<この記事にはTVアニメ、原作漫画『呪術廻戦』のネタバレが含まれます。ご注意ください。>
いま『週刊少年ジャンプ』で連載中の『呪術廻戦』は佳境を迎え、作中最強ともいえる両面宿儺との戦いに盛り上がりを見せています。
そんな宿儺は作中の発言や斬撃・炎を使う術式から料理がモチーフではないかとファンの間で噂されていますが、果たして本当に料理がモチーフなのでしょうか。もしかしたら、次の2つがモチーフなのかもしれません──。
◆宿儺の炎はたたらの炎?「製鉄(たたら)」がモチーフの可能性
宿儺が実在したとされる飛騨地方は、「製鉄(たたら)」と縁があることから、彼は製鉄がモチーフなのかもしれません。
彼が開創したとされる日龍峯寺(にちりゅうぶじ)がある関市には多々羅(たたら)という地名があり、鉱山があったと考えられています。
また、製鉄地や産鉄地には鬼の伝承が多く残されており、この多々羅にも鬼にまつわる伝承が残されています。これらのことから、この地で製鉄が行われていた可能性は十分に考えられるでしょう。
さらに、宿儺は結合双生児のように2つの顔と4本の腕を持っていたと語られていますが、久真瀬敏也氏が執筆した小説『両面宿儺の謎 桜咲准教授の災害伝承講義』では、製鉄で発生するダイオキシンによってこのような姿で生まれたのではないかと推測されています。
この本によると、当時の製鉄の技術は未熟だったこともあり不完全燃焼になることが多かったようです。そのため、ダイオキシンが発生して汚染が進んだ結果、彼のような結合双生児が誕生してしまったと語られています。これらのことから、少なからず実在した宿儺と製鉄は関わりがあるといえるでしょう。
それでは、『呪術廻戦』の宿儺は製鉄と関連性があるのでしょうか。関連があると考えられる要素は、宿儺が使う「解と捌」と「炎の術式」の2つです。
宿儺が放つ見えない斬撃の解と捌は作中で解説される際、包丁をイメージして描かれていました。包丁は製鉄で作られることから、無関係とはいえないでしょう。
また、宿儺は渋谷事変で漏瑚に炎対決を挑んで勝利していましたが、料理の火力で火山やマグマを操る漏瑚に勝利したと言われると違和感を感じます。その点、製鉄ならばマグマが約700〜1200度と言われているのに対し、たたら製鉄の炉の温度は1200〜1500度と言われているため、火力勝負で宿儺が勝利したのも納得できるでしょう。
これらのことから宿儺のモチーフは「製鉄(たたら)」ではないかと考えられます。