2021年、ついにあのシリーズも最後を迎えることとなりました。

 11月26日(金)より『EUREKA 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』が公開され、2017年よりスタートした劇場版三部作のハイエボリューションシリーズが完結を迎えました。

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 本作では、前作にあたる2018年公開の『ANEMONE 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』から10年という年月が経過。大人となったエウレカやアネモネたちの活躍が描かれたものとなっています。

 さて、そんな『EUREKA 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』(以下『EUREKA』)。皆さんはご覧になって、どんな感想を抱いたでしょうか。私はと言えば、公開初日に足を運んで、なんというか面食らったというか、予想だにしなかった展開を見せられて驚かされました。

 そして、驚いたことの一つに前作『ANEMONE 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』が自分が思っていた以上にすごいことが起こっていた映画なのだと今更ながら思い知らされました。続編が公開された今こそ、是非振り返っておくべき映画となったので今一度『ANEMONE』がどんな映画だったかを振り返りましょう。

◆『ANEMONE 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』とは?

 2018年11月10日。今から約3年前に劇場公開を果たした映画が、『ANEMONE 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション(以下、ANEMONE)でした。『交響詩篇エウレカセブン』の新たな劇場三部作シリーズの第2弾として登場した本作は、TVシリーズの内容を再構成したパートも多い第1弾『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』(以下、ハイエボリューション1)とは一転して、完全新作となるまだ誰も観たことがない内容が描かれます。

 主人公は、少女・アネモネ。これまでのアニメシリーズにも、容姿も似ている同名のキャラクターが存在していたのですが、それとは別の次元の存在として、日本で暮らしており、両親とも死別しているという悲しい過去を持っていました。

 本作では、そんなアネモネが過去と向き合い、父の残したドミニクとともに世界を救う感動的なストーリーとなっていました。三部作の間に位置する作品でありながら、アネモネの物語としては、この一本でしっかり起承転結が描かれ、カタルシスのある気持ちの良い映画です。

 一方で、第1弾『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』から急に日本が登場したり、突如としてエウレカがキーキャラクターとして話に絡んできたりと、謎も多く残した映画となっていました。

◆エウレカがアネモネにしたこととアネモネがエウレカにしたこと

 しかし、今回『EUREKA』の公開に合わせて、諸々あらすじや設定が発表されて驚くべきことがわかりました。実は『ANEMONE』のクライマックスで、思っていた以上の大事件が起こっていたのです。

 そもそも『ハイエボリューション1』では、エウレカがレントンを失う事件が描かれます。これをきっかけにエウレカは、なんどもなんども世界をやり直して、レントンと再開しようとするのですが、実現できずにいました。

 その行動が、実は日本に住むアネモネの世界に悪影響を及ぼし、エウレカが世界をやり直そうとすればするほど世界が滅亡に近づいていたのです。

 それをなんとか阻止しようとしたのがアネモネ。レントンを生かすべく世界を作り直し続けていたエウレカを自分の世界にひっぱり出してくることで、エウレカの行動を止めさせ、世界の滅亡を阻止したわけです。

 『ANEMONE』のラストは、レントンと再会するために世界を作り直し続ける行動からエウレカが脱却し、アネモネたちの生きる世界で生きていくという新たな道を見つけたという最後であり、レントンもどこかで生きてるかもしれないという可能性を示す希望を抱く結末だったわけです。

◆『EUREKA』でおさえておきたい前提となる設定

 そこでやってくるのが、今回の『EUREKA』です。

 アネモネがエウレカを連れてきたことで、エウレカによる世界の滅亡は防ぐことができたわけですが、今回公開される『EUREKA』の冒頭で衝撃的な事実が明らかになります。

 なんと、アネモネの世界にエウレカがやってきてしまったことをきっかけに、エウレカが作り直し続けてきた世界の住人も、アネモネの世界に受肉してやってきてしまったことが朗らかになります。人類はアネモネが暮らしていたブルーアースの住人と、エウレカが作り出したグリーンアースの住人とで、同じ星に住むことになってしまったわけです。

 原因となったエウレカは責任を感じつつも、特殊能力を失なっており、グリーンアースの住人を別の世界に返してあげることもできず、人類の大半から憎まれる存在となります。

 そんな中登場するのが今回の映画で初登場とな少女・アイリス。エウレカが失なってしまったものと同じ力を持つことから、ブルーアースの住人からもグリーンアースの住人からも、危険な存在ともみられたり、また事態の解決の糸口としても狙われることとなります。中でもグリーンアース側の住人であるデューイ・ノヴァクからは、その力に期待され執着されることとなります。

 ……以上の設定が作品の冒頭で描かれるわけですが、この背景を理解していないと『EUREKA』は混乱必須とも言える作品。もしこれから観る人や、観てわからなかった人は『ANEMONE』は何をした映画で、それにより何が起こってしまったのか、という背景をおさえると、より物語が観やすくなっていくのではないでしょうか。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

映画『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』

配給:ショウゲート ©️2021 BONES/Project EUREKA MOVIE

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