11月8日(金)から、長編アニメーション映画『ロボット・ドリームズ』が全国公開される。それに先駆けて11月4日(月・祝)、新宿武蔵野館で、舞台挨拶付き先行上映が開催された。

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 このイベントには、パブロ・ベルヘル監督が来日し、作品の制作背景やそこに込めた思いを明かした。

 ここではそのオフィシャルレポートを紹介していく。

〈以下、原文ママ〉

 本年度の米国アカデミー賞・長編アニメーション映画賞にて、宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』と競い合った本作を一足早く観ようと駆け付けた観客によって、完売御礼となった本イベント。パブロ・ベルヘル監督が登壇すると、割れんばかりの拍手の音が鳴り響いた。

 劇場に監督のパートナーであり、本作でミュージックエディターを務めた原見夕子氏も同席しており、彼女の紹介を果たしながら観客に向けて、「『ロボット・ドリームズ』は、ニューヨークに10年住んだ私たちからのラブレターです」と挨拶をしながら、作品のメッセージ性を観客に伝えていた。

 続けて監督は、ニューヨークでの生活や、作品に込めた思い、音楽の選定について詳しく語りながら、観客からの質問に対しても丁寧に答えていき、作品の制作背景や個人的なエピソードを明かしていく。

 まず語られたのは、児童文学で知られているグラフィックノベル作家・サラ・バロン氏の作品を、なぜ映画化することになったのか。「実は私はセリフのないグラフィックノベルのコレクターなんです。2010年にこの作品を読んだんですが、物語の終盤で強く心を動かされてしまい、涙が出てきたんです。特別な作品だというのことを分かったのですが、私はアニメーション映像を制作したことがなかったのです。しかし『ブランカニエベス』といった作品が撮り終わった後に、この『ロボット・ドリームズ』の制作に着手しました。このグラフィックノベルを読んで感じたのは、自分の人生で大切で愛した人たちも存在したけれども、離れてしまった人たちのことが心をよぎったんです。まさにそれが、この作品の最大のテーマだと感じました」と語り、本作との出会い、感銘を受けたエピソードを披露すると、観客たちも興味深い表情で舞台上を見つめていた。

 本作は、アース・ウインド & ファイアーの名曲「セプテンバー」が、多くの場面で流れてくる。選曲した理由について監督は、「脚本段階から、想定されていた」と語りながら、詳細を紐解いていく。

 「グラフィックノベルでは、場所は特定されていませんでしたが、舞台を80年代のニューヨークに設定しました。サラ・バロンさんのグラフィックノベルを持ってきたんですが、セリフが本当にないんですね。「セプテンバー」をかけることによって、80年代のニューヨークにタイムスリップした感覚を味わって欲しいと思って採用しました。この時代のニューヨークは、たまらない魅力があると感じていてますが、もう当時のニューヨークはありません。当時を知っている人たち、あるいは行ったことがない人も、タイムマシンに乗船した気持ちで、この映画を楽しんで欲しいと思っています。本作は台詞がないので流れてくる音楽は、登場人物たちの声としての役割も果たしているので、とても大切だったんです」と、作品に込められた思いなどを明かしてくれた。

 なお本作には、多くのポップカルチャーのオマージュが盛り込まれており、観客に楽しんでもらいたいという思いが込められている。“カルチャー好き、シネフィルだったら気付けるはず!”と豪語する監督は、終始イベントを楽しんでいる様子だった。最後観客に向けて、「本日から皆様には、『ロボット・ドリームズ』の日本親善大使として働いてもらいます(笑)。是非周りの人達におススメしてください」とコメントして、イベントを締めくくった。

 本作は11月8日(金)より、 新宿武蔵野館ほか全国でロードショーを果たす予定となっている。

〈撮影/朝岡英輔〉

◆映画情報

11月8日(金) 新宿武蔵野館ほか 全国ロードショー

▼ストーリー

大都会ニューヨーク。ひとりぼっちのドッグは、孤独感に押しつぶされそうになっていた。
そんな物憂げな夜、ドッグはふと目にしたテレビCMに心を動かされる。

数日後、ドッグの元に届けられた大きな箱――それは友達ロボットだった。
セントラルパーク、エンパイアステートビル、クイーンズボロ橋……
ニューヨークの名所を巡りながら、深い友情を育んでいくドッグとロボット。
ふたりの世界はリズミカルに色づき、輝きを増していく。

しかし、夏の終わり、海水浴を楽しんだ帰りにロボットが錆びて動けなくなり、ビーチも翌夏まで閉鎖されてしまう。

離れ離れになったドッグとロボットは、再会を心待ちにしながら、それぞれの時を過ごす。

やがてまた巡りくる夏。ふたりを待ち受ける結末とは――。

▼受賞

  • 第96回アカデミー賞 長編アニメーション映画賞 ノミネート
  • 第51回アニー賞 長編インディペンデント映画賞 受賞
  • 第76回カンヌ国際映画祭 正式出品
  • ヨーロッパ映画賞 長編アニメーション映画賞受賞
  • アヌシー国際アニメーション映画祭 コントルシャン部門 作品賞受賞
  • シッチェス・カタロニア国際映画祭 観客賞受賞
  • フェロス賞 コメディ映画賞|作曲賞|最優秀ポスター賞 受賞
  • ゴヤ賞(スペイン・アカデミー賞) 脚色賞|長編アニメーション映画賞 受賞

▼コメント・映画評

美しく、想像を遥かに超え、そして温かい ――ギレルモ・デル・トロ

今年一番の感動作 ★★★★★ ――EMPIRE MAGAZINE

オープニングからエンディングまで全てが愛おしい ――FILMBOOK

近年最高のアニメーション ★★★★★ ――THE GUARDIAN

ティッシュペーパー9箱分泣いた ――ROLLING STONE

▼スタッフ

  • 監督・脚本:パブロ・ベルヘル
  • 原作:サラ・バロン
  • アニメーション監督:ブノワ・フルーモン
  • 編集:フェルナンド・フランコ
  • アートディレクター:ホセ・ルイス・アグレダ
  • キャラクターデザイン:ダニエル・フェルナンデス
  • 音楽:アルフォンソ・デ・ヴィラジョンガ
  • 字幕翻訳:長岡理世
  • 配給:クロックワークス

2023年|スペイン・フランス|102分|カラー|アメリカンビスタ|5.1ch

▼公式Webサイト

https://klockworx-v.com/robotdreams/

▼公式X(旧Twitter)

https://twitter.com/robotdreamsjp

 

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