◆『君たちはどう生きるか』に近い宣伝形態をとっていた映画
実は直近で『君たちはどう生きるか』に近い宣伝形態を持っていたと言える大ヒット映画があります。
それが映画『THE FIRST SLAM DUNK』です。本作は公開前に声優陣を発表するYouTube番組を大々的に配信したり、キャラクターポスターを複数種作ったりと、ほとんど宣伝をしない『君たちはどう生きるか』ほどの強気な姿勢ではなかったのですが、他の映画に比べて意図的に発表する内容を絞っていた映画でした。
映画『THE FIRST SLAM DUNK』は原作漫画の話をするのか？ それともオリジナルのエピソードなのか？ どういう話になるのか？ どんなシーンが登場するのか？ それら映画のあらすじに踏み込んだ部分は映画の公開までほとんどが伏せられており、観客は実際に映画館の座席に座って冒頭で登場するキャラクターたちの姿を観たときに初めて、この映画がなんの話をするのかというのを知る体験となっていました。
この方針が功を奏したのかは検討の余地があるものの、少なくとも『THE FIRST SLAM DUNK』は興行収入100億円をも超えるロングランヒットになっています。情報を出さないという選択が直近で成功していることを考えると、『君たちはどう生きるか』が公開まで情報を全然出さないという戦略も成功する余地は全然あると言えます。
『君たちはどう生きるか』については、制作時点で冒険活劇ファンタジー作品になるなど、断片的な情報は報道されてきましたが、やはり実際に観てみないことにはそのニュアンスがあっているのかどうかも分かりません。全く情報がない状態で宮崎駿監督の映画を観る体験なんてそうそうできない機会です。ぜひ7月14日は口コミなどの情報もまだ入っていないまっさらな状態で、『君たちはどう生きるか』を観てみてはいかがでしょうか。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
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アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。
