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※この記事にはTVアニメ・原作漫画『サザエさん』のネタバレが含まれます。ご注意ください。

 長寿アニメ『サザエさん』には、現在の設定だけを見ていると気づきにくい“消えたキャラ”がいます。アナゴさんの子ども、磯野家のかつてのお隣さん、花沢さんの妹、そしてサブちゃん以前の御用聞き。放送初期のエピソードをたどると、50年以上続く作品ならではの設定の変化が見えてきます。

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◆アナゴさんに子どもがいた? 現在設定と違う放送初期の姿

 マスオさんの会社の同僚として知られるアナゴさんは、個性的な顔立ちと低い声で強い印象を残すキャラクターです。現在のサザエさん公式ホームページでは、アナゴさんには奥さんがいる一方、子どもについては設定されていません。

 ところが、放送初期には現在とは異なる姿が描かれていました。1973年8月12日放送の「わが家の昆虫記」では、アナゴさんが自分の子どもをプールへ連れて行く場面が登場します。しかも、娘が2人、息子が1人という子だくさんの構成でした。

 長女はワカメと同じくらい、末っ子と思われる長男はタラちゃんに近い年齢に見えます。アナゴさんは作中で27歳とされるため、当時の視聴者や『FODプレミアム』などでこの回を見た人の間では、子どもの年齢から逆算して「かなり若い時期に父親になったのでは」といった声も上がりました。

 磯野家の親族ではないにもかかわらず、海産物に由来する名前を持つアナゴさん。現在の印象とは違う“父親としての姿”が描かれていたことも含め、実はかなり謎の多いキャラクターといえるかもしれません。

◆磯野家のお隣さんは伊佐坂家だけではない? 浜さん一家がいた時代

 磯野家の隣人といえば、今では伊佐坂先生一家を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、『サザエさん』の長い歴史を振り返ると、磯野家のお隣さんは何度か変わっています。その中でも印象的なのが、かつて登場していた浜さん一家です。

 伊佐坂家は、1970年8月30日放送の「巨匠イササカ氏あらわる」で、磯野家の隣に引っ越してきた小説家一家として登場しました。しかし、1978年に一度引っ越しており、1973年11月4日放送の「どっちが大事」では、伊佐坂家があるはずの場所が道路になっているなど、現在の設定だけでは整理しづらい描写もあります。

 その後、1978年5月7日放送の「突然のお隣りさん」で、空き家になっていた磯野家の隣に浜さん一家が引っ越してきました。浜さんはベレー帽、ヒゲ、パイプが特徴の画家で、浜夫人、娘のミツコ、愛犬ジュリーとともに暮らす、どこかしゃれた雰囲気の一家でした。

 しかし、1985年3月31日放送の「早春伊豆長岡の別れその一」と、続く「早春伊豆長岡の別れその二」で、浜夫人の静養を理由に静岡へ引っ越すことになります。同年7月21日放送の「おとなりの大先生」で伊佐坂家が再び隣に戻り、現在につながる“お隣さん”の印象が定着していきました。

 ちなみに、1970年に登場した初代の伊佐坂家と、浜さん一家の後に戻ってきた2代目の伊佐坂家は、家族構成や名前は同じでも顔つきや性格が異なります。浜さん一家は長く本編から姿を消していましたが、2009年放送の「磯野家のアルバム」では、アルバム写真としてカメオ出演しています。

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◆花沢さんは一人娘ではなかった? そっくりすぎる妹の存在

 カツオのクラスメイトで、花沢不動産の娘としてもおなじみの花沢さん。サザエさん公式ホームページでは一人娘とされていますが、放送初期には妹が描かれた回がありました。

 1974年9月1日放送の「ただいま仕立中」などでは、「ゆきこちゃん」という妹が登場しています。カツオが花沢不動産に立ち寄った際、花沢さんの母親が赤ちゃんを背負っている場面や、花沢さん母娘がスーパーで買い物をしている場面が描かれていました。

 ゆきこちゃんは、ワカメのようなおかっぱヘアにリボンを付け、ワンピースを着た女の子です。ただ、何より目を引くのは、顔が花沢さんに非常によく似ていることです。花沢さんといえば山型の鼻が特徴ですが、妹、母親も含めて同じ系統の顔立ちで描かれており、一目で家族だと分かるデザインでした。

 また、花沢さん自身にも意外な初期設定があります。1971年3月7日放送の「成績こわい」で、あわび第一小学校からカツオたちが通うかもめ第三小学校へ転校してきたことが描かれており、これが花沢さんの初登場回でした。現在の“昔からいるクラスメイト”という印象とは、少し違う登場の仕方だったのです。

◆サブちゃんの前任者がいた? 三河屋の御用聞き・三平さん

 磯野家をたびたび訪れる三河屋酒店の配達員といえば、サブちゃんこと三郎さんです。しかし、サブちゃんの前にも、同じような御用聞き役として活躍していたキャラクターがいました。それが三平さんです。

 三平さんは、1969年12月28日放送の「ねえ・どうして?」で初登場した、かなり初期からの古参キャラクターです。サブちゃんのように原付ではなく、自転車で近所を回っており、カツオたちとも親しく、公私ともに周囲から愛される存在として描かれていました。

 そんな三平さんは、1985年3月31日放送の「山はまだ雪」で、お嫁さんをもらうために実家の山形へ帰ることになります。その後、同年7月7日放送の「売り出しますわヨ」で、後任としてサブちゃんに役割を譲りました。

 三平さんもまた、長く本編には登場しませんでしたが、2009年放送の「磯野家のアルバム」でアルバム写真としてカメオ出演しています。サブちゃんが当たり前の存在になった今だからこそ、その前にいた三平さんの存在は、長寿アニメならではの“忘れられた歴史”といえそうです。

 

 ──テレビアニメでは、長い放送の中でキャラクター設定や家族構成、登場人物の役割が変化していくことがあります。『サザエさん』も例外ではなく、アナゴさんの子ども、浜さん一家、花沢さんの妹、三平さんのように、現在の設定だけでは見えにくいキャラクターたちが確かに存在していました。

 ただ、それは矛盾というより、半世紀以上続く作品が積み重ねてきた歴史の一部ともいえます。いつの間にか姿を見かけなくなったキャラクターをたどると、『サザエさん』が時代に合わせて少しずつ形を変えながら続いてきたことが分かります。何気なく見ている日常アニメにも、振り返るほど深い設定の変化が隠れているのかもしれません。

〈文/士隠カンナ〉

《士隠カンナ》

アニメ・漫画関連のムック本を中心に活動するフリー編集・ライター。1990年代〜2000年代のアニメ作品を原点に、近年の話題作から長年愛される名作まで、幅広い作品の解説・考察・キャラクター分析を手がけている。作品の魅力や背景を読者にわかりやすく伝える記事制作を得意とする。

 

※サムネイル画像:『TVアニメ「サザエさん」第2796話 場面写真 (C)長谷川町子美術館』

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