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<この記事にはTVアニメ・原作漫画『SPY×FAMILY』のネタバレが登場します。ご注意ください。>

 『SPY×FAMILY』の中で、どうしても避けて通れないのが「戦争」の話。TVアニメ『SPY×FAMILY』Season 3では、とうとう過去に起きた戦争がロイド視点で明かされました。ロイドがなぜ平和を目指すのか……。重要人物となってくるのが実の父親の存在です。

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◆ロイドの父親が生きている可能性

 TVアニメ第39話で、ロイドの実の父親が初登場しました。原作でもたった1話しか登場していませんが、作中では珍しく平和的な思想の持ち主として印象的に描かれています。

 東西国民が敵視し合う中で、子供だったロイドも将来兵隊となり敵をやっつける夢を語っていました。しかし、ロイドの父親は「東国(オスタニア)人の悪行をその目で見たのか? 自ら争いを望むな」と平手打ちし叱りつけています。この様子からも彼の信念の一端がうかがえるでしょう。

 そんなロイドの父親ですが、決して厳格な父親というわけではなく、出張から戻ったら祭りに参加しようと優しい一面も見せていました。しかし、オスタニア軍が侵攻して以降どうなったのか描かれていません。

 ロイドは既に父親が亡くなっていると思っていますが、実は生存している可能性も十分に考えられます。根拠は大きく3つ。

 まず1つ目は、ロイドが住んでいたルーウェンが爆撃された際、父親は出張で街を離れていたことです。ここで重要なのは、明確に命を落とした描写がない点。これが2つ目の根拠にもつながってきます。

 2つ目は、爆撃で命を落としたと思っていたロイドの友達が生きていたという前例があることです。TVアニメSeason 3の第40話では、かつて命を落としたと思っていた<大将>たちとの再会が描かれています。そしてその後の独白で、ロイドは「無知とはなんて悪」と後悔する場面がありました。

 その後悔の中に、「あいつらは爆撃で命を落としたと思い込み、盲目的に敵を憎み、国に従った」とあります。つまり、自ら確認していないことに関して、勝手に事実を決めつけたことを悔恨している描写がわざわざなされているのです。この後悔は、ある意味で父親の「自ら争いを望むな」という発言にも通ずる点があります。

 そして3つ目の根拠は、ロイドの本名がずっと伏せられていることです。特に注目したいのが、ファミリーネームも隠されている点。過去回想では、最終的にロイドが自分の名前を捨てますが、仮にそのための演出として名前を隠しているなら、わざわざフルネームのところまで描写する必要はないように思います。

 実はロイドの家庭の描写をみる限り、ファミリーネームに重大な秘密があっても不思議ではないのです。

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◆ロイドの父親は政府関係者?

 ロイドの回想シーンを振り返ると、ロイドは一般家庭の子供ではなかったのかもしれません。

 まず、作中では一般人のほとんどが「オスタニアは攻めてくるはずがない」と東西両国がきな臭い状況にあることに気づいていませんでした。そんな中でロイドの父親だけは「国境沿いに不穏な動き」があることを知っていたのです。

 これは父親が、西国(ウェスタリス)の安全保障や外交に関わる、重大な情報に触れられる職業についていたとも考えられます。それに、ロイドの家はかなり裕福な様子でした。たとえば、ロイドが参考書を買うと嘘をついたとき、その言葉を信じた父親はポンと紙幣を渡しています。

 また、ロイドが「帰ってたんだ」と父親の在宅に少し驚いた様子があったり、母親としょっちゅう言い争いをしていた回想があったりすることから、あまり家族との時間がとれないような職業だったとも推察できます。仮にロイドの父親が、ウェスタリス中枢に近いところで働いていたとしたら、先ほど触れたファミリーネームは今後重要な伏線となりうるでしょう。

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◆正体はガーデン店長? まだ見ぬWISE局長の可能性も?

 そんなロイドの父親の正体ですが、ファンの間ではガーデン店長ではないかと考察されています。確かにロイドの父親とガーデン店長にはいくつか共通点があります。

 まず1つは両者とも戦争を望んでいない点です。ロイドの父親は先述の通り東西の区別がなく、ともに同じ人間だという考えを持っており、争いを否定する平和主義者です。一方のガーデン店長も、平穏を望み、反乱分子を事前に排除してまで平和を維持しています。また、容姿が似ているともいわれています。ロイドの父親は目元こそ隠されていますが、確かに頬がこけている点や口元の特徴がガーデン店長と似ているかもしれません。

 もちろん、ガーデン店長は浅黒い肌をしており、ロイドの父親はロイドと同じ肌色です。しかし、仮にロイドの父親がオスタニアの裏組織の一員ならば、変装技術で本当の姿を隠していても不思議ではありません。

 しかし、ガーデン店長とロイドの父親とでは決定的に異なる点があります。それが、旧帝国への忠誠……。ガーデン店長の平穏はあくまでも旧帝国が残した美しい世界を守るもので、その世界が汚されないように破壊行為が行われる戦争を未然に防いでいます。

 そのために、ガーデンは暗殺という手段を用いている点も注目です。そもそもロイドの父親は争いを否定しており、同一人物なら手荒な手段を用いるのか、いささか疑問が残ります。また、あまり根拠とはなりませんが、TVアニメ版ではロイドの父親役とガーデン店長役の担当声優が違っているのも気になります。

 それでは、ロイドの父親の正体は誰なのでしょうか? 実は、まだ登場していない「WISE」の局長である可能性が考えられます。ロイドの父親は、先述の通り一般人が持ち得ない情報を持っていました。「WISE」の前身は「陸軍情報部」であり、極秘の情報を持っていたとしても辻褄が合います。

 さらにWISEの所属メンバーは、現在までのところ全員が純粋に東西平和を心から願う者たちだけで構成されています。これは、ロイドの父親の思想とも通ずるのではないでしょうか。

 このようにロイドの父親には伏線がいくつかあり、今後再登場する可能性は十分に考えられるのです。どちらにせよロイドの父親が生存しているなら、重要人物として再登場するのではないでしょうか。

 

 ──過去編ではロイドが父親にはじめて嘘をつき、お小遣いをもらって兵隊セットのおもちゃを買っています。そんなロイドは嘘をついたことをご飯の味がしなくなるほど後悔し、父親にもらったお金を返そうとしていました。しかし、そのすぐ後に勃発した戦争によって父親との再会は叶わず、ロイド自身も身分の偽装を余儀なくされます。

 そして現在、奇しくもロイドは嘘をつき続ける「スパイ」として人生を送っているのです。そんなロイドですが、ヨルとアーニャという仮初の家族と過ごすうちに、少しずつ心境の変化が見てとれます。

 今後、彼女たちと本物の絆を結ぶために最初についた嘘を清算する必要があるとしたら……、父親との再会は重要な要因になるのかもしれません。

〈文/fuku_yoshi〉

《fuku_yoshi》

出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「SPY×FAMILY」第1巻(出版社:集英社)』

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