人気絶頂の中、夏のインターハイとともに連載を終了した『SLUM DUNK』。描かれなかった翌年の夏のインターハイ予選において、神奈川を制する次世代チームはどの高校なのでしょうか?

◆翔陽は3年のスタメン全員が冬の選抜へ! 次世代の実践経験のなさに懸念

 湘北に敗れ、強豪と言われながら夏のインターハイ出場を逃した翔陽は、3年全員が冬の選抜まで残留が確定しています。3年は主将で選手兼監督の藤真、副主将の花形、永野、高野、長谷川の5人で、真のスタメンです。

 5人とも残るとなると、本来は3年の大半が夏のインターハイで引退し、そこから次世代チームへと引き継がれるはずのポジションが空かないため、翔陽の2年以下の部員は藤真の交代要員である2年の伊藤以外、実践経験がないまま翌年の夏を迎えることになります。

 しかも、藤真の代では監督がおらず、仮に翌年度に新監督が就任したとしても、夏のインターハイ予選までのわずか数ヵ月で選手との信頼関係を築くのは難しく、もし監督不在のままだった場合、藤真のように選手兼監督が務まる控え選手がいるのか疑問が残ります。

 それに対し、湘北、陵南、海南は2年以下の部員でスタメン経験者を2人以上擁しており、スタメンを勝ち取ったセンスや身体能力はもちろんですが、実践経験という大きな武器を持っています。

 唯一のスタメン(藤真は基本ベンチスタートなので)だった2年のPG伊藤も湘北戦で宮城に及ばず、その後のインターハイという実践経験では雲泥の差が付きましたし、フィジカル面・メンタル面では陵南の植草、越野にも勝てるかどうか怪しいところです。

 そんな群雄割拠の神奈川の次世代チームの中で、翌年の夏、翔陽はもしかすると4強入りすら難しいかもしれません。

◆海南は帝王・牧、高砂、武藤のスタメン3人抜け! 神奈川No.1プレーヤーの抜けた穴は大きい?

 原作では全国2位という輝かしい結果に終わった名門・海南大付属。スタメンは3年の主将・牧、高砂、武藤、2年の神、1年の清田とバランスの取れた年次構成もさることながら、武里戦のように大量リードした試合では控え選手を積極的に出場させるなど、次世代メンバーの実践経験という点でも抜かりがありません。

 しかしながら、これまでの3年間は「牧・藤真時代」といわれ、2人のスターを擁する2校が神奈川を席巻していました。海南を全国2位まで導いたのは、間違いなく神奈川No.1プレーヤーといわれた帝王・牧あってこそ。

 湘北戦でも牧のペネトレイトからの展開が常套手段だったこと、牧が司令塔かつスコアラーだったことを考えると、攻撃戦術を大きく練り直す必要があるのは否めません。

 そこは湘北も同じですが、1年のエース・流川が山王の沢北と同等に渡り合い、全日本メンバーに選出されたことや、桜木の成長スピード、PG宮城のゲームメイクやクイックネスを考えると、戦力の低下は海南の方が大きいといえるかもしれません。

 海南のスタメンは2年の神、1年の清田が残りますが、元々小さいチームだったことから、制空権では桜木・流川を擁する湘北に軍配が上がります。

 さらに、既に名門である海南に対し、湘北は無名かつ「週刊バスケットボール」の総合評価Cという状況で王者・山王に勝利し、その名を一気に轟かせたことから、他校からの全国制覇に燃える選手の編入や、湘北高校に眠っている桜木のような素質のある部員が新たに現れる可能性も十分に考えられます。

 選手層の厚さでは海南が上ですが、スタメン残留メンバーの戦力、想定外の可能性という面では湘北が上と考えると、次世代チームでは湘北に分があるといえる要素が大いにありそうです。

◆陵南のスタメン抜けは魚住のみ! 4人残りの新星・陵南はスター仙道中心の強豪校に!?

 3年生が主将・魚住、副将・池上の2人だけだった陵南は、2年主体のチームだったわけですが、彼らが3年になる翌年の夏こそ最も全国に近い存在となると考えられます。

 元々、主将だった魚住は1年のときに厳しい練習や陰口に耐え切れず退部を考えたり、インターハイ出場を懸けた海南との重要な一戦において、感情的になりテクニカルファウルで退場になったりするなど、繊細な一面がありました。池上もディフェンスに定評はあったものの、福田復帰後はスタメン入りできていません。

 一方、2年のスタメンはエース・仙道、福田、越野、植草の4人おり全員が残ることになります。特に仙道は魚住とは対照的に、遅刻癖があるなど飄々としながらも内なる闘志と天才的なセンス、カリスマ性を持っており、海南戦で魚住が5ファウルで退場になった後半残り7分、ベンチメンバーは仙道を信じて誰も勝利を諦めませんでした。

 この時、仙道の負担を懸念した監督・田岡が越野を牧にダブルチームで付かせる指示を出そうとしたところ、ライバルである福田は「仙道のプライドが傷つく」「あいつはきっと負けない」と、絶対的な信頼を寄せていたことからも、陵南がチームとして真にまとまるのは、仙道が主将となった次世代チームだと考えられます。

 大きな不安材料であるインサイドも、1年でありながら魚住の交代要員として試合に出場している菅平の成長によっては大きく増強できる見込みがありますが、ここは湘北に分があるといえそうです。

 菅平の身長は桜木くらいとセンターでは決して大きい方ではなく、メンタル的にも少々弱々しい面があり、リバウンダーとしても桜木には及ばないでしょう。

 海南同様、インサイドの要がいなくなるのは痛手ですが、陵南も仙道と福田を中心にオフェンス力が高く、素早いチームとなっていくと思われます。ここは流川、宮城との面白いマッチアップが期待できそうですし、湘北の次世代メンバーである2年の安田、潮崎、角田、1年の石井、佐々岡、桑田らの成長次第では、さらに肉薄した試合を目撃できそうです。

〈文/lite4s〉

 

※サムネイル画像:Amazonより

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