◆結局「存在しない記憶」とはなんなのか?
このように虎杖と敵対していた人物たちが突然、「存在しない記憶」が脳内に流れることで戦意を喪失させる展開は一体なんなのでしょうか。
かつてはこれこそ虎杖の能力──術式なのではないかという説も流れていたのですが、実はこれについては2021年に原作者の芥見下々先生が、CSフジテレビONEの番組「漫道コバヤシ」に出演した際にその正体について回答しています。
実は、東堂と脹相に存在しない記憶が流れたのは完全に別の理由によるもので、虎杖の能力ではない、とはっきりと明言しています。あくまでも似たような描写が出てくるため、一回やったくだりを被せただけだったようです。
脹相に関しては過去にも壊相、血塗といった兄弟たちが虎杖によって殺される瞬間に、遠隔でそれを察知したシーンが登場しています。
それを踏まえると、虎杖が死にかけたことで、脹相がなにかを察知したということが考えられます。
虎杖の親については、祖父がなにかを言いかけていたシーンが登場していますが、脹相たちの元の姿である「呪胎九相図」との関係が今回の展開で予想できます。
一方の東堂については、現状でもなぜあんな記憶が生まれたのかはまったくの手がかりはありません。ただ単に東堂がとんでもない妄想を発揮していただけという見方が強く、より第15話の映像の衝撃性が増してきます。
『呪術廻戦』に突如として流れる「存在しない記憶」。それに心をかき乱される私たち視聴者も、まさに東堂や脹相の受けた衝撃を追体験させられているのかもしれません。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
※サムネイル画像:TVアニメ「呪術廻戦」公式サイト より
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会