『幽☆遊☆白書』には、連載が終了してもなお、明かされていない謎などがあります。たとえば、暗黒武術会で飛影に敗北した武威ですが、その後、どうなったのでしょうか?
◆『幽☆遊☆白書』に残った謎
数多くの謎を残したまま連載が終了した『幽☆遊☆白書』。その後、ファンブック等の出版により回収された伏線もありますが、未解決の問題がまだまだ残されています。
●戸愚呂チーム「武威」その後の行方は……
暗黒武術会で飛影に完敗し、命さえ捨てようとした武威は、その後の行方はおろか生死さえ明らかになっていません。
魔界編では、蔵馬の招集により酎、凍矢といった有志ある暗黒武術会の敗者たちが再登場しましたが、その中に武威の姿はありませんでした。
武威は、戸愚呂チーム4人の中でも戸愚呂弟に並んで求道者的な信念を持っていた妖怪です。飛影との闘いでも邪王炎殺黒龍波を跳ね返したり、人間界の妖怪では珍しい「武装闘気(バトルオーラ)」を纏ったりと、大きな可能性を感じさせました。
また、飛影との激闘はコミックス17巻に掲載された「発表!!連載3周年突破記念! 『幽☆遊☆白書』 究極の名場面コンテスト」で、見事2位に輝いています。また武威の闘う姿を見たかったという読者も多かっただけに、その後の行方は気になるところです。
アニメ放送版では、武威は敗退後に幽助と戸愚呂の決着を見届けていることから、幽助という新たな強者が現れたことも認識していたはずです。戸愚呂に挑むことだけを糧に生きてきた武威だからこそ、「幽助に勝つ」という新たな目標ができたことで、命を捨てることを踏みとどまった可能性が高いでしょう。
その後、魔界トンネルの結界が解かれ、人間界と魔界を自由に行き来できるようになったことで、対戦相手にも事欠かなくなりました。武威はどこかで「強くなる」ために日々闘いに明け暮れているはずです……。
●なぜ突然に死々若丸は「小さく」なったのか?
暗黒武術会編で、裏御伽チームのメンバーとして登場したイケメン妖怪・死々若丸。魔界編で黄泉の陣営に加わった蔵馬の招集によって、酎らとともに再度登場することになりました。
ところが、コミックス18巻「それぞれの一年 蔵馬 後編」にて、再登場した死々若丸は、美しい魔闘家鈴木の肩に乗るほど体が小さくなり、頭には2本の角が生え、まるでマスコットキャラクターのような容姿になっていました。
その後は2つの姿が描き分けられていましたが、肝心な「なぜ小さくなったのか?」についての説明はありません。
「小さくなった」理由は、いくつか推測できます。1つ目は「妖力の消耗を抑えるため」です。
暗黒武術会での幻海との対戦時、死々若丸は魔哭鳴斬剣を使うと「かなりの妖力を消耗させられる」と明かしています。また、コエンマも同じく2つの姿を使い分けていましたが、これは魔封環に霊力を溜めるために普段の消費霊力をセーブする目的がありました。これらの事実を踏まえると、強くなる過程で2つの姿を使い分けるのが効率的だと気づいたためかもしれません。
2つ目は「おとぎ話要素の追加」です。裏御伽チームはそれぞれ金太郎、桃太郎といったおとぎ話に登場するキャラクターがモチーフですが、死々若丸のモデルとされる「牛若丸」は、歴史上の人物・源義経であり、少々路線が異なります。
おとぎ話に登場する小さいキャラクターといえば、「一寸法師」が連想されますが、スマホゲーム『幽遊白書100%本気(マジ)バトル』では、小鬼化した死々若丸が「一寸の奥義」という技を使います。このことから、死々若丸は一寸法師の要素が含まれている可能性が高いといえるかもしれません。
詳しく読む⇒『幽☆遊☆白書』に残った4つの謎 「戸愚呂チームの武威のその後は?」「死々若丸はなぜ小さくなった?」ほか【考察】
◆『幽☆遊☆白書』 のちに明かされた真実、残った謎
原作の連載終了から30年以上が経過した『幽☆遊☆白書』には、のちに明かされた知られざるキャラ設定がいくつもあります。
特に、さまざまな都合によりあっという間に終わってしまった「魔界編」には、いまだに謎に包まれているキャラや、原作以外で明かされた設定もありました。
●ぼたんの友人「たった1コマキャラクター」とは?
ぼたんには、原作の1コマのみに登場する幻の友人キャラが存在します。
その名もレナ。コミックス第4巻で、コエンマの依頼で幽助、桑原が「幻海師範門下生大選考会」に潜入捜査したときのこと。四次審査での武道家・牙野と幽助のバトルシーンの中、一瞬だけ姿を現した彼女は、当時の少女漫画のキャラクターのような可愛らしい容姿で、「死」と書かれたカチューシャを身に着けていました。
ぼたんと同じ霊界案内人で、「好みのタイプの男の子に死の宣告をするのが一番幸せ」というキャラ紹介文が添えられており、セリフは「あなた来月死にますよー♡」という一言のみ。その後、原作に登場することはありませんでした。
一方、アニメでは67話でレナはモブキャラとして登場します。死者を霊界に案内することを「仕事とはいえ無情を感じる」とぼやくぼたんとあやめに、今月20人も案内したことを嬉しそうに語っています。
レナは、『幽☆遊☆白書』を原作としたアプリゲーム『幽☆遊☆白書 100%本気(マジ)バトル』にも登場するなど、知る人ぞ知るキャラです。
●雷禅の旧友・棗と九浄の関係
雷禅の旧友たちの中でも、特に描写が多かった「棗」と「九浄」の関係性は、原作では不明のままでした。容姿が似ていることから、「同じ種族では?」との憶測も飛び交いました。
魔界編の終了後の「平和の群像」に棗、九浄は登場し、原作ではここで初めて2人のやりとりが描かれています。
魔界統一トーナメントの1回戦で対戦相手だった酎を圧倒し、その後酎に口説かれた棗。棗との修行の中で、めきめきと実力を上げる酎について棗が嬉しそうに語ると、九浄は「おいおい そしたらあいつと本気でつき合う気か?」と慌てた素振りで確認します。このやりとりから、「2人は恋人同士なのでは?」と思った読者も多かったでしょう。
『幽遊白書 パーフェクトファイル No.2』で、棗と九浄は、双子の兄弟(兄、妹)であることが明かされました。酎との交際の可能性について、九浄が棗に慌てて確認をしていたのは、最強の妹・棗が、酎のような弱小妖怪と交際するのが兄としてイヤだったからなのかもしれません。
詳しく読む⇒ぼたんの友人「たった1コマキャラ」とは? 『幽☆遊☆白書』 のちに明かされた4つの真実、残った謎
〈文/アニギャラ☆REW編集部〉
※サムネイル画像:Amazonより 『「幽☆遊☆白書」第9巻(出版社:集英社)』