この世には西洋騎士みたいな格好の女の子が登場する『Fate』なる作品がある。ぐらいの知識しか、恥ずかしながら私は持っていなかったのですが、一昨年の秋に劇場版『Fate / stay night [Heaven's Feel] I.presage flower』(略称、Fate[HF])にて、ついにFateシリーズに初めて触れることとなりました。当時の感想としては正直、よくわかんないなぁという気持ちが実は強かったです。

 『Fate』ってなにがそこまで面白いんだろうなぁ……なんてことを心の奥底で抱えながら、だらだらと過ごして来ました。しかし、2019年1月12日。1年以上越しでの公開となった続編、劇場版『Fate[HF]』第2章を観て、気づきました。

 『Fate』、すっげー面白いですわ。

『Fate[HF]』第2章
画像引用元:劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」 Ⅱ.lost butterfly公式サイト トップページより引用(2019年1月23日閲覧)

 思いっきり手のひらを返す自分に情けなさも感じるのですが、面白いものはしょうがない。今回はそれぐらい気持ちが大きく動いた私の『Fate[HF]』体験を紹介します。

多くの疑問が解き明かされる第2章を観てこそだった!

 今回第2章となる『Fate / stay night [Heaven's Feel] II.lost butterfly』を観てやっと気づいたのですが、『Fate / stay night [Heaven's Feel] I.presage flower』って結構重要な謎を残したまま終えていた作品だった、ということが今さらわかりました。

 敵のはずのライダーがなぜ急に助けに来たのか、とか、水木しげる先生の描く土曜坊主みたいな黒い影の正体は誰なのか、とか、セイバーがなんだか闇に飲まれてしまって終わったけどそれで良いのか、とか……第1章を観たあとのいくつものモヤモヤは“私がFate知識を持ち合わせてないから分からない”のだとてっきり思っていました。ですが、その認識が間違いで、今回の第2章ではしっかりそれぞれの答えが明らかになり、Fate弱者の私もすっきり理解できる展開となっていたのです。私が知識を持ち合わせなさ過ぎてるのではなく、第1章はただ謎を投げっぱなしに終わっていたのです。それでは、モヤモヤして当然。そういう意味でも今回の第2章はそのモヤモヤを抱えさせずに次回につないでくれていたので、鑑賞後の気持ちは前回とは大違いで、圧倒的にすっきり。素直に続きがどうなるのかを楽しみにできる終わり方でした。

 一本の映画としては『Fate[HF]』第1章には思うことも色々あるのですが、今回の『Fate[HF]』第2章を観て、各一本の評価も大事かもしれないですが、これは全3章分観ておかないともったいない作品なのだなと思い知りました。元より120分サイズで作ろうとしてないということが明確に分かった瞬間でした。

時代はここまで来たのか!必見のアクション描写!

 『Fate[HF]』第2章は第1章の腑に落ちなかった部分が落ちたから良かったー、という程度なら、前作の語り口が悪いだろって話で終わるのですが、『Fate』の違うところは腑に落ちたうえで腰を据えて観ると、途端にすごく面白く感じられたところです。面白さとしてなんといっても推しておきたいのが、第2章の画的な見せ場ともいえるセイバーvsバーサーカーのシーン。

 予告編でも少しお披露目されているシーンなのですが、ここで見せているシーンは本編における戦いの10%にも満たないです。実際は、度肝を抜くようなスケールの戦いが、圧倒的な迫力で描かれます。画や音といった要素を出来る限り高いグレードで観ないともったいないので、これはぜひ映画館のような環境で観てこそでした。 

 2018年末に公開された『ドラゴンボール超ブロリー』でも驚かされましたが、アニメならではとも言えるフィクションベースの戦闘の描写は、今ここまで来ているのか……と進化の具合に脅威を感じるほどです。すごい時代に突入しているのだな、と2019年現在の日本のアクションアニメを思い知るという意味でも『Fate[HF]』第2章は非常に有意味でした。

エロスとタナトスが入り乱れる混沌のその先へ!

 そして、さらにビックリしたのが主人公の士郎とヒロインの桜の恋愛描写です。

 桜の秘密が明らかになり、彼女が一人逃げ出してしまったところを、士郎がどう繋ぎとめるのかは、恋愛映画好きとしても注目せざるを得ないグッとくるシーンだったのですが、さらにそれよりも度肝を抜いたのがさらにその先の二人の関係の発展まで描いていること。なんとこの映画、2人が性交するに至るまでのディテールまでしっかり描いているのですよ。

 近年、『おおかみこどもの雨と雪』『風立ちぬ』など割といろんな映画で、間接的に夜の営みを示唆するシーンが描かれるのですが、本作はそれらにも増して結構ビックリするぐらいの直接的な描き方をしているので、驚きました。桜の境遇もあって、なくてはならない描写ではあるのですが本作R18指定などされていないか、気になってしまうぐらいでした(実際はPG12指定)。

 また、そんな生きることへの衝動が大々的に描かれている分、全編に渡って発生する登場キャラクターが次々に凄惨な姿で死んでいく模様がまた映える映える。エロスとタナトスが高次元で入り混じっていき、クライマックスに突入していく具合は、最終章を目前とした展開として最高です。第2章として、見事なラストへのバトンパスでしょう。

 

――1章でこそ、その魅力が分からなかった私も、今回の第2章でFateに対するモチベーションがぐぐぐっと上がってきました。いやぁ、観ておいて良かった。もし私のように1章で「うーん」と思ってしまったFateビギナーの皆様が居るとしたらぜひ、『Fate[HF]』第2章まで観てその先を観るかを決断して欲しいです。第2章を観る前の気持ちとは全然違って、2020年公開の最終章が今から本当に楽しみです。

(Edit&Text/ネジムラ89)


劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」 Ⅱ.lost butterfly

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