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※この記事では『海獣の子供』のクライマックス含む映画の終盤の内容に関して具体的に触れています。すなわちネタバレ記事ですので、予め注意、ご了承の上、お読み下さい。

 すごい映像美が観れることは確信していたものの、ここまで体力を削られる映画だとは思いませんでした。

 なんの話かといえば、STUDIO4℃による最新長編アニメーション映画『海獣の子供』の話。

海獣の子供 画像

画像引用元:https://www.kaijunokodomo.com/ ©2019 五十嵐大介・小学館/「海獣の子供」製作委員会

 監督は『映画ドラえもんのび太と緑の巨人伝』『宇宙兄弟#0』の渡辺歩監督。主人公・瑠花の声を芦田愛菜さん、音楽を久石譲さんが担当し、主題歌には米津玄師さんが本作のために書き下ろした曲「海の幽霊」が起用されるということでも話題になっていた作品です。

 話題作ということで、初週末に観に行ったことも相まって大入りの劇場で本作を鑑賞できたのですが、上映後に結構疲れた顔をしている人やよくわからないという感想を漏らしている人が多かったです。決して映画が悪かったというわけではなかったのですが、そのアニメーションのビジュアルに圧倒されてしまうのも分かるし、語られる物語はなかなか難解な内容なので、すごくその感想には共感できました。

 なんたって私、途中までこの映画を恋愛映画だと思ってみていましたから。

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琉花ちゃんと海くんの恋の予感

 『海獣の子供』の主人公は中学二年生の女の子、琉花ちゃん。

 そしてそんな琉花が出会うのが、ジュゴンに育てられたという少年、くんとくんの二人です。

 中でも、親しみやすく積極的に琉花ちゃんのことを遊びに誘う、海くんとの関係性は印象的。琉花ちゃんが海くんと握った手のぬくもりに温かさを感じる姿や、浜辺に打ち上げられて海くんにとっさに人工呼吸をしようと狼狽し顔を赤らめる姿は、明らかに琉花ちゃんから海くんへの好意を感じられる瞬間でした。その後のこの物語は、琉花ちゃんと海くんの恋物語へと発展していくのでは。なんて想像を膨らませた私でしたが、この映画はそんな結末へは向かってはいかないのでした。

恋愛映画ではない方向へ向かっていく物語

 中盤、空くんが手に入れた隕石を口移しで琉花ちゃんが受け入れてから、物語は不思議な方向へと進んでいきます。空くんへも好意を抱き始め、海くんの間で恋愛という感情が揺れ動く琉花ちゃん......なんて甘い展開には至らず、役目を終えたと言わんばかりに早々に姿を消す空くん、突然言葉を失ってしまう海くん、隕石により身体の異変を感じる琉花ちゃん。かつての甘い恋愛物語の気配はすっかり消えて、三者三様、どんどん現実味のない人成らざるものへと変貌していきます。この時点でかつての甘酸っぱい予感はなきものとなっています。

 そして映画はクライマックス、琉花ちゃんと海くんは海上で怒涛の展開を迎えます。鯨に二人は呑まれたかと思えば、鯨の体内に手二人が宇宙スケールの壮大な次元の話を体現していくのです。その想像もしなかった展開への飛躍はもはや宗教映画。確かにラストで起こっていく展開については、あらかじめ作中の登場人物の口からヒントは語られてはいるのですが、それでも一度の体験ではかみ砕けない不思議な映像が連続して展開されていくので、もっと地に足のついた物語を想像していた身には面食らってしまう結末でした。私がわずかに抱いていた甘い恋愛映画への期待を「そんなんじゃないんだぞ」とはっきりとへし折られました。

海くんに恋心を抱くのは必然だった?

 ただしこの映画、琉花ちゃんが海くんに恋心を抱く描写も決して恋愛映画のブラフではなく必然だったのだなとこの結末で判明します。物語の最後、死に呑まれそうになる琉花ちゃんを、強引に海くんが現世に引き留めたような展開を迎えます。冒頭、一人教室で項垂れる琉花ちゃんを海くんが連れ出したように、再び海くんが琉花ちゃんを救い出すのです。まさに海くんは生へと導く者。思えば対となる空くんは、琉花ちゃんに隕石を口に含また張本人ですから、死へと導く役割を担ってたのかもしれません。エロスとタナトス。生きたいとあふれ出る感情を司る海くんに対して、琉花ちゃんが恋心を抱くのはある意味、必然的な描写だったのでしょう。

 『海獣の子供』は恋愛映画ではなかったのですが、ある意味、琉花ちゃんと海くんの関係性から、もっと俯瞰したスケールで、恋愛感情“も”描いていた映画と言えるでしょう。『海獣の子供』がなんだかよくわからない映画だったという感想を抱いた人も、何かポジティブなエネルギーを受け取れた気さえしていれば、海くんからの生きるエネルギーを受け取っているんだと思います。

(Edit&Text/ネジムラ89)

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アニメーション映画「海獣の子供」公式サイト

©2019 五十嵐大介・小学館/「海獣の子供」製作委員会

タイトルおよび画像の著作権はすべて著作者に帰属します
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