲慢担当ではありませんデスか?」と質問していました。また、公式IFルート『ゼロカラアヤマツイセカイセイカツ』のように、スバル本人が「魔女教大罪司教“傲慢”担当」を名乗るルートもあるのです。
これらのことから、もしかするとスバルの「やり直し」の権能は、“嫉妬の魔女因子”が由来ではないのかもしれません。
──スバルはTVアニメでも描かれた通り、安易に命を落とす方法を選ばず、自分の命を大切にしつつ運命にあらがおうと決意しています。自分自身の異能に頼らない姿勢は、なんとも『リゼロ』の主人公らしい考え方といえるでしょう。実際、「やり直し」の権能は便利に見えますが、その仕組みも正体も未だ不明な点ばかりです。だからこそ、その全貌が明らかになるとき、物語は大きく動き出すのかもしれません。
〈文/fuku_yoshi〉
《fuku_yoshi》
出版社2社で約10年にわたり編集業務に従事した元編集者。男性向けライフスタイル誌やムック制作のほか、漫画編集者としての経験も持つ。現在はフリーライターとして、映画・アニメ・漫画などサブカルチャー領域を中心に記事を執筆。漫画考察記事では、元編集者の視点を活かし、作品内の描写や設定を論理的に読み解く記事制作を得意としている。
※サムネイル画像:TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』オフィシャルサイトより 『TVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」第49話 場面写真 (C)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会』


