SLAM DUNK』には、熱い試合シーンの陰に未回収のままの伏線や、未解明な謎が多く残されています。どんな伏線や謎が残されているのでしょうか?

◆赤木は引退後「バスケ部に復帰」していた!?

 200412月に閉校となった神奈川県立三崎高等学校の各教室の黒板を使って、原作終了から10日後を描いた黒板漫画『あれから10日後-』の公開イベントが行われました。20094月には、その様子を完全収録した『スラムダンク『あれから10日後-』完全版』(出版社:フラワー)が出版されています。

 さらに、2005年1月20日に出版された雑誌『SWITCH』(出版社:スイッチ・パブリッシング)にもイベントの様子が掲載され、花道ら湘北バスケ部のメンバーが表紙を飾りましたが、そのイラストに大きなヒントが隠れています。

 表紙のイラストには、小暮が運転するピックアップ・トラックの荷台に座る流川と三井、ボンネットの上には花道と宮城、そして車体後方に赤木が配置されています。車内の小暮以外はユニフォームを着ていますが、赤木の胸には4ではなく「15」の文字が……。

 湘北の15番といえば、最終話時点で1年生の桑田がつけていた番号(当初は佐々岡が15番、途中で入れ替わった)ですが、湘北で支給されているユニフォームの末番でもあります。

 赤木はインターハイ3回戦で湘北が愛和学院に敗れたあと、受験勉強に専念するために小暮とともに引退しましたが、『あれから10日後-』では、バスケができないストレスで成績が落ちたことが晴子の手紙によって明かされました。

 この事態を受け、「受験のため」という名目で赤木はバスケ部に復帰した可能性があります。既に主将は宮城に代替わりしていますが、先に復帰した三井に次ぐ15番のユニフォームを新たにもらっていたのかもしれません。

 もしこれが伏線であれば、続編の連載が実現した際には赤木と花道のゴールデン・コンビが再び見られるのでは? とファンは期待せずにはいられません。

◆原作第2話の見開きで花道が着ていた「JAPAN」のユニフォームは伏線?

 原作第2話「流川楓だ」は、永遠のライバルであり、後にチーム・メイトとなる流川と花道が初対面する回ですが、見開き2ページ目に伏線ともとれる謎めいた花道の姿が描かれています。

 ユニフォームを着て、「No.1」を意味するであろう右手人差し指を立て、正面を向いて立っている花道の姿が描かれていますが、注目はそのユニフォームが、「SHOHOKU」ではなく「JAPAN」の16番であることです。

 さらに、バッシュは花道が当時履いていた体育館シューズではなく、後に手に入れる「エアジョーダン6」でもありません。なぜか流川が愛用している「エアジョーダン5」を履いているのです。

 原作第7話で、花道はバスケ部への入部の意志を固め、勝手に部室に侵入して赤木のユニフォームを着ていましたが、そのときもシューズは自前の体育館シューズのままで、流川のシューズを拝借したことはありませんでした。

 原作の最終話で、流川は全日本ジュニアに選出され、リハビリ中の花道に「JAPAN」と書かれた練習着を見せつける印象的なシーンがありますが、流川のバッシュを花道が履いていたことも然り、花道と流川が「同じように選手として成長していく」ことの暗示かもしれません。

 花道の「JAPAN」ユニフォームは「将来、花道は流川に追いつき全日本のメンバーに選出される」という伏線なのかもしれません。

◆チームの特徴に唯一ミスマッチだった「豊玉高校の横断幕」 

 湘北が対戦してきた強豪チームは、それぞれチームの特徴を表す言葉が書かれたさまざまな横断幕を掲げていました。

 もっとも有名で王者・海南をより印象的なものにした海南大附属の「常勝」、レギュラーのほとんどが2年生でありながら海南を最後まで苦しめた陵南の「勇猛果敢」、藤真率いるレギュラーの3年生5人が冬まで残り、まさに魂をかけて闘う翔陽の「闘魂」など、それぞれのチーム・カラーを反映したものばかりでした。

 そんな中、インターハイ1回戦で湘北が戦った大阪代表の豊玉高校の横断幕は、かなり違和感のあるものでした。

 豊玉高校といえば、岸本や板倉など挑発的なメンバーが多く、お世辞にもフェアプレーとはいえないプレースタイル選手が多い曲者集団。選手たちは「ラン&ガン」を理想としていますが、監督・金平はこれに否定的で、湘北戦では試合中に監督が選手を殴るという暴力沙汰まで起こしました。

 そんなクセが強いチーム・豊玉高校の横断幕に書かれていた言葉は、なんと「努力」でした……。横断幕の言葉としては悪くないものの、豊玉のイメージとかけ離れているため、多くの読者の記憶に残っているようです。

◆学年すら不明のまま……海南・小菅の素性

 湘北のライバル校の中では陵南に次いで描写が多く、選手の過去についても描かれた海南大附属高校。選手層が厚く、勝利が濃厚となった試合では、控え選手を積極的に起用する智将・高頭の采配も印象的です。

 そんな中、小菅という8番の選手は、湘北戦には宮益と交代で途中出場し、インターハイ初戦となる馬宮西戦ではジャンプ・シュートを決めるなど、何度か登場しているにもかかわらず学年すら分かっていません。

 予選リーグの陵南戦では、試合開始前に復帰した陵南・福田に気づいた神に対し、「知ってんのかあいつを?」とタメ口で問いかけています。このことから2年生以上であることは間違いなさそうですが、神の返答がないため3年生かどうかは不明のままです。

 実力主義を掲げる海南ではユニフォーム番号も実力順です。たとえば、2年生の神は、主将の4番、副主将の5番に次ぐ6番を背負っています。控え選手でありながら8番をもらっている小菅は有能な選手だと思われますが、アニメ放送では「今中」と名前が差し替えられるなど、謎の多いキャラクターです。

 

 ──原作の連載終了から30年が経とうとしている『SLAM DUNK』には、未回収の伏線が数多く残されています。

 2022年に上映された映画『THE FIRST SLAM DUNK』で宮城や三井の知られざる過去が明かされたように、今後新たな真実が飛び出すことがあるかもしれません。

〈文/lite4s〉

《lite4s》

Webライター。『まいじつ』でエンタメ記事、『Selectra(セレクトラ)』にてサスペンス映画、韓国映画などの紹介記事の執筆経験を経て、現在は1980~90年代の少年漫画黄金期のタイトルを中心に、名作からニッチ作品まで深く考察するライター業に専念。 ホラー、サスペンス映画鑑賞が趣味であり、感動ものよりバッドエンド作品を好む。ブロガー、個人投資家としても活動中。

 

※サムネイル画像:Amazonより

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