“アニメーション映画”というだけで、とりあえず内容を知らなくても、劇場に足を運ぶ習慣があるのですが、そうしていると全く自分の知らないジャンルの映画に出くわすことが多々あります。

 BL作品がまさにそんな代表例。

 BLといえばボーイズラブの略。男性同士の同性愛をテーマにした作品群がそう呼ばれています。自身はこのジャンルにあまり馴染みがなく、ヘテロセクシャル(異性愛者)なため、特に好きなジャンルでもなければ、むしろ共感しにくさを感じていたジャンルでした。

 しかし、そんな私にもついに「面白い!」と思えるBL映画が登場したのですよ。

 その名も『海辺のエトランゼ』です。

海辺のエトランゼ キービジュアル 画像

<画像引用元:https://etranger-anime.com/ より引用掲載 ©紀伊カンナ / 祥伝社・海辺のエトランゼ製作委員会>

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◆BL映画『海辺のエトランゼ』とはどんな作品?

 『海辺のエトランゼ』とは、2020年9月11日より劇場公開がスタートしたアニメーション映画。紀伊カンナさんによるBL漫画を原作に、紀伊カンナさん本人による監修、そしてキャラクターデザインで映像化を果たしました。

 沖縄の離島を舞台に、同性愛者であることからトラウマを抱えている小説家の駿(CV:村田太志)と、そんな駿に出会い、次第に好意を抱くようになった実央(CV:松岡禎丞)の二人がより親しくなっていく物語が描かれます。

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◆『海辺のエトランゼ』が他のBL作品と違う点とは?

海辺のエトランゼ BL 画像

<画像引用元:https://etranger-anime.com/ より引用掲載 ©紀伊カンナ / 祥伝社・海辺のエトランゼ製作委員会>

 『海辺のエトランゼ』はBLUE LYNX(ブルー・リンクス)というBLに特化したアニメーションレーベルの作品の一つです。これまでにも『囀る鳥は羽ばたかない』『ギヴン-夜が明ける-』といった作品を送り出してきたレーベルなのですが、『海辺のエトランゼ』はそれらの作品とはちょっと違った特徴を持った作品となっています。

 BL作品の中には、同性愛者であることによる社会との隔たりや、マイノリティ意識などを描かず、そういった世間との煩わしさなどを作中では描かないで展開する作品も多いです。ブルー・リンクスの前2作品もそういった傾向の作品だったのですが、BL作品に馴染みのない私にはどこか違和感を感じる世界観に映ってしまいました。

 もちろん“そういうもの”なのだろうから、作品の欠点ではないのでしょうけど、「私に向けられた作品ではない」という意識が強く感じられてしまったのです。

 しかし、『海辺のエトランゼ』はそれらの作品とは違った印象を残してくれました。

 駿は、自身が同性愛者であることから疎外感を感じていたり、世間体から素直に好意を相手に伝えられずにいます。そして実央は同性愛者である自覚ではないものの、駿への好意から、同性愛に踏み込むべきかどうか3年も悩みます。

 そういった彼らの悩みは、現実世界の同性愛に対する扱いがベースにあり、BLに馴染みのない私も共感しやすい課題として受け取ることができました。

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◆同性愛者に異性愛者をぶつける驚きの展開

海辺のエトランゼ BL 画像02<画像引用元:https://etranger-anime.com/ より引用掲載 ©紀伊カンナ / 祥伝社・海辺のエトランゼ製作委員会>

 また面白いのが、駿と実央だけでなく桜子(CV:嶋村侑)というストレートな異性愛者が登場する点

 桜子は駿の幼馴染であり、かつては婚約までしていた関係だったのですが、駿が同性愛者であることを打ち明け破談。それでも、どこか駿のことを諦めきれていないのか、駿に口づけを求める展開があったりと、駿と実央との三角関係を展開します。

 BL作品には異性愛者の影を全然見せないような作品もある中で、『海辺のエトランゼ』のようにここまで同性愛者と異性愛者を直接ぶつけるのは異端。それでも、自身が異性愛者で、かつあまりBL作品に触れてこなかった身としては、桜子という存在は、世界観や心情を飲み込みやすくしてくれた、重要な登場人物でした。

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◆割高? いやその価値は十分にある!

 『海辺のエトランゼ』は特別料金ということで、割引の効かない一律1800円での上映を展開しています。上映時間も60分程度なので、割高に感じてしまう人もいるかもしれませんが、今回紹介したように体験としての質は上質です。

 それはBL作品としてだけでなく、美術としてもオススメです。美術監督を務めた空閑由美子さんによる背景美術は、映画館の大画面で観る価値大のリッチな仕上がりとなっています。

⇒オリジナルサイトで全ての写真を見る

 ここまで色彩豊かなアニメーション映画も、なかなかないというぐらい緻密に描かれているので、その美術を目的に映画館に足を運ぶのも全然アリ。ストーリーだけじゃない手堅い映画となっています。

 

 ――BL映画は苦手なジャンル! と思っていた私についに声を大にして「好き!」と言える作品を用意してくれた『海辺のエトランゼ』。私のように苦手意識のある人にこそインパクトの大きい作品ですので、BLに馴染みのない人こそ本作で足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?

(Edit&Text/ネジムラ89)

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映画『海辺のエトランゼ』公式サイト

©紀伊カンナ / 祥伝社・海辺のエトランゼ製作委員会

タイトルおよび画像の著作権はすべて著作者に帰属します
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