あの『きかんしゃトーマス』が“放送終了”を迎えるという驚きの事態を迎えています。『きかんしゃトーマス』といえば今年が原作出版80周年というアニバーサリーイヤーを迎えた、誰もが知る長寿人気シリーズ。いったい『トーマス』に何が起きているのでしょうか?

◆2Dアニメシリーズの『きかんしゃトーマス』が放送終了していた?

 今回放送が終了したのは2Dアニメーションシリーズの『きかんしゃトーマス』。ただし、日本ではなく海外での話。このアニメシリーズは海外では『Thomas & Friends: All Engines Go』のタイトルで知られる2Dアニメーションシリーズで、2021年に放送がスタートしました。

 これまで第4シーズンまで製作が続いてきたのですが、今月放送された『Sodor Sings Together』という長編エピソードを最後に続編の製作の発表がないということで、シリーズは一区切りを迎えました。

 日本ではEテレにて同シリーズを放送していますが、こちらは今のところ放送終了の予定は発表されていません。

 そもそも日本は放送開始時期もずれていたこともあり、第4シーズンどころか、まだ第2シーズンを放送している最中。まだしばらくは放送を続けていくことができそうです。

 そんな状態なので、『Sodor Sings Together』のエピソードも日本での放送予定はもちろんまだ発表されていませんが、長編シリーズも日本では劇場版として遅れて上陸している前例をふまえると、将来的にはなんらかの形でローカライズは期待できるでしょう。

◆「万人に受け入れられた」とは言い難い2Dアニメシリーズ

 悩ましいのは今回の『Thomas & Friends: All Engines Go』シリーズ自体が賛否両論あったシリーズという点です。『きかんしゃトーマス』シリーズと言えば時代を経るごとに、映像の表現方法を変化させてきた作品です。

 『きかんしゃトーマス』は1984年に模型を撮影する人形劇スタイルの映像作品として登場しました。しかし2009年からはフル3DCGアニメーションへとリニューアルし、キャラクターデザインこそ従来に近いものの、映像としては大幅な変化を遂げます。

 その流れを経ての2021年に行われた二度目のリニューアルが今回の『Thomas & Friends: All Engines Go』。2Dのカートゥーン調のアニメーションとなったトーマスは、デザインからも大胆なアレンジが加えられ、良くも悪くも“まったく新しいトーマス”として認知されることになります。

 これだけ大胆なリニューアルには、もちろん快く思っていない従来のファンもいたことでしょう。

 実際にその人気の差が分かる例が80周年を記念して実施された「推しキャラ総選挙」という人気投票企画。この企画では、キャラクターだけでなく、シリーズによる違いも選択肢として用意されていて、同じ『トーマス』でも原作絵本・模型版・3D版・2D版と別キャラクター扱いされていました。

 そんな投票の結果では、日本と世界全体のどちらでも2D版のトーマスが他のトーマスの順位を下回る結果になりました。いくら歴史が浅いシリーズとはいえ、現行作品としては少し寂しい結果です。

◆2026年に向け『トーマス』はまだまだ今後も続いていく?

 では今後『トーマス』シリーズはどうなってしまうのでしょうか。少なからず『Thomas & Friends: All Engines Go』シリーズの今後については続報を待つしかないのですが、シリーズ自体の存続に対してはまだまだ意欲的なのは確かなようです。

 先日も80周年を記念して1983年に製作された『きかんしゃトーマス』のパイロット版をレストアした2025年版がきかんしゃトーマスの公式YouTubeにアップされたばかり。最初のナレーターであったリンゴ・スターさんの未公開のナレーションも収録されていたりと貴重な映像です。

 またこの配信に加えて、2013年から『きかんしゃトーマス』の玩具シリーズの販売を担っているマテル社はニュースリリースを発表。『Thomas & Friends: All Engines Go』シリーズに関する具体的な言及こそありませんでしたが、『きかんしゃトーマス』に関するポッドキャストの配信開始を発表しています。

 それに加え、「2026年にきかんしゃトーマスは新旧のファンを魅了するスリリングな新しい旅へと出発します。( in 2026, Thomas & Friends is ready for a thrilling new journey that is set to delight fans old and new.)」と、来年に向けて少なからず意欲的な何かしらの展開があることを仄めかすコメントを残しています。もしかすると近い将来、あっと驚く『トーマス』の新展開が見られるのかもしれません。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi

※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『Thomas & Friends』より


参考:All Aboard for 80 Years: Thomas & Friends Marks Milestone with Never-Before-Seen Pilot Episode and Charity Auction

https://www.businesswire.com/news/home/20250509865224/en/All-Aboard-for-80-Years-Thomas-Friends-Marks-Milestone-with-Never-Before-Seen-Pilot-Episode-and-Charity-Auction

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