うーん、危なかった。

2017年11月11日より公開スタートした『劇場版 はいからさんが通る 前編 紅緒、花の17歳』を、12月に入ろうかという公開スクリーンも少なくなってきているギリギリのタイミングで観に行きました。

本作、私のハートを思いきり鷲掴みするようなトキメキを感じられる素敵な映画でして、「これを映画館で観られて良かったな」としみじみ思っています。

劇場版はいからさんが通る 前編~紅緒、花の17歳~ オリジナル・サウンドトラック
画像引用元劇場版はいからさんが通る 前編~紅緒、花の17歳~ オリジナル・サウンドトラック 販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ

心苦しいのは十分スクリーン数があるタイミングで、本作がオススメであることを伝えられなかったこと。興行通信社が発表する週末観客動員数ランキングでも、『劇場版 はいからさんが通る 前編 』はTOP10にはまったく顔を出しておらず、ちゃんと黒字ラインは突破できたのだろうかと下世話な心配をしてしまっております。

まだお近くの劇場で上映していましたら足を運んで欲しいなぁと思うのと、もし近場でやっていなくてもディスクリリースされた際はぜひチェックして欲しいオススメの作品です。

さて、そんな『劇場版 はいからさんが通る 前編 』で一点、気になった点があります。

それはこの映画の“伏線”に関する話。

今回はその伏線について語りたいと思います。

はいからさんの上手くない伏線

早見沙織 夢の果てまで(劇場版「はいからさんが通る」 前編 主題歌)
画像引用元:早見沙織/夢の果てまで(劇場版「はいからさんが通る」 前編 主題歌)<アニメ盤>(2枚組) 早見沙織 販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ

アニメ作品に限らず、映画やドラマ、漫画や小説など、物語が存在するメディアには“伏線”という手法があります。

後の展開が活きるように、物語の事前にある出来事を用意しておくことを“伏線を張る”と言いまして、私はこの手法が大好きなのです。

自分が全然気にも留めていなかった事前の出来事が、後々の場面で思わぬ形で活きてくる瞬間ってたまらなくゾクゾクするのです。

特に「映画」は2時間程度の手軽なスパンで伏線の気持ちよさを味わえるところがたまりません。この手軽さが、私がTVアニメは観ないくせに、映画は観る理由のひとつでもあったりします。

で、そんな伏線に関して『劇場版 はいからさんが通る 前編 』で、「あまり上手くないなぁ」と思った瞬間がありました。それが作品の半ばのあるシーンで、喪服に関する描写が挟まれるシーンです。

話の流れに反して急なぐらいに喪服の話題が出てくるので、「え? 死ぬの?」と後々に起る展開を逆算して悟ってしまう事態となってしまいました(実はこの点にも最後に一ロジックが挟まれているのですが)。

前後編の作品とはいえ、映画一作中のクライマックスとして用意された展開が早い段階で表に出てしまっているのは少し残念に思いました。

意味のあるシーンだらけの『ズートピア』

ズートピア
画像引用元:ズートピア MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray] 販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

作品によっては『はいからさん』なんて目じゃないくらい、「この後、こうなっちゃいますよ!」と主張の強い伏線が挟まれている映画も全然あるのですが、やっぱり伏線にはもうちょっと気配を消していて欲しいのが正直なところです。

伏線の気配の消しっぷりでいえば、ディズニー映画、『ズートピア』などは最たる好例。

これでもかというぐらいに、展開一つひとつに意味が乗っていて、もう一度頭から見直すと、『こんなところにヒントが用意してあったのか!』という発見がいくつも出てきます。

もはや伏線じゃない点を探す方が難しいのではないかというぐらいです。

『ズートピア』は、伏線だらけの“意味のあるシーンだけ”で構成されたと言っても過言ではないぐらい、本当に綺麗な映画だと思っています。

“意味のあるシーン”だけが正義じゃない?

ただ、必ずしも“意味のあるシーン”だけが正しいわけではないことは補足しておきたいところ。

NETFLIXで2017年12月に配信を開始したアニメ、『トロールズみんなのハッピーホリデー』では、話の中盤にワームホールに入ることで、異空間に飲み込まれたようなトリップ描写が挟まれます。

このシーン、驚いたことにまったくその後の展開とは関係ありません。ただ、面白いだろ!というパッションだけで挟まれているのです。

そして、そこが最高。

勢いでブチ込みましたといわんばかりのアイデアだと、物語上の意味があろうがなかろうが、存在することに意味が乗っちゃう場合があるんですよね。

綺麗な伏線が絶対正義でもなければ、そもそも伏線に気づくかどうかも人によってしまうのが不思議なところ。例えどんなに映画の目が肥えている人でも“思わぬ展開”に出会うことは多々あるハズです。

驚きの気持ちを体験するためにも、あまり映画を観ないという人こそ、たった2時間程度の時間の余裕さえあれば良いので、たまには映画館に足を運んでみて欲しいな、と思います。

あなたにとっての思わぬ体験や衝撃、快感が、たった今映画館で上映されているかもしれませんよ。

(Edit&Text/ネジムラ89)


劇場版アニメーション『はいからさんが通る』公式サイト
© 大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

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