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<この記事にはTVアニメ・原作漫画『SPY×FAMILY』のネタバレが登場します。ご注意ください。>

 アーニャ・フォージャーが通うイーデン校は、主に平穏な日常の舞台として描かれています。しかし、実は随所に気になる描写が散りばめられており、今後の伏線が仄めかされているのです。そして、それは「アノ研究」との関連を示唆しており、イーデン校の闇の部分につながっているのかもしれません。

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イーデン校にまつわる「リンゴ」とは?

 アーニャたちが通うイーデン校ですが、不思議なことに「リンゴ」にまつわる伏線が数多く隠されています。もっとも分かりやすいのがイーデン校の校章のデザインです。校章はリンゴがモチーフとなっており、中にはイーデン・カレッジの頭文字である「E・C」があしらわれています。

 続いて、イーデン校で語り継がれる七不思議にもリンゴを彷彿させるものがいくつかあります。まずはTVアニメ『SPY×FAMILY』Season 2 第4話でも描かれた七不思議の1つ「知恵の甘味」です。

 この七不思議は、学食へやってくる謎のパティシエが提供するスイーツを口にした者が「皇帝の学徒(インペリアル・スカラー)」になれるといった内容です。そして、「スイーツを食べればたちまち頭が良くなる」ということから「知恵の甘味」と呼ばれています。

 ここで注目したいのは「食べたら知恵がつく」という点。イーデン校の英字表記は、公式で「EDEN」となっておりますが、この読み方は「エデン(楽園)」が一般的です。これは旧約聖書の「エデンの園」を連想させます。

 この「エデン」には人類最初の男女アダムとイヴが住んでいました。しかし、神から食べてはいけないと言われていた禁断の果実を食べてしまい、エデンから追放されてしまいます。その禁断の果実が「知恵の実」とされており、諸説ではこの果実こそが「リンゴ」だとされています。「知恵の甘味」は、まさにこの神話を想起させるものとなっているのです。

 さらに七不思議には、「知恵の塔の開かずの間」という話も存在します。これは優秀な生徒「インペリアル・スカラー」とその親しか出席が許されない極秘の部屋だとされており、こちらも「リンゴ」のデザインが匂わされています。このように、イーデン校と「リンゴ」には、何らかの関係性が仄めかされているのです。

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『SPY×FAMILY』でリンゴといえば……

 作中において「リンゴ」といえば真っ先に思い浮かぶのが、やはり「プロジェクト<アップル>」でしょう。プロジェクト<アップル>は「東国(オスタニア)」旧政権が軍事目的としてIQの恐ろしく高い動物を生み出そうとした研究です。奇しくも、「リンゴ」と「知恵」がリンクしたプロジェクトとなっています。

 そして、現在フォージャー家で飼われているボンドも、かつてこの研究で「8号」と呼ばれた実験体だったことが分かっています。さらに、この研究はアーニャとの関連も示唆されています。なぜなら、プロジェクト<アップル>の研究員と同じ人物が複数名、アーニャの回想シーンに登場しているからです。

 アーニャはコミックス第1話でかつて「被験体”007”」と呼ばれていたことが分かっており、プロジェクト<アップル>の研究組織に囚われていた可能性は非常に高いでしょう。仮に、イーデン校に描かれている「リンゴ」が、プロジェクト<アップル>との関連を暗喩するものならば、イーデン校は旧政権の息がかかった真っクロな学校となります。

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イーデン校=実験体の育成機関?

 結論からいうと、イーデン校とプロジェクト<アップル>には何らかの関わりがあると考えられます。その根拠は大きく3つあります。まず1つは、インペリアル・スカラーたちが表に出てこず謎に包まれている点です。

 インペリアル・スカラーは、イーデン校の中でも特に優秀な生徒のみで選出される特待生たちです。本来、優秀な生徒であるならほかの生徒たちの模範的立場となるため、公の場に登場してもいいハズ。

 しかし、現状はダミアンの兄のデミトリアス・デズモンド以外、誰がインペリアル・スカラーなのかでさえ分かっていません。つまり、学校側がインペリアル・スカラーを表に出したくない理由があるとも考えられるのです。

 続いて2つ目は、ドノバン・デズモンドの存在。ドノバンは国家統一党の総裁であり、ロイドたちの最終標的でもあります。そんなドノバンは、妻・メリンダから「心を読める」と言われており、超能力を持っている可能性が高まっています。

 その証拠に、彼の側頭部には奇妙な縫い目が描かれており、もしかしたらプロジェクト<アップル>によって身につけた能力という線も考えられるのです。そんなドノバンもかつてのインペリアル・スカラーの一人だったことが判明しています。

 最後に3つ目は、イーデン校の七不思議がやたらと「インペリアル・スカラー」や「知恵」に関連している点です。先ほど紹介した七不思議のほかに、コミックス第123話では新たに「旧校舎の悪魔儀式」という七不思議が判明しています。

 これはイーデン校の旧校舎に幽霊が彷徨っているという噂なのですが、なぜか幽霊は頭のいい生徒ばかりをねらっているらしく、襲われた人物は後日「インペリアル・スカラー」になったとされています。

 そんな旧校舎は不気味なことに、戦時中は成績の悪い生徒たちを人体実験に使ったという噂も残っています。このようにIQの高い生物を作るプロジェクトと優秀な学生たちが集まるイーデン校は、うがった見方をすると親和性があるとも捉えられるでしょう。仮に七不思議がプロジェクト<アップル>を隠蔽するためのカバーストーリーだとしたら、意外と辻褄が合ってしまうのです。

 このまま物語が進み、順調にアーニャが「インペリアル・スカラー」に選出された場合、オペレーション<梟(ストリクス)>は成功に近づきます。しかし、イーデン校がクロだったとしたら、それは同時にアーニャが実験機関に見つかり連れ戻される可能性も高くなるのかもしれません。

 

 ──『SPY×FAMILY』は、基本的にフォージャー家を中心としたドタバタコメディが描かれています。しかし、その背景には戦争やスパイといったシビアな現実があるのも事実です。日常の何気ないシーンにも、そういった現実に繋がる伏線が隠されているのかもしれません。

〈文/fuku_yoshi〉

《fuku_yoshi》

出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「TVアニメ『SPY×FAMILY』公式スタートガイド ANIMATION×1st MISSION」(出版社:集英社)』

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