◆大切な人とのお別れは時間がかかると理解しておく
大切な人とのお別れは心に大きく傷を残し、すぐに癒えるものではありません。時には、傷が癒えるのに何十年とかかってしまうことがあるでしょう。そのことを理解していないと、大切な人とのお別れを短く済ませてしまい、後悔してしまうかもしれません。
アニメ第1話のフリーレンはヒンメルにも寿命はあると理解しつつも、彼の死に対して何の心の準備をしていませんでした。そのため、フリーレンはヒンメルとのお別れに心が追いついておらず、各地でヒンメルを思い出すことによって、彼とのお別れに向けて準備をしているように見えます。
この作中のフリーレンの様子からも分かるように、大切な人とのお別れには時間が必要であり、大切な存在であるほど簡単に区切りをつけられるものではありません。そのため、葬儀では納棺やお別れなどあえて段階を作ることで、死別の悲しみを癒すグリーフケアにつながると考えられています。
特に筆者が働いていた葬儀社では「ご逝去・納棺・お別れ・火葬」の段階を経ることで死別した悲しみを癒すと考えていました。
実際に葬儀のお手伝いをさせていただくと、この4つの段階で涙を流す遺族が多くおり、この段階を経た後の遺族は葬儀の前と表情が変わっていました。このことから、時間をかけてプロセスを経ることは大切なのだと痛感したのを覚えています。
最近ではさまざまな葬儀が誕生し、なかには数分でお別れを終える葬儀が出てきました。しかし、大切な人とのお別れは数分で心の区切りがつけられるものではありません。大切な人とのお別れは時間がかかり、葬儀などのプロセスを経て傷が癒えていくものだと知っておくことが大切です。
──誰にでも死は訪れるものだからこそ、いざという時に後悔しないために日頃から気持ちを伝えたり一緒に思い出を作ったりすることが大切です。また、そのときが来たら、お別れにじゅうぶん時間を取り段階を経て心の傷を癒すのが大切でしょう。
〈文/林星来 @seira_hayashi〉
フリーライターとして活動中。子供の頃から培ってきたアニメ知識を活かして、話題のアニメを中心に執筆。アニメ以外のジャンルでは、葬儀・遺品整理・金融・恋愛などの記事もさまざまなメディアで執筆しています。
※サムネイル画像:アニメ『葬送のフリーレン』公式サイトより
© 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会