◆かつては水死体が流れ着いたことも──東京都北区「旧岩淵水門(赤水門)」
旧岩淵水門は赤水門と呼ばれる水門で、東京都北区志茂にある荒川と隅田川を仕切る水門です。
この水門は氾濫を繰り返す荒川から近隣住民を守るために作られましたが、いまでは、青水門と呼ばれる新水門が使われており、旧水門は歩行者自転車専用橋として開放されています。
旧岩淵水門は、真偽のほどは定かではありませんが、かつては川に身を投げて亡くなった人の水死体が流れ着いていたそうです。そのためか、「夜になるとバラバラの手足が水面に浮かぶ」「川へ身を投げる女性の霊が現れる」などの心霊現象が噂されています。
『ダークギャザリング』の旧岩淵水門は、「旧I水門」という名前で紹介され、螢多朗たちが3番目に訪れた危険度Sランクの心霊スポットです。
旧I水門では昭和期の後半から心霊スポットだと噂が流れたと説明されており、「水面にバラバラの人の手足が浮かんで見える」「水門の上に立つ女性の霊が目撃される」など、曰くが語られています。また、旧I水門では継母に虐待された末にこの水門で殺害された少年の悪霊「月蝕尽絶黒阿修羅(げっしょくじんぜつくろあしゅら)」が登場し、螢多朗たちと対峙しました。
現実での旧岩淵水門の逸話も、ほぼ作中の曰くと同じですが、月蝕尽絶黒阿修羅のような少年の霊の目撃談はありません。この霊はすべての人が継母に見えるため会った人や霊を水門に吊るし殺害していますが、もしかしたら川へ身を投げる女性の霊を継母と考え、この霊を考えついたのかもしれません。
──このように『ダークギャザリング』では実在する心霊スポットをモデルにしており、そこにまつわる曰くを登場する悪霊の参考にしているようです。元ネタを知ればなぜその悪霊が誕生したのか、知るきっかけとなるかもしれません。
〈文/林星来 @seira_hayashi〉