◆「気円斬」を自在に操れていたらナッパを倒せていた?

 クリリンの戦術のすごいところは、気円斬という自分より強い敵を倒すための一撃必殺の技をきちんと用意していたところです。

  のちのナメック星での戦いでフリーザの尻尾を切断していることから、ベジータの一声がなければ、気円斬はナッパにも確実に通用していたと考えられます。どのようにして格上の相手を倒すか、クリリンが考え抜いて生み出した技だといえるでしょう。

  気円斬は実力差があればあるほど決まりやすい技ともいえます。それまでの戦いでピッコロやクリリンたちの攻撃ではたいしたダメージを受けないと判断していたナッパは、完全に気円斬のことも舐めていて跳ね返そうとしていました。

  そのため、ベジータの「ナッパ、よけろっー!!!」という助言がなければ、ナッパを倒せていたでしょう。

  クリリンがナメック星でフリーザに使った、一度に複数の気円斬を放つ技なら、ナッパも避けきれなかったかもしれません。

 また、ヤムチャの繰気弾を参考にして、フリーザが使った相手を追尾して切断する気円斬を編み出していれば、一度、気円斬を避けたナッパの意表を付いて倒せていたはずです。クリリンは追尾エネルギー波を使えるので、もっと修行する時間があれば技術的には可能だったのではないでしょうか。

 

 ──修行のときから、どうやって自分たちよりも強いサイヤ人を倒すか、Z戦士の中でもっとも頭を使っていたのがクリリンなのかもしれません。そして、それを実現するために、ただ一人、新技を2つも引っさげて挑んだのですから、かなりの策士、努力家だったといえるでしょう。

〈文/諫山就〉

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