◆まるでアムロの引き立て役? 「モビルアーマー」の投入にことごとく失敗
冷却装置を小型化できないジオン軍は、巨大なモビルアーマーの開発に力を入れます。しかし、適材適所の考えがなかったジオンはザクレロ、ビグロ、グラブロ、ブラウ・ブロ、ビグザム、エルメスなどのモビルアーマーをことごとくアムロに撃破されます。
これらのモビルアーマーにはアムロも苦戦しましたが、量産に向いていないという欠点がありました。
とはいえ、投入する場所をもっと考えてガンダムを避けていれば、ほかの戦場では有利に戦えたかもしれません。
また、ごていねいにアムロに1機ずつ挑んで敗れています。温存しておいて大事な場面で一気に投入すれば戦況をくつがえせた可能性はあったでしょう。
開発の問題でそうはいっていられない事情があったのかもしれませんが、せっかくのモビルアーマーがアムロの株を上げるだけの存在になってしまったのは、あまりにももったいないといえます。
◆ヒビだらけのザビ家! ギレンたちの権力争いと団結力のなさ
ザビ家のギレンやキシリアは邪魔なら父であろうと、兄弟であろうと消すのが当たり前という感じでした。
一年戦争前、ジオン・ダイクンの葬列でのテロで死亡したサスロ・ザビ(ザビ家の次男)を消したのも、不仲だったキシリアの謀略ではないかという説があります。
また、キシリアが戦争を長引かせて自身の地盤を固めるため、捕らえた連邦のレビル将軍を逃がしたことも、その後の戦局に大きな影響を与えました。
野心のかたまりであるギレンは目指すものが違うデギンをはめて命を奪い、ドズルがソロモンで連邦に追い詰められたときも、なかば見捨てる形となっています。そのギレンもジオンの全権を握ろうとするキシリアによって命を奪われることに。
連邦と戦いながら内部で権力争いをするというのは無理があったといえます。兄弟が団結して戦っていたら、連邦軍を相手にもっと戦えていたでしょう。
──ジオン公国が負けた理由はこの4つ以外にもありますが、組織にとっていかに人材・技術力・団結力が大切なのかが分かります。
リアルの世界でも、跡取り問題で親族が足を引っ張りあって会社が傾くこともあります。
振り返って「あのときああしておけば良かった……」と後悔することは誰にでもあるはずです。ジオン公国の勝ち目はミノフスキー博士が亡命したときから薄くなっており、あの世のギレンらも後悔でいっぱいなのではないでしょうか。
〈文/諫山就 編集/乙矢礼司〉
《諫山就》
フリーライターとして活動中。漫画・アニメ・医療・金融などの記事、YouTube用シナリオを執筆・編集しています。
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