2月25日(金)、劇場版『DEEMO サクラノオト -あなたの奏でた⾳が、今も響く-』が、新宿バルト9 ほか全国にて公開を迎えた。

 その初日舞台挨拶が同日、新宿バルト9にて開催。アリス役の竹達彩奈さん、仮面の少女役の丹⽣明⾥さん(⽇向坂46)、ロザリア役の佐倉綾⾳さん、ミライ役の濱田岳さん、くるみ割り人形役のイッセー尾形さん藤咲淳一総監督が登壇した。

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 竹達さんは公開初日を迎えたことについて

「公開まで結構長い時間がかかったので、本当に今日という日を迎えられてすごく嬉しいです」

 とコメント。

 劇場版「DEEMO」は制作から公開まで約2年くらいかかったという。

「やっと公開ということで、すごく嬉しい気持ちでいっぱいです」

 と竹達さんはにっこり。また、司会のゲームと劇場版との違いや、実際に映画を観てみた感想という質問に対して彼女は

「私はゲームのときからアリスを演じさせていただいているんですけど、ゲームの中ではほとんど私しか話さない世界なので孤独というのが結構強かったです。アニメになって、ミライだったりくるみ割り人形さんだったりとか、仲間ができていっぱい喋ってくれるので、アリスもすごく歳相応な女の子のかわいらしさや、あんな大泣きするシーンとかかなりびっくりしたぐらいなので、アリスの表情が変わる姿っていうのを見ることができてすごく嬉しかったです」

 と答えていた。

 このたびの劇場版アニメでは、ゲームをプレイしたことのある人にとっては、竹達さんが話すように新鮮に映るかもしれない。また、彼女は作品のエンドルールの一番上に名前が載っていることに対してこのようにコメント。

「劇場版としては(自分の名前が一番上にくるのは)多分初めてなので、スクリーンで観させていただいたときは、うるっと感慨深いものを感じてしまいました」

 一方、丹生さんは、

「台本を読んで、まず自分の役やセリフを見てかわいい感じの子なのかなって最初思ってたんですけど、アフレコをしていくうちに、どんどん感情移入してしまい、すごい好きになりました」

 作品についての感想を語る。さらに彼女はこのように続ける。

「アフレコしているときはとても緊張していたんですけど、まさか完成して、ここまで映像もすごく滑らかで綺麗だし、音楽も本当に素晴らしくて心にしみる作品で、自分の想像以上の作品が出来上がっていて、こんなにも素晴らしい作品に私も携わることができて幸せだなって思いました」

 そして次に佐倉さん。佐倉さんが台本をもらったとき、キャストは竹達さん、サニアを演じた鬼頭明里さん、バレンスキーを演じた山寺宏一さんなど数名しかキャストが決まっていなかったという。

「映像見てもこの世界、あとはどういう方が参戦するのだろうと不思議に思いながら収録をしていました。結果的に蓋を開けてみたら、新進気鋭の丹生さんがいて、しかもやる気に満ち溢れているイッセーさん、個人的に小さいころからよく名前と姿と声を聞いてた濱田さんがいらっしゃって、さらに直美さん(匂い袋役の渡辺直美さん)の声や松下さん(ハンス役の松下洸平さん)の声も入って、なんか不思議な世界になっていました」

 佐倉さんは映画の完成までの道を振り返る。さらに、

「終わった後に、もうちょっとここにいたかったな、みたいに思える空気が出来上がったのが、すごく新鮮で、私自身も、結構簡単に泣いちゃうんですけど、案の定、泣かされましたし、すごくこの世界に参加できたことがありがたくて幸せなことだなぁ、と実感しました」

 と語り、監督を含めて最強の布陣だと述べた。

 濱田さんは、自身がぬいぐるみのミライ役を演じたことについて

「ストーリーは、幼い子どもががむしゃらに頑張るストーリーというのがおじさんになったせいでぐっときましたし、あと、ストーリーがすごく楽しかったんですけど、ぬいぐるみの悲しみと思いました。考えたことがなかったです。ぬいぐるみならではの苦労なんて考えたことがなかったです」

 と話し、

「そんなに声をあてるお仕事って経験がないんですけど、やっぱりラフな状態にあてたりするので、今、ジェットコースターみたいなのに乗ってますっていうジェットコースターではないみたいな『叫び、分かりました』といったような、とても素敵な経験をさせていただきました。勉強になりました」

 しみじみと語った。

 アフレコは一人だったと話すイッセーさんは、

「くるみ割り人形はなんかよく分からない人形なんです。歯がカチカチ動いてる、歯だけみたいな。台本見たら『なんとかでごじゃる』って語尾つくんですよ。『ごじゃる』って普段使わない言葉ですが、役のために慣れなきゃいけないんで運転しながら『ごじゃる、ごじゃる』言っていました。『赤信号でごじゃる』と言う感じで現場に乗り込みました」

 と、くるみ割り人形を演じるうえで苦労した点について話す。さらに彼は映画本編について

「女の子の話なんですが、後期高齢者としても感情移入しようと思えばできる。『まだまだ自分は終わってないぞ』とか『まだ捨てたもんじゃない』『まだ残ってるぞ』といったように。まだ自分が扉を開いてないものがこの中にあるんだとかね。そんな力強い勇気をもらいました」

 と語っていた。

 作中にて、ミライはアリスにとってかけがえのないものだったが、登壇者たちにとってのかけがえのないものはなんなのだろうか? そんな司会者の質問に対して竹達さんは生活において大切な人や、大切なものがたくさんあると話した。その中でも一番大切なものは家族であり、原動力になると彼女は答えた。その理由として竹達さんはこのように述べる。

「家の母だったりとかが、私が慣れない仕事をしたときとかに常に背中を押してくれる存在だったんですね。なので、母がいてくれなかったら私は苦手なことから逃げて、今の自分はいなくて、今ここに立ってすらいないのかもしれないと思います。そう思うと、すごくかけがいのない存在ですし、すごい感謝してもしきれないという、常に頭が上がらないなぁと思っています」

 竹達さんの母は、彼女の活躍をイチ早くキャッチして、彼女が取材を受けた記事がTwitterなどに上がった際、素早く教えてくれるという。

「これをリツイートしろよ、というのを本当にマネージャー並の速さで送ってくれるのですごく宣伝しやすいです」

 と竹達さんは母へ感謝の気持ちを述べていた。

 一方、丹生さんは竹達さんと同じく、かけがえのないもは家族であったりと、たくさんあるという。その中でも普段の日向坂46のファンの方々が大切だと話す。

「日向坂46を応援してくださる皆さんのことを『おひさま』と呼ばせていただいてるんですけど、やっぱりおひさまの皆さんがいらっしゃらなかったら、ライブ会場で私たちもいっぱいライブすることもできないし、いろんなアイドルとしての活動が、やっぱり運営してくださる皆さんがいらっしゃるからこそ、今できていると思うので、私にとってはファンの皆さんがかけがえのない存在です」

 日向坂46のファンの方ならこの言葉はとてつもなく喜ばしいはずだ。彼女のこの感謝の気持ちを聞いた竹達さんは100点満点と笑顔で答えていた。

 佐倉さんがかけがえのないものとして「炭水化物……」とぼそっと呟くと、会場には拍手が巻き起こった。少し間を置き、彼女が「いや、家族です……」と言うと、登壇者たちは「遅い! 遅い!」と笑いながらツッコんだ。

「家族とファンの方々がレジェンド級に大事なものとして当たり前だとしたら、かけがいのないものは炭水化物ですね。本当に肉とか興味なくて」

 そこで竹達さんは、佐倉さんと食事に行ったとき、肉よりも炭水化物を重視して食べていたと、笑顔で話した。

 佐倉さんは、

「焼肉屋さんとかに連れてきてもらっても全然いいの。ご飯食べないけど。お肉はご飯を食べるためのハケなんですよ。お肉も美味しくいただくんですけど、どっちかっていうとお肉についてる味でご飯を食べたい。主役はあくまでもご飯ってことで。おかずとしてしかお肉をみていないので、パン、麺、ご飯がないと動けないのです(笑)」

 と大好きな炭水化物への愛を語った。

 かけがえのないものとして、お酒をあげる濱田さんはこのようにコメント。

「家に帰って、プッシュとやるあの音が1日の手業というか、美味しそうにご飯を召し上がってる方を見ながらお酒をいただくだけでもお腹いっぱいになります。かけがえのないものというと言い過ぎかなぁ。好きです」

 イッセーさんは「普段言わないからここだけの話だよ」と意味深に言う。そして、かけがえのないものとして孫と答えた。彼はこう続ける。

「孫には未来があります、この映画のように」

 そして、司会者の「お孫さんはこの映画を見るのでしょうか?」という質問に対して、「絶対に見ると思います!」と自信を持って答え、さらに「じいじを見に来い」と舞台上から孫へ語りかけていた。

 藤咲総監督は、かけがえのないものとして「このフィルムを作る仲間とうどんですね」と話す。

 司会者の炭水化物と共通するというコメントに対し、佐倉さんは「一緒にうどんを食べに行きましょう」と笑いながら言う。その言葉に対して藤咲総監督は「(うどん)を打ちます、そしたら」と話すと、舞台から「凄い!」といった感想が飛び交った。

 舞台挨拶も終盤へと差し掛かり、ここで、222日に70歳の古希を迎えたイッセーさんと、215日に21歳の誕生日だった丹生さんへのバースデーサプライズが贈られ、会場には盛大な拍手が巻き起こる。

 そして、竹達さんから丹生さんへ、藤咲総監督からイッセーさんへ花束がプレゼントされた。

 さらに、Deemoの顔をかたどったケーキが舞台に登場。イッセーさんと丹生さんは満面の笑みを浮かべ喜びを顕にしていた。

 おめでとうコールが会場に巻き起こったのち、舞台挨拶は竹達さんの

「短い時間でしたけれども、皆さんと直接お会いできて、劇場版「DEEMO」についてお話できる時間、本当貴重な時間をいただいてとても幸せな気持ちです。ぜひ『DEEMO』を楽しんでいただけていたら幸いです。

 実は『コミックZERO-SUM』さんで、『DEEMO』の前日譚を描いた漫画が連載されています。なのでぜひ、今回この映画を気に入っていただけていたら、その前日譚を読んでいただけるとさらに『DEEMO』を楽しめると思うので、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。私も毎月楽しみにしながら読ませていただいているんですけれども、良かったらぜひ、読んでみてください。今日は本当にありがとうございました」

 という挨拶と、藤咲総監督の

「ゲームアプリの『DEEMO』から楽しんでいらっしゃる方もいると思うんですけども、初見の方でも楽しめるように、『DEEMO』の音楽を良い感じで聴かせたいという気持ちで作った映画ですので、ここに登壇されているキャストさんも含めて、とても良い映画になったと思います。

 ですから皆さんもこれから『DEEMO』を愛してくれるように、ぜひこの世界をもう1回くらい味わってくれてもいいかなと思っています。本当に今日はありがとうございました」

 というメッセージで締めくくられた。

〈取材・文・撮影 /水野ウバ高輝〉

◆イベント情報

■開催日:225(金)

■会場:新宿バルト9

■舞台挨拶登壇者

竹達彩奈(アリス役)、 丹生明里(仮面の少女役)、 佐倉綾音ロザリア役)、濱田岳(ミライ役) 、イッセー尾形 (くるみ割り人形役)、 藤咲淳一総監督

◆作品情報

『劇場版DEEMO サクラノオト -あなたの奏でた⾳が、今も響く-』

2022年2⽉25⽇(⾦)より全国公開

出演:

竹達彩奈 丹生明里(日向坂46) / 鬼頭明里 佐倉綾音
濱田岳 渡辺直美 イッセー尾形 松下洸平 / 山寺宏一

原作:Rayark Inc.「DEEMO」

総監督:藤咲淳一

監督:松下周平

脚本:藤咲淳一・藤沢文翁

キャラクターデザイン:めばち

主題歌制作:梶浦由記

主題歌:高島一菜「nocturne」(PONY CANYON)

制作:SIGNAL.MD Production I.G

製作・配給:ポニーキャニオン

▼公式サイト

https://deemomovie.jp/

▼公式twitter(@DeemoMovie)

https://twitter.com/DeemoMovie

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▼この記事を書いたライター

《水野ウバ高輝》

Web/雑誌編集者・ライター。メンズファッション雑誌『411(フォー・ダブワン)』編集部(外部編集者)を経て、『週刊SPA!』のWeb版『日刊SPA!』など複数のメディアにライターとして記事を寄稿。中島らも、西原理恵子、大森靖子、戸川純に傾倒し、暗黒の20代を過ごす。『Yahoo!ニュース』に掲載された執筆記事のコメント欄に「水野高輝キモい」と名指しで書かれたことも。共著に『超解読 ジョジョリオン 杜王町の奇妙な考察』(出版社:三才ブックス)がある。水野ウバ名義でギタリストとしても活動中。

(c)2021 Rayark Inc./「DEEMO THE MOVIE」製作委員会

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