2020年2月21日に劇場公開された『デジモンアドベンチャーLAST EVOLUTION 絆』のBlue-ray&DVDが、2020年9月2日に発売しました。
<画像引用元:http://digimon-adventure.net/ より引用掲載 © 本郷あきよし・東映アニメーション>
公開当時は、新シリーズ『デジモンアドベンチャー:』の放送も控えていたりと、直後に新アニメシリーズが始まるせいでシリーズの終わりを感じる気分はあまりしなかったのですが、いざ蓋を開けてみれば見事な集大成作品でしたね。
その『デジモンアドベンチャーLAST EVOLUTION 絆』ですが、実はTVアニメ『デジモンアドベンチャー』と異なる世界線の終わりを描いているのです。
※以下、『デジモンアドベンチャーLAST EVOLUTION絆』、TVアニメ『デジモンアドベンチャー02』の結末について触れますのでご注意ください。
◆『デジモンアドベンチャーLAST EVOLUTION 絆』の最後とは
『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』では、選ばれし子供達の中でも中心となる存在であった太一とヤマト、そしてそのパートナーであるアグモンとガブモンの物語が描かれます。
子供時代には大冒険で長い時間を共にした各々でしたが、大人になるとパートナーデジモンとは離ればなれにならなければいけないという衝撃の事実が発覚します。デジモンが「進化」をすればするほど、その別れの時間がより早く迫るという状況の中、世界を救うために太一とアグモン、そしてヤマトとガブモンは最終形態とも言えるオメガモンへと進化し、エオスモンと戦います。
なんとか勝利し、束の間の時間を過ごす各パートナー。明日の予定の問いかけを瞬間に、アグモン、そしてガブモンは二人の前から消えているのでした。
主題歌「Butter-Fly」の歌詞を連想せる、大人になることの宿命を描いた儚い見事な結末となっていました。
◆TVアニメシリーズの『デジモンアドベンチャー』は全く違う終わり方?
ただTVアニメシリーズを観た人だと思うのではないでしょうか。
あれ? これだとTVアニメの『デジモンアドベンチャー』の最終回と整合性取れてないよね? と。
TVアニメシリーズ『デジモンアドベンチャー』シリーズの結末は厳密には、続編の『デジモンアドベンチャー02』で描かれます。
デジタルワールドと人間世界を救うことに成功した選ばれし子供達。それぞれが大人になり、夢を叶えながらデジモン達と共に生活していることが明かされます。
そんなメンバーの子供たちである、次世代が新たなパートナーデジモンとの出会いを経て、世代を越えて冒険が続いていくことが描かれていたのです。
大人になるとデジモンと離ればなれにならなければいけなくなる、というのは『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』で突如現れた決まりで、TVアニメシリーズではそんなことはなかったのです。
◆初代シリーズディレクターの角銅博之さんの降板もこれが原因?
今思うと、『デジモンアドベンチャー』シリーズの初代シリーズディレクターを務めた角銅博之さんが、『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』の脚本の監修から降板されたのも、TVアニメシリーズの結末を踏まえた内容ではなかったことが原因なのかもしれません。
角銅さんのブログでは、TV版の設定と相容れないと思われるプロットが提出され、プロデューサー陣が支持をしたことをきっかけに降板を表明したことが書かれています。*1
それと共に、角銅さんの想定していたデジモンの設定も描かれており、デジモンがパートナーの魂の片割れであり、もう一人の自分であることなどが描かれています。その内容から“大人になるとデジモンと離ればなれにならなければいけなくなる”設定は確かに角銅さんの構想とはそぐわない内容であることが分かります。
上映前こそこの降板の件があったため『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』には不安を感じていましたが、いざ内容を観てみると、こちらはこちらで感動的で素敵な映画で悪い気はしませんでした。
結局は決してどちらの結末が正しいというわけでもなく、どちらの結末によってそれぞれのドラマがあって学びがあるということなのでしょう。
あなたにとっての『デジモン』は果たして、どちらの結末がしっくりきたでしょうか。そんな比較をしてみるのも面白いかもしれません。
(Edit&Text/ネジムラ89)
*1 錆びた館分館
「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」公式サイト
© 本郷あきよし・東映アニメーション