72日より放送が始まったTVアニメ『僕の妻は感情がない』。感情がない家事ロボット・ミーナと、恋愛経験の少ない社畜サラリーマン・タクマの夫婦生活を描いた異色のストーリーで、第4話には新たに汎用家事ロボット、スーパーミーナと所有者の西園寺リヒトが登場する。

 そこで、スーパーミーナ役を演じる芹澤優さんに改めて作品の魅力やスーパーミーナの役作りについてインタビュー。今一番ほしいロボットや、機能についても教えていただいた。

◆どことも違う作品で「めっちゃいい!」って思いました 

芹澤優さん

──最初に原作を読んだ時はどう思いましたか?

 

芹澤優さん(以下、芹澤さん):絵のタッチも独特で、ロボットという無機質なモノと人間が夫婦になるという設定もけっこう独特で、「もしかしたら初めて見る方は取っ付きにくい感じが出てしまうかもしれないな」と思いました。

 でも、読み進めていくと無機質(=冷たさ)とは対極にタクマさんとミーナちゃんの関係が温かくて。どことも違う作品で「めっちゃいい!」って思ったし、1話目の10分で「好き!」ってなりました。

──10分のどのあたりで心を掴まれましたか?

 

芹澤さん:まず、冒頭からタクマさんの人の良さが伝わってくる。会社の人にちゃんと「お疲れ様です」って相手のほうを向いて挨拶できるし、電車の中では周りの人の迷惑にならないようにリュックを前にしていて、「めっちゃ性格のよい主人公で好きだな」って思いました。

 

──礼儀正しいところが好感持てますね。

 

芹澤さん:ミーナちゃんは感情がないはずなのに「あれ? 今、ミーナちゃんちょっと落ち込んでる?」とか「あれ? 今、もしかしてミーナちゃん喜んでる?」みたいなシーンがあって、すごくキュンキュンしちゃう。最高の1話でした!

 

──そういった感情の機微を思わせるところも見どころですね。そして、芹澤さんが演じるスーパーミーナは、ミーナと違って感情を出せるタイプの高性能ロボットです。演じるうえで心がけたことや難しかったことはありますか?

 

芹澤さん:あんまりグラデーションをしないというか、「一個一個濃く強く」っていうのは意識しました。「落ち込んでいたら落ち込む!」「喜んでいたら嬉しい!」っていう感じで、ほかの感情は入れない。人間って、めっちゃ喜んでいても場所によっては(小声で)「今、大きい声を出したらうるさいよな……」とか考えるけど、スーパーミーナちゃんを演じるときは、シンプルに「焦っている」「楽しい」「苦しい」「困った」みたいな感情を分かりやすく出しました。

 

──そのグラデーションがない分、スーパーミーナは無邪気で素直だなと思いました。

 

芹澤さん:技術的なところでは、あまり語尾に息が残らないように喋りました。たとえば、「はい〜」って息が残ると、そこにちょっと人間っぽさが出るなと思って。「はい」でしっかり切る。でも、全編それをやるとわざとらしくなるので、できるところは語尾をバスバス切っていって、ボールド※一杯ギリギリまでしゃべるみたいなのはけっこう意識しました。

※ボールド:セリフの喋り出しや長さを表す印

 

──技術面のお話とても興味深いです。そこも注目ですね。

◆「万人に好かれたい」という大きな野望がある

芹澤優さん──原作を読んで、スーパーミーナも所有者の西園寺リヒトも猫が好きで、そこは愛猫家で知られる芹澤さんとの共通点だなと思いました。

 

芹澤さん:そうなんですよ!

 

──それ以外に、スーパーミーナと芹澤さんの似ている部分はありますか?

 

芹澤さん:話が進むにつれて、意外と相手の顔色を見ている瞬間がスーパーミーナちゃんにはあって、そこが似ているかもしれません。私も、意外と相手の顔色を見るし、感じ取っちゃうときがあるので。

 

──たとえばどういうときですか?

 

芹澤さん:イベントやライブで、目の前のファンの方が難しい顔をしていると、「なんでだろう?」とか「楽しくないのかなあ?」とか感じ取っちゃって。気にせずバンバンパフォーマンスをすればいいんですけど、それができなくて。

 

──それは気になりますね……。

 

芹澤さん:意外と引きずっちゃいます。

 

──話は変わりますが、ご自身にロボットの機能が備わるとして、どういう機能がほしいですか?

 

芹澤さん:え゙ーーー! 「相手の好みが分かる機能」がほしい!

芹澤優さん

──どういうときに使いますか?

 

芹澤さん:たとえば握手会をしているときに、「この人はSっ気お姉さんが好きです」って分かれば(塩対応で)「あぁ、ありがとう」って答えられるし、次の人は「ロリが好きです」って分かれば(萌え声で)「ありがとう〜!」って答えられる。全員に刺さってほしい。

 

──何も言ってないのに当てられると相手もドキッとしますね。

 

芹澤さん:「なんで俺の好み分かっちゃうんだろう」みたいな(笑)。私、「万人に好かれたい」という大きな野望があるので、全員の趣味に合わせて変えていきたいです!

 

──Sっ気とかロリとかいろいろタイプがある中で得意なタイプはありますか?

 

芹澤さん:全部得意です! 全タイプ網羅していますけど、逆に私が一番好きなタイプは「芹澤優ちゃんなら何でもかわいい!」って言ってくれる人です!

 

──全肯定してほしいと(笑)。あと、相手の好みが分かるということは、先ほどの話に出た「ライブで難しい顔をしている人」の好みにも合わせられますね。

 

芹澤さん:私のロボット機能で解決します!

◆何を自分の嫁にするかは無限の可能性がある

芹澤優さん──もう一つだけ追加でロボット機能が備わるとしたら何がいいですか?

 

芹澤さん:うーーん、「一気に小説の文章を頭に叩きこむ機能」。オーディションとか受けるときに原作を読むんですけど、私は活字を読むのが遅くて……。原作が小説だと、「なっ、長い……」「あっ、読めない……」って弱気になるんですけど、この機能があれば漫画でもこうやって(頭の横に本を持ってきて)ピーッて読み込めたらめっちゃ最高。

 

──「相手の好みが分かる機能」を一緒に使えばオーディションの審査員の好みも分かって有利ですね。

 

芹澤さん:両方の機能があったら私、天下取れます(笑)。

 

──夢ありますね(笑)。ちなみに、「こんなロボットがあったらいいな」という今一番ほしいロボットはありますか?

 

芹澤さん:マッサージロボットかなぁ……。

 

──マッサージチェアじゃなくて?

 

芹澤さん:チェアじゃなくて、(手を動かしながら)モミモミしてほしい! 私がお布団についてから眠るまでの30分間、身体中のいたるところをもみほぐしてほしいです。

 

──それいいですね。マッサージ店に行き来する手間も省けますし。

 

芹澤さん:そう。行って帰ってくるだけでちょっと疲れちゃうから(笑)。マッサージベッドもいいなあ。上下でサンドイッチみたいに挟んでもらって上からも下からもモミモミしてもらって、私はハムみたいな気持ちになって。そういうサンドイッチ型マッサージベッドもあったらいいですね。

 

──マッサージロボットやベッドは医療や介護の現場でも使えそうですし、近い将来あってもおかしくなさそうですね。それでは最後に、視聴者の方に向けてメッセージをお願いします。

 

芹澤さん:今いろいろなアニメがある中で、この作品はめちゃくちゃ異色だけど、どんな人にも刺さる作品なんじゃないかなって思います。今の時代、推しという存在が一般的だし、何を自分の嫁にするかは無限の可能性があると思う。

 それが恋人でも女の子でも男の子でも、人間じゃなくてもいい。どんなものに愛しさを感じて、その子に「ただいま」って言いたいかとか、その子がいるから「頑張りたい」って思うかって本当に自由だし、「自分が大切だと思っているその気持ちを大切にしてあげたい」ってすごく思う作品だなって思います。ぜひ、あなたに見てほしいです! よろしくお願いします!

 

──「ただいまって言いたい存在」や「自分が大切だと思っているその気持ちを大切にしてあげたい」って素敵な言葉ですね。ちなみに、芹澤さんにとっての推しの存在はありますか?

 

芹澤さん:私の嫁ですか? 家で飼っている猫(むく、るる)です! 「ただいま」って言いたいし、一緒にご飯を食べたい!

 

──愛情が伝わってきます。インタビューありがとうございました!

〈取材・文/赤木一之 @akagiissi 撮影/天倉 悠喜 @yk_photograph 編集/水野ウバ高輝〉

〈取材・文/赤木一之 撮影/天倉 悠喜 編集/水野ウバ高輝〉

◆プロフィール

芹澤優(せりざわ・ゆう)

12月3日、東京都生まれ。81プロデュース、エイベックス・ピクチャーズ所属。アニソン・ヴォーカル・アイドルユニット「i☆Ris」のブルー担当。主なアニメ出演作品は『トニカクカワイイ』(有栖川要役)、『上野さんは不器用』(上野役)、『3D彼女 リアルガール』(五十嵐色葉役)、『賭ケグルイ』(夢見弖ユメミ役)、『キラッとプリ☆チャン』(赤城あんな役)、『プリパラ』(南みれぃ役)など。趣味・特技は料理と早口言葉。

◆『僕の妻は感情がない』作品情報

©2024 杉浦次郎/KADOKAWA/製作委員会は感情がない

●ストーリー

社畜サラリーマンの小杉タクマは、家事をする暇がないため、家事ロボット「ミーナ」をリサイクルショップで購入する。タクマが「お嫁さんになってくれない?」と軽い気持ちで求婚したことをきっかけに、ミーナはプログラムにないはずの行動をとるようになる。自らの機能を駆使し、出来る限り「お嫁さん」であろうとするミーナ。タクマにもまた、夫としての自覚が芽生えていく――。

ミーナには本当に「感情がない」のか。人間とロボット、「夫婦未満の2人が夫婦の絆を築くまで」のハートフルストーリー!

●作品概要

▼スタッフ

  • 原作:杉浦次郎 『僕の妻は感情がない』(MFコミックス フラッパーシリーズ/KADOKAWA刊)
  • 監督:吉村文宏
  • シリーズ構成:広田光毅
  • キャラクターデザイン:ウクレレ善似郎
  • 色彩設計:古谷 恵
  • 美術監督:河野次郎
  • 撮影監督:伊藤佳恵
  • 編集:田村ゆり
  • 3Dディレクター:バイブリーアニメーションCG、北京写楽美術芸術品有限公司
  • 音響監督:伊藤 巧
  • 音響制作:HALF HP STUDIO
  • 音楽:佐久間 奏、中村巴奈重、田渕夏海、櫻井美希
  • 音楽制作:日音
  • アニメーション制作:手塚プロダクション
  • 製作・著作:製作委員会は感情がない

▼キャスト

  • 小杉タクマ:豊永利行
  • ミーナ:稲垣 好
  • 小杉あかり:青山吉能
  • スーパーミーナ:芹澤 優
  • 西園寺リヒト:松田利冴
  • マモル:若井友希

▼主題歌

  • オープニングテーマ:ときのそら「おかえりなさい」
  • エンディングテーマ:清水美依紗「Wave

▼公式Webサイト

https://bokutsuma-anime.com/

▼公式X(旧Twitter

https://x.com/bokutsuma_anime

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●放送情報

  • TOKYO MX/MBS/BS朝日/AT-Xにて好評放送中!
  • CBC:7月20日より 毎週土曜日26:03〜放送開始

●配信情報

  • ABEMAにて地上波3日間先行・単独最速配信中!

●原作情報

『僕の妻は感情がない』

著者:杉浦次郎

コミックス17巻発売中

▼コミックフラッパー公式サイト

https://comic-flapper.com/

▼コミックフラッパー作品ページ

https://comic-flapper.com/product/bokunotsuma/

▼この記事を書いた記者

《赤木一之》

新宿タウン誌、ゴールデン街ガイドブックの編集長を経て、2022年にフリーの編集・ライターに。編集長時代からアイドルの取材、ブッキングを行なっていたこともあり、アイドルやエンタメ関連の仕事を中心に、最近ではビジネス&カルチャーニュースサイト「三軒茶屋経済新聞」や飲食店のPR案件にも携わっている。

 

©2024 杉浦次郎/KADOKAWA/製作委員会は感情がない

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