『グランベルム』は、『Re:ゼロから始める異世界生活』の監督・渡邊政治さんと、同作のイラスト担当の大塚真一郎さんキャラクター原案によるオリジナル少女系ロボットアニメだ。
シリーズ構成は『STEINS;GATE(シュタインズゲート)』『ラブライブ!』シリーズ、『響け!ユーフォニアム』シリーズなどの名作を手がけてきた花田十輝さん。作画クオリティーはさすがに高く、戦闘シーンも胸が熱くなる。飛田展男さんナレーションの予告編も実にツボをおさえたすばらしいものだ。
そんな『グランベルム』もいよいよ残すところ1話となった。
そこでここでは今さら感満載だが、『グランベルム』最終話に向けて、本作を今一度振り返って見ていきたい。
『グランベルム』のあらすじを振り返る
主人公・小日向満月は自分には何も無いと感じているごく普通の女子高校生。学校に忘れ物を取りに行っていると突然その場が幻想空間に転送されてしまう。そこで行われている少女同士が魔法人形「アルマノクス」に乗り込み、世界で唯一の魔術師になるために最後の一人になるまで戦いあう「グランベルム」に巻き込まれるのだった。
危うく殺されそうになったところを新月エルネスタ深海という少女に助けられる。そして戦いから逃げる最中、満月は不思議な力に目覚め、自身のアルマノクス「ホワイトリリー」を手に入れ、初めての戦闘に勝利する。翌日元の世界に戻り、新月からこの世界やアルマノクスの説明を受けた満月は、自らのアイデンティティを探し、何かになりたいとグランベルムへの参加を決意するのであった。
日常ロボット物からダークファンタジー物に方向転換!?
『グランベルム』は少女と操り人形が糸によってつながり紡ぎ出すストーリーなのだ。作中に登場するロボット・アルマノクスはロボットと言うよりは2頭身の操り人形であり“糸”で操縦する。その設定は斬新そのもの。
始まってすぐは、女の子たちだけがバトルロイヤルするストーリーであるため、負けてもグランベルムへの参加資格を失うだけという展開かと思われていた。実際、お話しはお弁当や家族のゆるエピソードなどで、ほのぼのと進んでいく。このまま日常ロボット物で女性同士の友情をあたたかく描いていくのかなと思いきや、物語後半で登場人物が存在ごと消え去ってしまうダークファンタジー物へと変わってゆく。前半のゆるさがあるからこそ後半のきつさが際だって感じられる。
さらには第10話にて主人公の秘密が明かされ、アイデンティティどころか、もっと根深い物がゆらいでゆく。次々と待ち受ける展開にみている側も翻弄されっぱなしである。最終話直前、満月はある決意と気づきにより、第1話と比べかなりの精神的成長を魅せていく。果たして最終話において、少女たちはどういった未来をたどるのだろうか……。
――『グランベルム』はやりたいこと、作ってみたかったことがありすぎて詰め込み感がすごい&既視感が毎話ある。この点が本作自体のアイデンティティをぶれさせている気がして少々残念だ。まぁ、面白いからこその贅沢な要求かも知れない。
(Text/BABERU Edit/白鳥ほたる)
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