劇場版 Fate/stay night[Heaven's Feel]III. spring song』(以下、『Fate [HF]』第3章)が公開され、しばらくが経ちました。もう、何度か観に行った方もいるのではないでしょうか。

劇場版 Fate 第3章 かわいい 画像<画像引用元:https://www.fate-sn.com/1st/news/?article_id=54920 より引用掲載 ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC ©TYPE-MOON>

 映画は何度も観て理解を深めるもの楽しいですよね。しかし、今のご時世「何度も映画館へ足を運ぶのはちょっと」と考える方もいるでしょう。可能ならば「一度で満足できるのがベスト」そう思いませんか。

 そこで、今回は劇場版『Fate [HF]』第3章をまだ観ていない方には予習として、もう観てしまった方には復習として、この物語で注目するとより楽しめるポイントを紹介していきます。

◆正義の味方を目指していた士郎は何処に向かうのか? 士郎のあり方に注目

劇場版 Fate 第3章 かっこいい 画像<画像引用元:https://www.fate-sn.com/1st/news/?article_id=54878 ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC ©TYPE-MOON>

 今回の劇場版『Fate [HF]』(桜ルート)では、初代『Fate』(セイバールート)2作目『Unlimited Blade Works』(凛ルート)と大きく違う点が2つ存在します。それは、士郎の桜への想いと、士郎が最終的に目指す場所です。

 一つ目の変化の士郎が桜を1人の女性と考えるか、家族と考えるかは、物語の大前提なので置いておくとしましょう。大事なのはその結果、士郎の目指す場所が変わるということです。

 今までの士郎は養父である衛宮切嗣より受け継いだ正義の味方になるという夢を追いかけていました。ただ、それは生半可な夢ではありません。士郎の目指している正義の味方とは、この世全ての人間を救える者を指します。

 しかし、実際に全てを救うのは不可能で、同じ夢を追い続けたアーチャーにすら「その夢は破綻している」と言われていました。

 二つのルートでは、そんな誰もが不可能と断じ、また未来の自分すら非難する道でありながら、士郎の決意は固く、どれほどの苦難が待ち構えていようとも、目指すことに意味があると正義の味方になる道を選ぶのです。

 これは、士郎の宿命とも言える決断で、本来ならば決して変えることのできない未来とも言えます。

 この物語で注目して欲しいポイントは、そんな決断に変化が生じることにあるのです。

劇場版 Fate 第3章 かわいい 画像02<画像引用元:https://www.fate-sn.com/1st/news/?article_id=54920 より引用掲載 ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC ©TYPE-MOON>

 桜ルート中盤から桜は、無関係の人間を魔力源として殺し、これからさらに邪悪な存在を生み出す悪になってしまいます。今までの士郎のあり方ならば、この人類の敵である桜を倒さなくてはなりません。そう、多くの人間の幸せのためにも、また桜がさらなる罪を犯さないためにも……。

 しかし、士郎は桜への愛ゆえに正義の味方であることを捨て、桜だけの味方になることを選びます。士郎のこの変化は、観ている限りそれほど苦心しているようには感じません。ですが、主人公が行動原理を変えると言うことは、海賊王を目指していた男がその夢を諦めることや、火影を目指していた忍者がその夢を諦めることに匹敵するほどのことなのです。

 つまり、桜ルートとは、これまでの正義の物語を否定し、ただ1人を選んだ男の物語だと言えます。『Fate [HF]』第3章は、そんな士郎の変化に注目して観るとより面白いでしょう。

◆敵だと弱いのに味方になると強い!? 逆パターンのキャラクター「ライダー」に注目

劇場版 Fate 第3章 かわいい 画像03<画像引用元:https://www.fate-sn.com/1st/news/?article_id=54878 より引用掲載 ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC ©TYPE-MOON>

 『Fate』がこれほど注目されているのは、そのストーリーや設定が面白いこともありますが、大きな要因となっているのは、その作画の美しさによるものです。

 『Fate/Zero』や凛ルートもそうですが、桜ルートもアニメーション制作をufotableが手掛けています。

 ufotableが手掛けたアニメーションは毎回クオリティが高いと評判で、様々なエフェクトを駆使した戦闘シーンは非常に人気が高いです。

 『Fate [HF]』第3章でも、そんなufotableの高い技術力が発揮されており、ライダーとセイバーオルタの戦いは大きな見せ場となっています。

 特にライダーは今まで、見せ場らしい見せ場の無かったキャラクターであり、セイバールート、凛ルートでは敵としてしか登場しませんでした。そんなキャラクターが仲間になり活躍するなんて、とてもアツい展開ですよね。

 そんなライダーは今まで見せ場だけでなく、マスターにも恵まれていませんでした。

 セイバールートや凛ルートでは、桜が戦いを放棄したため、慎二がマスターを務めることになります。しかし、慎二は魔術師ではないため、ライダーに十分な魔力供給ができませんでした。そのため、ライダーは十分な力が発揮できない状態だったのです。

 しかし、『Fate [HF]』第3章では、マスターが桜に変わりライダーは驚く程の強さを発揮することに。セイバーオルタ戦のライダーは今までの戦いはなんだったのかと思えてしまうほど白熱した戦いを繰り広げていきます。不遇な扱いを受けていたライダーがどんな活躍をするのか注目だと言えるでしょう。

劇場版 Fate 第3章 ライダー バトル 画像<画像引用元:https://www.fate-sn.com/1st/news/?article_id=54803 より引用掲載 ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC ©TYPE-MOON>

 また、この戦いで長年の疑問にも答えることになります。

 視聴者の中には、セイバーオルタを倒すキッカケとなった宝具「騎兵の手綱(ベルレフォーン)」が登場するまでは、ライダーがなぜライダーのクラスで召喚されたか知らなかった方もいるのではないでしょうか。

 ライダー(メドゥーサ)は『Fate/Zero』ライダー(イスカンダル)と違いほとんど騎乗することなく戦っていました。そのため、「ライダー(騎兵)の騎兵要素はどこにあるんだ?」と突っ込まれることもしばしば。

 実はセイバールートでちゃんと「騎兵の手綱(ベルレフォーン)」を使用し天馬に騎乗しているのですが……。昔過ぎて忘れている視聴者や知らない視聴者も大勢いると思います。

 まぁそれだけ、ライダーの影が薄かったと言えるかもしれませんが……。

 しかし、そんなライダーが『Fate [HF]』第3章では大金星を上げます。対セイバーオルタ戦は、この物語で一番盛り上がる戦闘シーンとも言えますので、注目してみてください。

◆士郎と桜だけに注目しては勿体無い!! 凛と桜、姉妹の絆にも注目

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 『Fate [HF]』は桜の物語であり、桜のために正義の味方になることを諦めた士郎の物語でもあります。しかし、それだけではなく、実は凛と桜の姉妹の絆を描いた物語でもあるのです。

 桜ルートでは、桜が抱いていた凛への感情が徐々に明らかになっていきます。1章、2章でも、凛と士郎の関係に桜が嫉妬をするシーンなどがありましたよね。『Fate [HF]』第3章では、それらの感情が爆発し、壮大な姉妹ゲンカに発展していきます。

 そもそも、これだけ姉妹仲がこじれてしまったのはなぜなのでしょうか。

 その原因は桜が養子に出された際の協定にあります。その協定では、遠坂家と間桐家は不干渉を貫くとされており、親しくすることを禁止されているのです。そのため、2人はお互いを意識することはあっても直接関わり合うことはないまま生活していました。

 それが原因で、桜は凛に対して、非常に複雑な感情を持つことになります。

 その感情とは、かなり暗いものが多く

「自分はこんなにも苦しい思いをしているのに姉さんは……」

「自分はこんなにも不幸なのに姉さんは……」

「どうして、姉さんはあんなにも恵まれているのか」

 といったものがほとんど。

 このように桜は自分にない物を全て持っている凛のことを妬ましく思っています。それは凛の存在がコンプレックスになってしまうほどに……。

 凛が話しかけても、桜があまりいい対応をしないのはこの辺りが原因になります。

 また、それだけ凛に対して暗い感情を持ちながらも桜は「姉である凛はいつか自分を助けに来てくれるのではないか」と希望も抱いていました。しかし、待てど暮らせど姉は助けに来てくれません……。

 まさに希望と絶望が入り混じった複雑な感情ですね。

劇場版 Fate 第3章 凛 かわいい 画像<画像引用元:https://www.fate-sn.com/1st/news/?article_id=54920 より引用掲載 ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC ©TYPE-MOON>

 そんな中、凛は凛で自分が遠坂の悲願と宿命を継いだので桜は一般人として生活していると思っています。

 桜信者からすれば「この間抜けが!!」となるのですが、これには仕方のない理由も。

 1番の原因は凛の楽観視ですが、もう一つの原因は魔術業界のセオリーにあります。この業界、基本的に魔術は一子相伝で子供が2人いた場合1人に魔術を継承させ、もう1人は一般人として生活させるというセオリーがあるのです。そのため、凛は桜のことを一般人だと思っており、基本的に魔術師と一般人という距離の取り方をしていました。

 これが、姉妹の関係が微妙にこじれている原因になります。

 『Fate [HF]』第3章では、「凛に助けられることを望みながら助けてと言えなかった桜」また「桜を気にかけながらも自分から事情を聞けなかった凛」噛み合わなかった2人がついにお互いの思いを理解し合う展開に注目です。

 

 ――以上が『Fate [HF]』第3章で注目するとより楽しめるポイントになります。いかがだったでしょか。

 『Fate』原作は非常に長い物語なので、アニメ化する上で多くの情報を削ってしまっています。そのため、語られていないキャラクターの考えや思い、行動理由などがたくさんあるのです。そういった部分に注目するとより物語が楽しめるので、気になる方はぜひ一度調べてみてはいかがでしょうか。

(Edit&Text/天乃ひる)


劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅲ.spring song

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