終活や葬儀と聞くと若い年代の人は「自分とはまだ縁がない」と思うでしょう。しかし、悲しい話ではありますが、死は誰にでも起きるものであり、身近な人が病気や事故で急に亡くなることがあるかもしれません。思いがけない急なお別れに心の準備ができていないと、大切な人とのお別れに悔いを残してしまう可能性があります。

 そのような事態を避けるためにはどんなことが大切なのか、エルフと人間のお別れを描いた『葬送のフリーレン』を参考にしながら、筆者の葬儀社で働いていた時の経験を交えて考えていきます。

◆日頃から大切な人へ気持ちを言葉にして伝える

 素直な気持ちを伝えるのは照れくさいことから、「感謝の気持ちはいつか伝えよう」「伝えなくても伝わっているだろう」と考えている人がいるのではないでしょうか。

 後で伝えようと考えていてもそのまま伝えられなかったり、伝わっていると思っていても相手には気持ちが伝わっていなかったりする場合があります。日頃から大切な人へ感謝や嬉しいという気持ちを伝えることはとても大切です。

 作中では、フリーレンはヒンメルが亡くなった後に「なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう」と後悔していました。

 そして、かつて一緒に旅をしたアイゼンに「(フリーレンの言葉は)ヒンメルに直接伝えるべきものだ」と諭され、死者と対話したとされる場所「魂の眠る地(オレオール)」を目指す旅が始まります。フリーレンの場合は自覚が遅れたためにヒンメルへ思いを伝えられませんでしたが、大切な人へ気持ちを伝えることが重要だと分かるエピソードと言えるでしょう。

 実際に筆者が葬儀の仕事をしていたときにも、連れ合いを亡くされたかたが「もっと感謝の気持ちを伝えておけばよかった」と後悔の念を漏らす方がいました。そのようなときには「お手紙を書きませんか」と提案し、お別れの際にお棺へ納めることがありましたが、それでも直接伝えたかったという後悔は残ってしまうでしょう。

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 ことわざには言葉にしないほうがより思いが伝わる「言わぬは言うに勝る」という言葉がありますが、本人が言わないで後悔していたらどうしようもありません。後悔しないためにも、日頃から大切な人へ気持ちを伝えるようにしましょう。

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