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 10月から放送されている『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』(以下、東島ライダー)。『東島ライダー』は子供のころに『仮面ライダー』シリーズを見たきりという人にとっては、懐かしさとともに「こんな技や設定があったんだ?」と1970年以降の昭和生まれの記憶を刺激しているようです。変身セリフへのこだわりや意外に知られていないキャラの登場などもあって、エモすぎると話題になっています。

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◆ライダーパンチが再評価?

 仮面ライダー1号・2号はバッタがモチーフになっているため、フィニッシュ技といえばライダーキックを思い浮かべる人が圧倒的に多いでしょう。実はこれに並ぶ技としてライダーパンチがありますが、1号・2号ともにキックと比べてフィニッシュに使われた回数が極端に少ないため「こんな技あったっけ?」状態の人も……。

 『東島ライダー』の主人公の東島丹三郎はライダーパンチを使うことが多く、この技で怪人蜘蛛男を吹っ飛ばしたため「ライダーパンチすげぇ」とSNSなどで評価が高まっています。

 東島丹三郎はお祭りで買った仮面ライダーのお面をつけて、ライダー1号としてショッカーと戦っているおじさんです。彼は極度のライダーオタクで子供のころから体を鍛え続け、素手で熊と戦えるほどになりました。

 さらになぜか仮面ライダーのお面をつけているときは、通常よりも高い身体能力を発揮できるようになります。東島丹三郎のフィニッシュ技は正拳突き(ライダーパンチ)と飛び蹴り(ライダーキック)のみで、キックよりパンチを使うことが多いです。

 ライダー2号もライダーキックを得意としていますが、ゾル大佐が変身した黄金狼男をライダーパンチで倒したことでそちらのイメージが強くなりました。ライダー1号の本郷猛を演じていた藤岡弘、氏が撮影中に負傷したことで、急遽登場したのがライダー2号です。

 もしかしたらライダー1号と差別化するため、ライダーパンチを印象付けようという意図もあったのかもしれません。しかし、2号編でライダーパンチが使われたのは、結局たったの3度だけ。

 そのため、ライダーキックに比べてライダーパンチの印象や記憶が薄いという人も多いでしょう。東島丹三郎の戦いぶりは半世紀以上がたった今になって、ライダーパンチのすさまじさを多くの人に認識させるものとなっています。

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◆みんなマネした仮面ライダーV3のアドリブ変身セリフ

 『東島ライダー』の島村一葉の変身セリフは、「ブイスリー」ではなく「ブイスリャー」です。これは『仮面ライダーV3』で風見志郎を演じた宮内洋氏がアドリブで「ブイスリャー」と叫ぶようになったことを忠実に再現しており、「V3の変身はこの叫び方が大事」「これマネしてた」と当時のファンにエモさをもたらしています。

 一葉は「自分の魂がV3だから」という理由で、お面もつけなければコスプレもせずに生身で戦うとんでもない男です。彼はV3が最強と信じており反転キックやきりもみキック、発勁を利用した電熱チョップなど技の再現度も高くなっています。

 V3はライダー1号と2号から改造を施されて生まれた第3の戦士です。1号から「技」、2号から「力」を継承しているという設定なので、V3が最強という一葉の解釈はあながち間違ってはいないでしょう。

 また、『仮面ライダーV3』では使っている火薬量も多く、華やかなアクションと硬派な物語で人気を集めてシリーズ最高視聴率38%を獲得したことがあります。この記録はいまだに抜かれていないそうで、そういう意味でも最強と呼べるでしょう。

 なおアドリブで始まった「ブイスリャー」の名乗りは、インパクトが大きかったため番組が終わった後の客演でも受け継がれていきました。平成ライダーである仮面ライダー電王の「俺、参上!」をはじめ現在でも印象深いセリフは生まれていますが、今のライダーは昔のように変身するときに叫ばない傾向があります。

 そのため、「ブイスリャー」を超える個性的な変身セリフが、今後生まれることはないのかもしれません。

◆ライダーマンの右腕の秘密

 ライダーマンの正体は悪の組織「デストロン」に仕えていたIQ200の天才科学者だった結城丈二で、デストロンの大幹部・ヨロイ元帥に酸の液に浸けられて右手を溶かされました。『東島ライダー』では島村三葉がライダーマンに変身したときにこの設定が語られており、「こんな過去があったなんて知らなかった」と時を越えて衝撃を受けた人も……。

 ライダーマンが改造しているのは失った右手部分のみで、そのほかは普通の人間と変わりません。そのため、ライダーマンの強さは戦闘員以上怪人未満といったところです。

 また、最初はデストロンに協力してV3の足を引っ張る存在でした。そのため、ライダーマンの熱狂的なファンという子供も少なかったでしょう。

 『東島ライダー』に登場するファミレス店長・三葉も、ライダーマンではなくV3になりたくて仕方なかった男です。しかし、兄の一葉が大人げないほどに頑として譲らず、V3を賭けた戦いで負けてしまいます。

 そして、一葉にライダーマンをやれといわれて三葉は腕を折られます。一応利き腕はかわいそうだからという理由で、左腕を骨折させられるという兄の謎の優しさはありました。

 しかし、V3を過剰に好きな兄によって被ったとんでもない悲劇によってライダーマンになった経緯は、元祖ライダーマンに負けないくらい悲しい過去といえるでしょう。ただ、現在の三葉は「すべての仮面ライダーの中でライダーマンが一番熱い」というほど大ファンになっており、ライダーマンのマスクとカセットアームを装着して戦っています。

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◆電波人間タックルって誰だっけ?

 『東島ライダー』では、高校教師の岡田ユリコが電波人間タックルに変身(実際はコスプレ)して戦います。電波人間タックルは仮面ライダーシリーズ初の変身ヒロインですが、第5作目となる『仮面ライダーストロンガー』での登場のため「これ誰?」と驚いた人も多い模様です。

 現在では電波人間と聞くと頭がイタイ人というイメージを持つ人が多いかもしれませんが、タックルは電波エネルギーを動力にしていることから電波人間と名乗っています。タックルは仮面ライダーシリーズ初の変身ヒロインですが正式な仮面ライダーではなく、作中では自爆技を使って敵を道連れにして命を落としました。

 ユリコは『仮面ライダーストロンガー』好きの父の影響で、ストロンガーのパートナーである電波人間タックルになってライダーごっこをする幼少期を過ごします。そして、彼女はタックルが命を落とした第30話「さようならタックル!最後の活躍!!」を観たときには、1週間も寝込んでしまうほどでした。

 ユリコのタックル愛は強く、電波人間タックルの衣装に着替えるために大勢の人の前で下着になっても気にしないほどです。しかも、名乗りのシーンでは「電波人間タック」と、「ル」を発音しないオリジナルのクセを忠実にマネています。

 『仮面ライダーV3』に続く『仮面ライダーX』、その後の『仮面ライダーアマゾン』までしか観なかったという人には、電波人間タックルの存在を知らない場合も多い模様。また作中で明確に死が描かれており、ほかのライダーのように続編作品に登場することもないため、知名度も高くなくミステリアスなヒロインといえるかもしれません。

 

 ──2026年には『ハイスクール!奇面組』のアニメ作品が放送される予定となっており、『らんま1/2』をはじめ再アニメ化される作品が増えています。2022年には仮面ライダーをモチーフとしたアニメ『風都探偵』が放送されており、今後も昭和生まれのエモさを刺激する作品が出てくることを期待したいところです。

〈文/諫山就〉

《諫山就》

アニメ・漫画・医療・金融に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。かつてはゲームプランナーとして『影牢II -Dark illusion-』などの開発に携わり、エンパワーヘルスケア株式会社にて医療コラムの執筆・構成・ディレクション業務に従事。サッカー・映画・グルメ・お笑いなども得意ジャンルで、現在YouTubeでコントシナリオも執筆中。X(旧Twitter)⇒@z0hJH0VTJP82488

 

※サムネイル画像:『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』第5話 場面写真 (C)柴田ヨクサル/ヒーローズ・Tojima Rider Project (C)石森プロ・東映

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