インターハイ・神奈川県予選の終了後、MVPを含む、もっとも活躍した5人の選手「神奈川ベスト5」が発表されました。

 選ばれた海南・牧、神、湘北・赤木、流川、陵南・仙道の5人が一つのチームとなり、インターハイに挑んでいたら、全国制覇はできたのでしょうか?

◆キャプテンはやっぱり「帝王・牧」の一択

 5人全員が神奈川を代表するエース級の選手とあって、チームのまとめ役であるキャプテンを誰にするかは非常に重要です。

 「神奈川ベスト5」には、海南のキャプテンを務める牧、湘北のキャプテン・赤木、陵南の新キャプテン・仙道ら3人のキャプテンがいるため、統率するのは通常のチームよりも難しいでしょう。

 その中でも、全国を相手に闘ってきた経験と実績、勝負強さなどから、海南・牧がキャプテンに適任といえそうです。

 牧は、強豪・海南で1年生からレギュラーに抜擢され、インターハイ、冬の選抜を含め全国での試合経験が豊富です。また、ポジションがPGであるため、司令塔としてチームを牽引する役割を担うことも多いです。

 優秀な選手が集まると、それぞれの我の強さから衝突が起きやすいもの。しかし、牧が主将なら、赤木や仙道が納得する姿が想像できます。流川の反応は読めないですが、牧であれば、流川の能力を最大限に引き出せるでしょう。

 また、もともと海南のスタメンである神と牧は、名コンビともいえます。信頼関係の厚さから、牧がキャプテンになることに異存はないでしょう。「神奈川ベスト5」の試合でも、牧のペネトレイトから神が射貫くという「海南の攻撃の型」が飛び出すかもしれません。

◆もっとも覚醒するのは仙道?

 たとえ優秀な選手でも、チームメイトやポジション次第では、実力を十分に発揮できないこともあります。反対に、実力以上に活躍できることもあります。

 「神奈川ベスト5」の5人のポジションは、Cは赤木、SGは神として、残る牧、仙道、流川にはいくつか選択肢が考えられます。

 まず司令塔として非常に重要なPGには、キャプテンと同様に実績と判断力に優れた牧が適任でしょう。仙道もPGとしての能力を開花させていますが、まだ2年生であることと、追い込まれるまでエンジンがかからないスロー・スターター気質などから、牧以上に適しているとはいえません。

 流川は「オフェンスの鬼」とまでいわれるスコアラーであるものの、まだ1年生です。海南戦では試合終盤でスタミナが尽きて交代し、陵南戦では仙道に勝つために前半は体力を温存しています。スタミナ面の不安、オフェンス力を活かすという2点で、Fが適任でしょう。

 仙道は、本来のポジションはFですが、PGもこなせる視野が広い天才肌の選手です。また、「神奈川ベスト5」には、花道のようなリバウンダーがいないため、190センチの長身と視野の広さを活かし、内外問わずチームメイトをフォローしつつ、相手をかく乱する自由な役割が最適でしょう。

 仙道がどのように動いても、最高の形で活かしてくれそうな牧、赤木らを擁する「神奈川ベスト5」で、秘めた能力がもっとも覚醒するのは仙道といえるかもしれません。

◆5人全員がスコアラー! 赤木はディフェンスに専念? 

 「神奈川ベスト5」は、神奈川の得点王・神をはじめ、PGの牧を含めた全員がエース級に点を獲れるスコアラーです。

 湘北は、海南戦において牧のペネトレイトを封じるため、牧に4人のディフェンスを付けましたが、「神奈川ベスト5」にそのような奇策を打てば、フリーになった選手が容赦なく点を獲るでしょう。

 相手チームにとって全員が脅威となるまさに最強メンバーですが、「全国制覇」という目標を考えると、問題もあります。赤木は、山王戦で河田に及ばず、一時は迷走したプレーを連発するなど、かつてないほど追い込まれました。

 そこで、湘北ではオフェンス面でも頼りがいがあった赤木を、山王戦では思い切ってディフェンスに専念させるという作戦も良さそうです。チーム全員が得点力を持っているからこそ立てられる作戦ですが、赤木がディフェンスとリバウンドに専念すれば、かつての流川や清田のように、普通にプレーしても勝てない相手を抑えられるかもしれません。

 また、海南は191センチのC・高砂を除きほかの4人は180センチ台と比較的小さいチームでしたが、全国2位まで勝ち抜いており、高さ不足を補う方法はいくらでもあることが証明されています。山王・野辺などインサイドに強い選手がほかにいても、仙道のフォローがあること、牧はインサイドでもプレーできることから、十分カバーできるでしょう。

◆「神奈川ベスト5」の監督を任せるなら……

 最後の課題は「神奈川ベスト5」の監督ですが、候補は海南・高頭監督、湘北・安西先生、陵南・田岡監督の3択となりそうです。

 黒板漫画『あれから10日後-』では、国体チームについて高頭は田岡に、「今年に限れば混成チームにしたいですね」「海南・陵南 湘北それに翔陽からも23人」と話しています。2人とも既に監督になったつもりで楽しそうにメンバーを想像しており、「で……どっちが監督だ?」と、にらみ合う様子がコミカルに描かれています。

 全国大会の実績でいえば、智将・高頭に軍配があがります。しかし、かつて大学バスケ指導で積んだ実績を持ち、粗削りで選手層が薄い湘北を山王戦で勝利に導いた安西先生も捨てがたいところです。

 選手のポテンシャルを信じ、海南戦で福田の進言を受け入れるなど、厳しくも柔軟な姿勢をもった田岡の采配も見てみたいところです。

 指導者は実績が問われるため、高頭が有力です。しかし、安西先生ならドラマチックな試合を、田岡なら実直ながら意外性のある戦術を見せてくれるでしょう。

 

 ──「神奈川ベスト5」は、いわゆる「称号」のようなもので、彼らが実際にチームとなってプレーすることはありませんでした。

 しかし、続編の連載が実現し、大学バスケ編が描かれるとしたら、夢のチーム「神奈川ベスト5」の試合が見られる日が来るかもしれません。

〈文/lite4s〉

《lite4s》

Webライター。『まいじつ』でエンタメ記事、『Selectra(セレクトラ)』にてサスペンス映画、韓国映画などの紹介記事の執筆経験を経て、現在は1980~90年代の少年漫画黄金期のタイトルを中心に、名作からニッチ作品まで深く考察するライター業に専念。 ホラー、サスペンス映画鑑賞が趣味であり、感動ものよりバッドエンド作品を好む。ブロガー、個人投資家としても活動中。

 

※サムネイル画像:Amazonより

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