◆異世界ファンタジーの冒険をスッと受け入れられるかは個人差がある?
これらのRPGの世界観にピンと来ない人は、『葬送のフリーレン』も『ダンジョン飯』の世界観を違和感なくスッと受け入れにくいこともあるのでしょう。
たとえば、2015年に東京・代官山で行われた当時KADOKAWAの代表取締役社長だった川上量生さんと、TVアニメ『山賊の娘ローニャ』を制作したばかりの宮崎吾朗の二人によるトークイベントでは、川上さんが宮崎さんに『ダンジョン飯』の映像化を提案したことが語られています。
当初は一時的にアニメーション化の方法を探っていたようですが、RPGに馴染みがなかった宮崎さんはダンジョンを探索し、モンスターと戦っていくシチュエーションに理解できないという根本的な部分での課題もあり、実現に至らなかったことが語られています。
これらの異世界ファンタジー作品を違和感なく楽しむにもある種の「教養」が必要なのかもしれません。
ダンジョンとはなんなのか。モンスターとはなんなのか。魔法とはなんなのか。それらへの理解が深くなくとも、ゲームや小説でこれらの世界観に触れたことがある人は“なんとなく”でも『ダンジョンズ&ドラゴンズ』が築いたベースを教養として持っているのでしょう。
もし、まだ『葬送のフリーレン』や『ダンジョン飯』にピンと来ないという人も、一度これらのRPGに挑戦してみると「王道はここにあったのか」と意外と腑に落ちるのかもしれません。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
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