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<この記事にはTVアニメ・原作漫画『SPY×FAMILY』のネタバレが登場します。ご注意ください。>

 アーニャが「らすぼす」認定しているドノバン・デズモンド。しかし、本当にドノバンは『SPY×FAMILY』におけるラスボスなのでしょうか? 実は、ドノバンを黒幕とするには不可解な点がいくつかあります。

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◆ドノバンが現時点で「ラスボス」と考えられる理由

 『SPY×FAMILY』の舞台となる東国(オスタニア)。その政府は2つの大きな政党に分かれています。1つが現与党の「国民党」で、かつて戦争した西国(ウェスタリス)にも比較的寛容な東西融和路線を志向しています。

 しかし、もう1つの最大野党「国家統一党」は、対西国(ウェスタリス)への強硬路線を貫いているのです。その「国家統一党」の総裁がドノバン・デズモンド……。当然、「WISE」が行っている「オペレーション<梟(ストリクス)>」の最終目標もドノバンになっています。

 そんなドノバンは、現時点で再び西国(ウェスタリス)に戦争を起こそうとしている危険人物だとされています。このことからドノバンは、戦争を阻止し平和な世の中を作りたいと願っているロイド、そして東国(オスタニア)の平穏な日常を守るために行動しているヨルの思想とも対立するのです。

 つまり、フォージャー家を中心に描かれている物語からみても、ドノバンが「ラスボス」の最有力候補だと考えられています。

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◆ドノバンは本当に戦争を望んでいるのか?

 現在のところ、ドノバンが再び戦争を起こそうとしている理由については分かっていません。しかし、その理由を考えるにあたって着目したいのがドノバンの思想です。

登場回数は少ないながら、ドノバンの思想が垣間見られるシーンがいくつかあります。たとえば第38話でドノバンは、「血の繋がった子であろうがしょせんは他人。人と人とは結局永遠に分かり合えん」と言っています。さらに、第99話では戦争がなくならない原因を「人間は嘘つきだからです」と一蹴しているのです。

 つまりドノバンは、極端なまでの「他者への不信感」から来る排外的な思想の持ち主だと考えられます。それゆえに、「他者との対話」ではなく「武力による支配」を選択し、その手段として「戦争」を考えている可能性があるのではないでしょうか。仮にそうだとしたら、ドノバンはまさにヒールにふさわしい思想の持ち主だと言えるでしょう。

 しかし、ドノバンが「他者との対話」を完全に諦めているのかというと、そうでもなさそうなのです。第38話では「人とは分かり合えない」と語ったドノバンに対し、ロイドが「大切なのはそれでも歩み寄る努力です」と答えています。その際、ロイドに対し「キミは正しいとも言える」とドノバンはその意見を認めています。

 実際、ドノバンはダミアンが「星(ステラ)」を取ったと報告してきたとき、「デズモンドの名に恥じぬよう引き続き励め」と激励しています。さらに第106話では、家族との昼食会を自ら開き、「有意義な時間であった」とも語っています。

 これは、とても「分かり合えない」と思っているはずの相手に取る対応だとは思えません。つまり「思想」は悪ですが、「行動」はロイドと同じように関係を作ろうと歩み寄る姿勢も見せており矛盾しているのです。そうなると、ドノバンが本心から「戦争」を望んでいるのか疑問となるのではないでしょうか。

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◆真の黒幕はプロジェクト<アップル>の研究組織?

 かつてイーデン校の生徒だったドノバンは、「ボクも平和を願っています」と自らの願いを口にしています。このことから、かつてのドノバンはロイドやヨルと同じく戦争ではなく「平和」を理想としていたと考えられます。

 そんなドノバンが「戦争」を望むようになったのなら、何か猜疑心が芽生えるような大きなきっかけがあったと考えるのが自然でしょう。結論からいうと、そのきっかけというのがアーニャを生み出した「プロジェクト<アップル>」の実験だったと推察します。根拠は大きく2つ考えられます。

 まず1つ目の根拠は、第110話でのドノバンの妻・メリンダの台詞です。ここでメリンダは、おかしなことを言っていると自覚しながらも「夫は人の心が読めるの」と語っています。その話を聞いたロイドは、内心で「荒唐無稽だ」と思っていました。もちろん、ドノバンが本当に心を読めるのかその真偽は定かではありません。

 しかし、アーニャという「心が読める」超能力者が既に登場している分、メリンダの発言はかなり信ぴょう性が増しているのではないでしょうか。そして、アーニャの超能力を生み出したのが、「プロジェクト<アップル>」なのです。

 続いて2つ目の根拠は、ドノバンの側頭部にある奇妙な縫い目の痕です。ドノバンの側頭部には左右ともに縫い目が描かれています。この縫い目は、原作はもちろん、TVアニメ版でも確認できます。一方で第99話をはじめとする過去回想シーンでは、ドノバンの頭に縫い目は見当たりません。

 つまり、どこかのタイミングで側頭部に傷がついたと考えられます。しかし、普通に生活していて、左右とも側頭部だけ傷がつくとは考えづらいでしょう。そこで、「プロジェクト<アップル>」の実験の手術痕だと考えたらどうでしょう? 腑に落ちますし、何より辻褄が合うのです。

 まず、第110話ではメリンダも、「ある時期を境にあの人は変わってしまった」と語っています。そして彼女は「宇宙人がドノバンになりすましている」と感じるほど、ドノバンの中身が別人に変わってしまったとも言っています。これは、実験によりドノバンの中で「他者への不信感」が芽生えたことにもつながるのではないでしょうか。そして、ドノバンが「プロジェクト<アップル>」の被験者であった場合、必然的にアーニャと同じ超能力者である可能性も高まるのです。

 このように、すべてつながってきます。もしかしたら、元々ドノバンは「平和」を望む善人だったのかもしれません。そうなると彼は「プロジェクト<アップル>」により歪んだ思想を植え付けられたとも解釈できます。その場合、「プロジェクト<アップル>」の研究組織こそが「真の黒幕」になるのかもしれません。

 

 ──第1話で明かされている通り、アーニャは被験体“007”です。これが、文字通り「7番目の被験者」を意味するのなら、アーニャのほかに少なくとも6人の超能力者がいることになります。まずは、その超能力者の中にドノバンが入っているのかが注目になってくるでしょう。

〈文/fuku_yoshi〉

《fuku_yoshi》

出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「TVアニメ『SPY×FAMILY』公式スタートガイド ANIMATION×1st MISSION」(出版社:集英社)』

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