今や海外でも大活躍する日本の漫画やアニメーションですが、ついには日本を飛び出して行ったっきり、帰ってくるのかどうかも分からない作品も出てきました。それがアニメーションシリーズ『うずまき(英題:Uzumaki)』です。

 海外向けにこそ情報が定期的に発表されているのですが、日本では存在の報道こそされていながらも一向に公開の発表がありません。いったいどんな作品なのでしょうか?

◆アニメシリーズ『うずまき』ってなんだ? 海外では今月配信

 アニメ『Uzumaki』は9月28日にアニメーションチャンネル・カートゥーン・ネットワークの大人向け作品の放送時間帯に放送を予定しており、その翌日から映像配信サービスMaxにて配信を予定している4話構成のシリーズ作品です。

『Uzumaki』の原作はもちろん、90年代末に伊藤潤二先生によって手がけられたホラー漫画『うずまき』です。主人公の女子高生・五島桐絵が暮らす黒渦町が突如、万物が渦を巻くように変化していき、人間までもがうずまきに飲まれていき、桐絵は町からの脱出を試みるという内容です。

『うずまき』は2000年には実写映画化も果たしており、『富江』シリーズなどに並んで人気の高い作品です。伊藤潤二先生の作品といえば直近でもNetflixのアニメーションシリーズ『伊藤潤二「マニアック」』などが制作されていたりと映像化の機会は多いのですが、今回制作されるアニメーションシリーズ中でも、原作漫画への意識が強く感じられるものになっています。

『Uzumaki』ではなんと漫画をそのまま動かしているかのように全編白黒で制作するという原作への意識が強く感じられるものとなっています。

 今回アニメーションの制作を務めるのは、日本のアニメーション制作会社・ドライブ。そしてプロダクションI.G社の米国事業を率先して取り組むプロダクション I.G USAと、アダルトスイム枠の制作を担うアメリカのウィリアムズ・ストリート社が名を連ねます。

 監督には『蟲師』や『惡の華』などのアニメーションシリーズで知られる長濱博史さんが務め、日米合作といった感じの気合の入った企画となっています。

◆日本での公開方法も時期も未定!? 期待できるのは配信?

『Uzumaki』はぜひとも観てみたい作品なのですが、実は9月下旬現在のところ日本での公開方法などは未発表。そもそも公開されるのかどうかも明らかになっていません。

 実はキャラクターのボイスキャストは日本語版の方が先行して発表されているなど、日本語での制作も行われているのですが、最近では『リック・アンド・モーティ:ジ・アニメ』など日本風のアニメであることが一つのスタイルにもなってきているので、そもそも日本向けの展開を意識して日本語版が用意されているのかも分からない状態です。

 果たして『Uzumaki』は日本でも観られるのでしょうか?

 一つ、可能性として期待したいのが、日本で展開している映像配信サービス・U-NEXTでの配信です。9月25日から日本での展開を行なっていなかった前述のMaxがU-NEXT内で初上陸を果たすと発表されました。

 これまでもMaxオリジナル作品であるドラマ『ピースメイカー』などを始め、U-NEXTが一部独占配信などを行っていました。しかし今回はさらにそのラインナップを拡充していったり、高画質化させる試みとなり本格的に日本でもMaxを楽しめるというポイントを強く押し出しています。

 そんな拡充ブランドのラインナップの中には、『Uzumaki』の発表元であるカートゥーン・ネットワークも名を連ねています。こちらでも『Uzumaki』を日本向けに配信することは発表されていないのですが、Maxの大々的な導入と『Uzumaki』の海外配信開始時期が重なるタイミングということである意味、宣伝としては絶好の機会。ぜひとも日本配信をお願いしたいところです。

 今回の『Uzumaki』の現状を思うに、今や日本のアニメーションが日本だけのものじゃなくなってきていることは衝撃的です。

 日本の原作作品、日本のアニメーションスタイル、音声も日本語。そんな大半が日本ナイズされている作品でも、海外展開がメインとなる例が出てきていることは注視していきたいポイントです。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレターを配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『Adult Swim』より


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